虎のレッドスター赤星憲広氏が解き放つ!京田陽太選手を苦しめる“2番の呪縛”
【あるドラライターの参考書的サンドラ活用法】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム
5月17日のライオンズ戦。松坂大輔投手が古巣を相手に登板するということで、いつも以上の注目度を集めていたのですが、個人的にこの日を心待ちにしていたのはCBCラジオさんの野球中継。「CBCドラゴンズサンデー」のスペシャル解説としてブースに座られていた落合博満さんの目に今のドラゴンズはどう映っているのか―。竜の黄金期を築いた名将の金言を聞き逃さないようにメモを取っていると、今週のサンドラの放送に通じるワードを見つけました。
キーワードは「打順とバッティングの関係性」です。
過剰なまでの進塁打の意識が、京田選手の打撃を狂わす
落合さんが平田良介選手の打撃を解説されていた場面。「5番の打ち方をしようと思ってしまうのがダメ。その(打順を意識した)バッティングをしていいのは4番だけ」とおっしゃっていたのですが、この提言がサンドラで放送された赤星憲広さんと京田陽太選手の特別対談の一幕に偶然にもリンクしていきます。
テーマは京田選手が3・4月に陥った不振について。25試合の出場で打率2割3分5厘、0本塁打、7打点、7盗塁。その原因を内角の厳しい球や低目に落ちる球が増えたことを挙げつつも、京田選手は打順が「2番」に変わったことによる影響を痛感。具体的にはランナーを進塁させようと、ライト方向への引っ張りを意識し過ぎていたとのこと。それを聞いた赤星さんはテレビ越しで感じていた京田選手の問題点の核心をつきます。
「ずっと言いたいと思っていたことなんですけど、『引っ張る』意識が強すぎたのか、足のかかとに体重がかかってしまっているなと気になっていた」
赤星さんの指摘に京田選手は「かかとに重心があったことで捉えたと思った打球がファウルやフライになっていました。悪循環でした」と納得。さらに赤星さんが気になっていたのは「引っ張る意識」が首脳陣の指示によるものかということ。この質問を投げかけたところで、落合さんの言葉が思い起こされます。
「『1番のときと同じようにやれ』と言われていたのですが・・・。どうしても試合になると状況に応じた打撃をする2番の役割を意識して苦戦していました」
落合さんが放送中にドラゴンズナインに向けた提言のなかには、「自分のやれることをしないと。やれないことをしようとしてはいけない」といった内容も。京田選手は首脳陣が求める以上の成果を出そうと混乱に陥り、奇しくも落合さんのどちらの警告にも触れていたわけです。
赤星さんは「考えすぎやね」と優しく諭しながら、ふたたび2番に戻った京田選手に自身が辿り着いた“2番の極意”を伝授していました。
呪縛を解くカギは自分のバッティングを見失わないこと
赤星さんが2番打者として出場していたのは、タイガースがリーグ優勝を果たした2003年。当時の星野仙一監督に救われたエピソードを交えながら、悩める昨季の新人王に活路を切り拓きます。
「星野監督から言われて楽になった言葉は『ダブルプレーを打っていいから強い打球を打て! ランナーを進めようと思って当てにいくな』と。それから思い切り打つようにしたら、シーズン途中までダブルプレーが1番多かった。そしたら『ホントに打つやつがおるか!』って怒られたんだけど、それぐらい2番でも割り切る考えが必要。進塁させられなくても最低限、自分が塁に残れば盗塁できると思っていた。(2番だからといって)自分のバッティングを見失わないこと」
赤星選手の愛に溢れたアドバイスに、京田選手も思わず「もっと早く聞きたかったです」と本音が。最近6試合をみるとマルチ安打を記録したのが1試合。無安打が3試合とまだまだ本調子には程遠いようですが、「最低限、自分が塁に出れば盗塁できる」との言葉に強く頷いていた表情は吹っ切れた様子。大島洋平選手との攻撃的1、2番コンビは、まだ今季から取り組み始めたばかり。完成したときの破壊力を想像しながら今は完成のときを待ちましょう!
笠原投手の好投で証明!森監督の目論見は間違っていない!
今季の交流戦は7勝11敗と4つの負け越し。借金も6に膨らんでしまったものの、森繁和監督の狙い目が大きく外していたとも思いません。交流戦のキーマンとして挙げていた笠原祥太郎投手が15日のライオンズ戦に先発して7回を被安打2無失点。惜しむらくはもう少し早く秘密兵器として投入できなかったのかと・・・。打線も交流戦の最終戦に11得点を奪うなど鬱憤を晴らしてくれたので、至急取り組むべき課題は一時の安定感を失いつつあるリリーフ陣の整備でしょう。スタジオ解説の川上憲伸さんは「名前や実績にこだわらず、たとえ敗戦処理でも好投したピッチャーをいい場面で使っていってほしい」との提言も。はたして2軍からの昇格組で再構築を図るのか、それとも昨年の谷元圭介投手獲得のようなサプライズ補強も起こりうるのか―。リーグ戦再開までの4日間もドラゴンズから目が離せません。
ドラゴンズライター高橋健二