2軍調整の小笠原投手へ、伝説の左腕エース今中氏が提言。「5回までと、6回からのピッチングを分けて考えること」
【あるドラライターの参考書的サンドラ活用法】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム
松坂投手が20日のタイガース戦を6回1失点に抑えて今季2勝目。2カード連続の勝ち越しに成功し、借金も3まで減らしました! 1、2番の入れ替えが功を奏して京田選手に昨年のような思い切りの良さが戻ったことは今後の好材料! 首脳陣の決断が見事に的中したわけですが、森監督は「私には別に何の意図もありません」と手柄をひけらかさないのがまた憎らしくてカッコいい。先のカープ戦から経験と実績のある岡田投手と福谷投手が加わってブルペン陣の層が厚みを増すなど、何度も振り返りたくなる一週間でした!
それでは今週のサンドラについて。
強者に対峙するほどモチベーションの上がるドラ1右腕
まずはダイヤモンドナビゲーターの宮下純一さんがドラフト1位ルーキー・鈴木博志投手の素顔に迫るインタビューのひとコマに頼もしい発言がありました。ここまでの登板を振り返った鈴木博投手は「毎回同じバッターと対戦しているイメージが強い」と上位打線との対戦の多さを率直な感想に。宮下さんが「どうしてこういう場面ばかりなのかと思う?」と尋ねると、鈴木博投手の真意はまったくの正反対。「ここで投げられるんだという気持ちです。うれしいというか、ワクワクする。そこを抑えれば自分の中でも『やった』という思いになるので」と強心臓ぶりを明かしていました。強者を抑えることに喜びを感じる鈴木博投手のメンタリティこそ、5年連続Bクラスに甘んじているドラゴンズに最も必要なことだと感じさせます。目指すピッチャー像は「僕が登板したときに相手から『打てない、どうしよう』と名前を聞いただけで相手に嫌がられる投手になりたい」と絶対的な存在。当然のごとく今季の目標は新人王のタイトル獲りを宣言するなど、じつに頼もしいかぎりです!
そして、この日のスタジオ解説は今中慎二さん。チームのカギを握るであろう2人の左腕投手について、とても気になる発言をされていました。
ガルシア投手は左右の乱れが要注意のサイン
19日のタイガース戦でチームトップの5勝目を挙げたオネルキ・ガルシア投手。初回に先頭打者から2者連続で四球を与えるなど無安打で1点を献上したものの、追加点を許さないピッチングはお見事。今中さんも「これまでも打たれてやられたことは1回もないですから。大体は四球が絡んでの失点だけ」と評価。ただし、その四球絡みで失点をする悪い傾向を察知する見方として、具体的な制球の乱れ方を挙げられていました。
「コントロールが高低でずれている分には良いピッチングをしますけど、横に外れだすと危ないなというサインが出ますね」
荒れ球が持ち味のガルシア投手でも左右に乱れたときに注意が必要とのこと。今後の投球を見るうえで要チェックです。
小笠原投手に必要なことはゲームプランを考えた投球
また、19日に1軍登録を抹消となった小笠原慎之介投手について、今中さんは具体的な改善策を提言。小笠原投手は18日の試合で5回まで無失点投球を展開しながら、100球に差し掛かった6回に2点を奪われた原因はピッチングプランにあると指摘されました。
「2軍に行ったからといって、どうこうすることはないんですよ。球数が増えてしまうことはしょうがないとして、小笠原に必要なことは5回までのピッチングと、6回までのピッチングを分けて考えること。5回までしっかり抑えられてはいるのですが、ストレートとスライダー、チェンジアップを投げ過ぎ。6回から相手も(打順が)3周り目となって、『さぁ、どのボールを狙おうか』と。すべてのボールを見慣れているうえに、疲れが出始めたことで付け込まれてしまう。こうして6回に捕まっているということ」
今中さんの言わんとされることは、「6回以降を見据えた投球プランが立てられていない」とのこと。序盤からすべての球種をさらけ出すことで引き出しを空にしてしまい、球威も衰えた後半に抑える術を無くして捉まってしまう。奥の手を隠しながら前半を乗り切り、後半でも相手を抑えてみせる。つまりは“大人の投球”を覚える段階にきているということでしょう。エースとしての期待が懸かる小笠原投手には一刻も早く“100球の壁”を乗り越えていただき、今中さんのような絶対的エースへと成長を遂げてもらいたいものです。
交流戦直前で早くも正念場!?ハマスタ&マツダ6連戦
今週を終えると来週からはいよいよ交流戦に突入します。ドラゴンズは比較的苦手としていないので、今年は交流戦で優勝を決めて一気にセ・リーグの上位進出! などを勝手に期待していたりするのですが、その前にとてつもなく大きな難関が待ち構えています。22日からはベイスターズとの3連戦、続く25日からはカープとの3連戦。ハマスタとマツダ・・・そうです、今季どちらも3タテを喫している鬼門です。万が一、万が一ですが6連敗を喫したときのダメージは計り知れません。
そこで大ひんしゅく覚悟であえて言わせていただきます! この6連戦は2勝4敗。3勝3敗でいけたなら大善戦ととらえ、3タテだけは是が非でも阻止すること。そこでキーマンに挙げるのはハマスタで1発、マツダで2発の計3本塁打を放っているビシエド選手。アルモンテ選手の活躍に隠れていますが、5月のここまでの成績は打率3割2分9厘、2本塁打、11打点と好調をキープ。4番の豪快な一撃が勝利に導くことを期待しています!
ドラゴンズライター高橋健二