「ベース盤で勝負を」の今中論と「ストレートで勝負を」の赤星論。ドラゴンズのリリーフ陣再生案に竜党のアナタはどちらを推しますか?
【あるドラライターの参考書的サンドラ活用法】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム
吉見一起投手がビジターで6年ぶりの白星を挙げた6日の試合を皮切りに、笠原祥太郎投手がプロ初完封勝利を達成。藤嶋健人投手も粘りの投球で3勝目を手にすれば、新守護神として期待が懸かる佐藤優投手が2試合連続で1点差を守りきるセーブを挙げて4連勝。3連覇をほぼ手中に収めているカープを3タテで下し、ドラゴンズが見事に今季のカード勝ち越しも決めてくれました。
ただ、忘れてはならない、忘れることもできないのは4日のスワローズ戦。9回裏に6点のリードを追いつかれ、延長の末に逆転負けを喫した悪夢の試合が象徴したように、リーグワーストの防御率を記録しているリリーフ陣の再生をなくしては、奇跡を期待することもできないでしょう。
今週のサンドラは今中慎二さんと赤星憲広さんが、ドラゴンズのリリーフ陣を再生するための持論を展開されていました。今中さんが挙げた課題は“四球の多さ”。これまで何度も訴え続けてこられたご意見です。
伝説の天才エース今中氏の提言。「ボールは常にホームベースの上を通過させよ」―。
「特に終盤での四球というのは相手に『いけんるんじゃないか』と思わせてしまう。出していい四球もあるので、すべてダメというわけではないんですけど、大事なところでの四球は相手に勢いをつけてしまう。そこを無くしていかないといけない」
そこで気になる改善策は“自信を持ってストライク”。これもまた一貫して言われてきたことです。
「常にホームベースの上にきっちりボールを通すこと。高低で乱れたとしてもバッターが振ることはある。ただコースを狙って左右に外れたボールに関しては振ってくれない。常にベースの上にいけば振ってくれるので、打ち取るチャンスは増えるでしょう」
四球になる原因はストライクゾーンのギリギリを狙っているからだと今中さんは解説されます。際どいコースは少しでも狙いから外れてしまえばボール球になってしまう。結果、そのピッチングは交わしにかかっているようにも映っているとのことでした。
一方の赤星さんが唱えたのは“原点回帰”。このワードが意味するものはドラゴンズの投手陣が立ち返るべき姿を指し示しています。
虎のレッドスター赤星氏の提言。「投手の基本はストレート。ストレートを磨き直すべし」―。
「ドラゴンズの投手陣の長所はストレートが速いということです。150キロ以上を投げられるピッチャーは沢山いるのですが、ポイントになっているボールはストレートじゃないんですよね。結局、打たれているボールは変化球が多いですし、カウントを悪くして投げているボールはストレートも含めてどれも腕が振れていません。投手の基本はストレートなので、改善策としては腕を振って投げられるストレートを練習すること。それができてはじめて変化球が活きるのではないのかなと思います」
赤星さんの提言をもとに4日の試合を振り返ってみると、9回裏に田島投手が武内選手から浴びた2ランはチェンジアップ。そして11回裏に又吉投手が上田選手からサヨナラ3ランを浴びた球種もスライダーでした。一概にこの場面で投じた球種を否定することはできませんし、そこに至るまでの経緯や配球を踏まえて論じなければいけません。ただ両投手とも秀でたストレートを武器として数多の打者を抑えてきた実績があります。赤星さんのご指摘は核心を突くものだと感じさせられるものでした。
今中、赤星両氏が讃えたのは笠原、藤嶋の若き先発投手
リリーフ陣の防御率はリーグワーストながら、先発陣においてはリーグ2位の好成績。その中で今中さんと赤星さんが揃って讃えていたのは、後半戦で勝ち星をのばしてきた笠原投手と藤嶋投手です。今中さんは若手の競争がチームに必要と唱え、1軍で結果を残している両投手がファームにいる若手に刺激を与えている点を高く評価。赤星さんも“投げっぷりのよさ”と“ベース盤の上で勝負ができている”という2点が勝ち星に繋がっていると分析されていました。
また2軍で研鑽を積んでいる3人の高卒ルーキー投手に話題が及ぶと、投球のVTRを見た今中さんが推したのはドラフト6位の山本拓実投手。「ダイナミック(なフォーム)でしっかり腕が振れているので、このまま続けていけばいい。これだけ投げられれば1軍で投げさせてもいいんじゃないですか」と、早期の昇格を推薦するほど。森繁和監督もドラフト2位の石川翔投手と合わせて今季中に1軍で登板させる意向があるということだけに、ナゴヤドームのマウンドに上がる姿を楽しみに待ちたいところです。
今季も残り15試合。「借金完済」と「CS進出」の奇跡を・・・
4連勝で5位のベイスターズに0.5ゲーム差まで詰め寄っていますが・・・。正直、それを目標にするのでは応援のボルテージも上がりません。どうせなら借金完済を掲げるぐらいの意気込みで戦ってくれることを願うばかりです。残り15試合で借金12の返済。つまりは14勝1敗、13勝2分、12勝3分。そんな奇跡が起こせたならば、6年ぶりの悲願の実現に近づくことでしょう! 私事ではありますが、6日のドラゴンズの試合が始まる前に、何か流れが変えられないものかと、ある有料のスポーツチャンネルの契約を一時休止に。するとどうでしょう、それから連勝が始まりドラゴンズは負けていません。このまま19連勝でシーズンを締めくくってくれることに密かなる自信を持っています!(バカなヤツだと笑ってください)。
ただ、今季のドラゴンズの戦いぶりは、落胆の後に歓喜があり、何かを期待させてくれるものがあります。来季の話は完全に望みが消えたそのときにしようではありませんか。最後の最後の最後まで可能性を信じています!
ドラゴンズライター高橋健二