縁日の新星!「すくって!おもしろ消しゴム 水族館」誕生秘話

夏祭りシーズン到来。縁日でこどもたちがはしゃぐ姿はいつの時代も変わりませんが、定番の屋台には時代とともに変化がみられるようです。7月2日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、名古屋市西区の縁日玩具専門商社キッシーズの首藤さんに、注目の新作ゲーム「すくって!おもしろ消しゴム 水族館」について伺いました。
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たとえば縁日のわたあめは、昔はキャラクターが描かれた袋に入っていましたが、最近はわたあめ自体にさまざまな色を付けて帽子の形にするなど「レインボーコットンキャンディー」へと進化しています。
飲み物では、イチゴ型やフルーツ型、クマさん型のボトル自体が光るジュースも登場しました。
お面も変化しており、従来の現代的なキャラクターから狐や般若などの昔風な和風デザインへと回帰しています。
これらの変化の背景には、「みんなでおそろいで付けてSNS映えする写真を撮る」という今どきのニーズが背景にあるそうです。
消しゴムをすくう新発想
今年注目の新作縁日ゲームは、キッシーズがプロデュースした「すくって!おもしろ消しゴム 水族館」。スーパーボールすくいや金魚すくいのように、本物の消しゴムをポイですくうというゲームです。
この「おもしろ消しゴム」は、埼玉県に本社を置く文具メーカーのイワコーが作る、タコ、ラッコ、イルカなどの動物を立体的に表現した消しゴムシリーズで、国内外にコレクターがいるほど人気の商品です。
従来のスーパーボールすくいと違い、取った後に消しゴムとして使えるという実用性が大きな魅力です。
しかし、ここで重要な技術的課題がありました。それは「消しゴムは水に浮かない」という問題です。
コロナ禍が生んだ研究期間
首藤さん「イワコーさんとしては消しゴムとしてしっかり使えなければいけないということで、消える機能を損なわずに浮くようにする必要がありました。材料の比率を様々に調整しなければならない。そこからまずはやり直しでしたね」
この企画は2020年の冬頃から始まり、当初はその年の春頃に急ピッチで発売しようと進めていました。しかし、コロナが流行したことで一旦中断。その期間にイワコーがさらに技術を進化させ、2025年、実に5年越しで発売となりました。
元々はイワコーがキッシーズに「うちの消しゴムを浮かせて遊ばせたい」と持ち込んできたものの、実際には浮かなかったという経緯があったそうです。
しかし、「自社の商品を水に浮かばせたい」というイワコーの強い意志から、比率を変えて作り直しという取り組みが始まりました。
コロナ禍という状況をうまく利用し、消しゴムとしての性能を失わずに浮かばせることができる技術を5年間かけて研究し、満を持してこの夏登場することになったのです。
すくい遊びのパイオニア
イワコーがキッシーズに話を持ちかけた背景には、同社の長い歴史があります。創業80年ほどの老舗問屋であるキッシーズは、元々は「岸ゴム」という名前で風船やゴム玩具を仕入れて販売していました。
首藤さん「今から60年ほど前、露天商から『夏になると金魚やメダカの育成が難しい』と相談を受けた先代が、スーパーボールすくいを考案しました。当時、アメリカでスーパーボールが大ヒットし、翌年日本にも入ってきて大ブームとなっていました。当初は高価で手が出しにくいものでしたが、次第に安価なものも流通し、それを水に浮かせてすくってみてはどうかと提案したのが始まりでした」
先代に相談を持ちかけたのは広島の露天商でしたが、露天商は各地を移動してお店を開くため、どこが発祥地というわけではありません。しかし、キッシーズが提案したということは記録として残っています。
すくい遊びに全力で取り組んでいるキッシーズに、イワコーが「おもしろ消しゴムを浮かせる遊び」を持ちかけたというわけです。
この夏、縁日デビューへ
「すくって!おもしろ消しゴム 水族館」は、すでに業者向けの販売も始まっていて、初回生産分は完売と好調な売れ行きです。
ちょうど今週、第2弾が入荷予定ということで、供給体制も整いつつあります。
松岡は「この夏は、夜店や出店でスーパーボールすくいならぬ『消しゴムすくい』が見られるかもしれません。ぜひ皆さん、見かけたら挑戦してみてください」と呼びかけて締めくくりました。
(minto)
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