ドラゴンズ新入団選手への檄!歴代カレンダーから浮かび上がる“強さの秘密”

ドラゴンズ新入団選手への檄!歴代カレンダーから浮かび上がる“強さの秘密”

2020年の中日ドラゴンズカレンダーが手元に届いた。
ユニホーム姿の与田剛監督、それをプレー姿の選手たちが取り囲む勇壮な表紙。どの月にどんな選手の写真が載っているのか、それを確認しながら、来たるシーズンに向けて夢と期待を膨らませるのが年末の楽しいひとときである。

主張したい「1ページ1選手で!」

最初に持論を言うならば、「カレンダーは1ページに1選手であるべき」だと思っている。
すなわち、カレンダーに写真が載る選手は12人のみ。それは“選ばれたステージ”であってほしいからである。たった12の席をめぐって、熾烈な争いをしてほしい。カレンダーに載る選手になってほしいと檄を飛ばしたい。

竜戦士たちの輝く場だった

ドラゴンズカレンダーを手元に持ち始めたのは中学生時代だから1970年代である。
当時はもう少し全体が細長かったが、1970年代後半に現在の形に変わった。
今も大切に保存しているカレンダーの表紙には、カクテル光線輝くナゴヤ球場の夜景やスター選手の写真がある。高木守道、星野仙一、谷沢健一、鈴木孝政ら往年の名選手らがそれぞれのページで輝いていた。ひとりで1ページを占拠していた。
開幕の4月は誰か?勝負どころの夏場、7月や8月は誰か?それによってファンは、その選手のチーム内での立場や期待度を理解できた。

いつのまにか集合写真ばかり

ところが、ここ数年、ドラゴンズカレンダーを見て驚くことは、「1ページ1選手」が少なくなってしまったことだ。
平成から令和に年号が変わった2019年のカレンダーは松坂大輔、平田良介、そして大島洋平の3選手だけが1ページずつ掲載されていた。2018年と2017年も3選手、2016年と2015年はわずか2選手。2016年の2人は大野雄大投手と平田選手、ところがシーズン真っ只中の7月のページにはなんと4人の選手の写真が一緒に掲載されていた。
この頃から私は「1ページ1選手であるべき」持論を周囲のドラゴンズファンにアピールするようになった。実は最新2020年カレンダーでは、5人がひとりずつ1ページを占めて掲載されている。大野雄大、柳裕也、大島洋平、ダヤン・ビシエド、そして高橋周平の5選手。ここ最近では珍しい多さとなっている。少しほっとした。

模範にしたい過去のカレンダー

中日ドラゴンズ歴代カレンダー(筆者所蔵)

手元に保存している沢山の歴代カレンダーをあらためて見直すと、圧巻なのは2003年と2004年である。
表紙に山田久志監督(当時)がダンディな写真で登場している2003年(平成15年)カレンダーは、1月福留孝介、2月朝倉健太、3月立浪和義、4月川上憲伸、5月谷繁元信、6月岩瀬仁紀、7月井端弘和、8月エディ・ギャラード、9月荒木雅博、10月山本昌、と10月までひとりずつ、10人の選手のページが続く。圧巻である。ここでシーズン期間は終わり、11月は大西崇之と山北茂博、12月は野口茂樹と落合英二。合計で14人の選手しか登場していない。

黄金期カレンダーの秘密

「1ページ1選手」の傾向は、山田監督からバトンを受けた落合博満監督の8年間も続く。最も少ない2009年でも6選手が単独での掲載だった。2003年は14人しか登場していないと書いたが、ちなみに新しい2020年のカレンダーに登場する選手は25人もいる。ファンそれぞれ贔屓の選手もいるだろうから沢山の顔が載るメリットも否定したくないが、カレンダーというステージの価値は高くあってほしい。球団史上ワーストの7年連続Bクラス。この低迷期とカレンダーの1ページをひとりで張れる選手が少なくなった時期が、つい重なって見えてしまう。

カレンダーこぼれ話

ここ20年間ほどのドラゴンズカレンダーにおけるエピソードを3つ挙げる。
2004年、このシーズンからかつての三冠王・落合博満さんが監督としてチームを率いるのだが、表紙と共に1月のページにも、ひとりで登場している。それだけ「落合監督」への期待は高く、大きな注目を集めたのだ。
2011年11月のページは、堂上剛裕選手と堂上直倫選手。「堂上兄弟」でカレンダーの1ページを占める記念の年となった。かつて背番号「13」を背負い“ジャンボ”のニックネームと共に同じドラゴンズというチームで活躍した投手、父親の照(てらし)さんもさぞや喜んだことであろう。
2013年2月は、ドラゴンズファンが忘れ去りたいページである。トニ・ブランコ、エンジェルベルト・ソト、そしてホルヘ・ソーサの3外国人選手が掲載されている。いずれもシーズン開幕をドラゴンズブルーのユニホーム姿で迎えることはなく、3人そろって横浜DeNAベイスターズへ移籍した。カレンダーの編集時点で契約交渉をめぐって不穏な空気が漂っていたから、この3人を2月にまとめて掲載したのであろう。球団の英断である。1月が終わると2ページまとめて破って、一気に3月にページを飛ばしたファンも多かったようだ。

石川よ根尾よ!カレンダーに載ろう

ドラフト1位の石川昂弥選手らドラゴンズ7選手の新入団発表が行われた。プロで最初に付ける背番号が入った真新しいユニホーム姿の選手たちは、それぞれの言葉で抱負を語った。期待のスラッガー石川選手が力強く「三冠王宣言」するなど、毎年のことながら希望に満ちた船出となった。しかしカレンダーで言うと、1年前に入団した高校球界のスーパースター根尾昂選手ら6選手の中で、2020年カレンダーに掲載された選手は誰もいない。6人まとめて表紙の後の特別ページに掲載されているだけである。
2年目を迎える6選手も、そして入団したばかりの7選手も、2021年カレンダーにいきなり登場するような活躍をしてほしい。もちろんその時は自分の写真だけで1ページを占拠してほしい。遠慮はいらない。カレンダーに載る選手になってほしい。

ドラゴンズカレンダーには各月に公式戦の対戦スケジュールも記載されている。しかし、クライマックスシリーズや日本シリーズはない。与田剛監督の2年目、当然新年には「優勝」という力強い目標が掲げられるはずである。球団も毎年のカレンダーに日本シリーズ日程まで印刷するまでの気概を見せてはどうだろうか。1年後の2021年カレンダーでは是非とも検討をお願いしたい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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