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ドラゴンズ大野雄大が日本代表で実感した脇役の大きな役割

ドラゴンズ大野雄大が日本代表で実感した脇役の大きな役割

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

 本拠地に戻ってから、ようやく日常を取り戻したかのように歯車が噛み合い出してきたドラゴンズ。結果もさることながら、失敗も苦労も乗り越えて積み重なった今をしっかり噛み締めるようなプレーが増えていることも前進を後押しする原動力になるのではと期待してしまう。今回のサンドラでは、そんな勢いをつけられる人物こと大野雄大投手がオリンピック日本代表として経験したことを特集します。

今後に活きるデッドボール、攻撃に繋げるガッツポーズ…大野投手投球の裏側

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手(C)CBCテレビ

 最初のバッターにデッドボールを出したときの大野投手はこう考えを明かした。

「甲斐捕手はフォークのサインを出したんですけど、僕はもう一球内角に厳しいボールいってからそれで打ち取れてもいいし、その後のフォークに繋がってもいいと思ったので、首を振ってまっすぐいったんですけど、絶対甘くならないようにと思って投げた結果のデッドボールだったので今後に活きてくるようなデッドボールだったと思っています。」

2アウトで4番打者カサスの場面でキャッチャー甲斐がマウンドへきてこう伝えた。

「大野さん初球インコースにストレート行こうと思っているんですけどどう思いますか?その後の投球の幅が広がると思うので。」

それに対し大野投手はこう答える。

「初球は外角の変化球でいってくれ。」

その結果、
1球目カットボールで空振り
2球目ストレートをファウル
3球目ストレートでボール
4球目三振
この回無失点でガッツポーズを決めた。

「なんとか勝手に自分で勢いを作ってやろうという思いもあったのでガッツポーズをしてそのあとベンチに帰ってもチームを応援していました。」

日本代表は9回裏同点に追いつき、10回表のタイブレークも栗林が無失点、甲斐捕手のタイムリーでサヨナラ勝ちを決めた。その後も全員野球で勝ち上がり念願の金メダルを獲得。大野投手は、メダルを受け取ると空に向けて一番最初の報告をした。

「出発前に木下雄介投手に『金メダルを獲ったら見せてくださいね』と言われていてそんな些細な会話で『わかった持って帰ったら見せるわ』と僕もおうくらいの返事だったんですけど今でもそのシーンは覚えていますし、ああいう形にはなりましたけど報告できて良かったと思います。」

代表で任されたダブルスタンバイの態勢、共に戦った仲間からの学び…大野が経験し受け取ったこと

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手(C)CBCテレビ

 大野投手は、敗戦の場合には次の試合で先発、試合中はリリーフスタンバイという形でダブルスタンバイしていた。シーズン中にはまずあり得ない難しい準備が要求されていたということだ。それを全うできた理由についてこう話す。

「今回代表に招集していただくにあたって本当になんでもやりますと、稲葉監督にも建山投手コーチにも井端さんにもずっと言っていたのでそれがプラスに働いたと思うんですよね。信頼してもらえている証だと思ったんですよね、僕は。(先発とリリーフ)どっちもやってもらうなんてなかなかお願いできないと思うんですよ不安なピッチャーには。なのでそこはすごく意気に感じて、どういう状況でも行ってやると思っていました。」

 難しい要求に文句を言うどころか、その役割を意気に感じてエネルギーにするところが大野投手らしく周りの人とポジティブに影響しあう変わらない姿勢でいい経験ができたんだなと感じる。それに加え、更に貪欲に吸収したことについてこう語る。

「僕は同級生のマー君(田中将大)に本当にいっぱい質問してやろうと思って、今回準備していったんですけど代表合宿の時から『先発投手として一番大事なことって何』って聞いたんですけど、マー君が言ったのは『マウンドにいるときは最善を尽くす』と『例えば味方がエラーしたりとか自分のチームに点が入らなかったりとかそういうことに左右されずに自分のやるべき仕事を全うするのが先発の役目だと思う』と言っていて当たり前のことなんだけどマー君が言うと深いなと思ったし、それを意識して俺もやっていこうと思いました。」

 新たな経験をして、他人の考え方を学んでまた一つ大野投手は進化したのだろう。そうして得た金メダルという結果から確信したことについてこう話す。

「一つの勝ちに対する全員の方向性というか、試合に出る選手も出ない選手も同じ方向を向いてやっていくことの大切さというのを感じましたしすごく輝いていた選手が沢山いると思うんですよ。でも脇役には脇役なりの仕事が本当にあって、だから僕も金メダルをとったメンバーの一員だと胸を張っていますしいい経験をさせてもらった。」

「サンデードラゴンズ」より井端弘和さん(C)CBCテレビ

―井端氏から見た大野投手と、コーチとして井端氏から見た大野投手は日本代表においてどんな存在でしたか?

「最年長の投手でチームを引っ張って頑張ろうという姿勢も感じましたし、金メダル獲ったら井端さんにかけさしてあげますと言っていたんですけど、それがなかったっていうのが非常に残念でしたね笑」

―5試合あった中で分岐点となった試合は?

「やはり初戦ですね。苦しい中で勝ち切れたということがあとでい活きてきたなと感じます。(一位通過できなかったら)日程的にも5試合で済まず、6、7試合下手したら8試合までいってた可能性はあったと思いますんで。そうなってくるとやっぱり選手の疲労もあったと思うんで、このような戦いはしにくかったのかなって感じますよね。」

印象的な代打の切り札とドラゴンズを成長させるそれぞれの役割

「サンデードラゴンズ」より神野純一選手(C)CBCテレビ

続いて好評企画「アナうんちく」から印象に残る代打の切り札を紹介します。

・神野純一
 愛知大学野球リーグ通算安打記録(125安打)を持つヒットメーカー。プロ入り後は主に代打の切り札として活躍。2001年には代打起用21回で、打率.368を残した。ちなみに第2位は岩瀬仁紀の124安打で、岩瀬はこの一本が及ばなかったことから投手に専念することを決意した。神野のこの記録がなければ、死神と恐れられた守護神の姿はなかったのかもしれない。そんな潜在能力がありつつも、レギュラーを掴むことがなかったのはガラス細工と形容されるほど怪我に泣かされることが多かったからだ。レギュラーとして出続けることはついになかったが、代打で呼ばれたときの期待感や雰囲気は不思議と特別な緊張感があった。そんな頼れる代打の存在は勝機を掴むのに不可欠だ。今のドラゴンズにもまた新たにそんな選手が出てきてほしい。

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

・川相昌弘
通算533本の送りバントを決め世界記録を樹立、送りバントの成功率は9割超え。ドラゴンズに移籍後は主にピンチバンターとして起用された。そんな伝説的選手でありながらも普段はかわいい一面を見せていることについて井端氏の対応は。

「野球以外ではずっとダジャレを言ってましたし、それを僕と森野(将彦)とか荒木(雅博)と処理するのが大変でしたね。」

ドラゴンズ時代の代打通算成績は起用31回犠打成功率.889と様々な厳しい状況の中で『川相』という名前が呼ばれるとバントすることが予期されてる中成功させることを含めて凄まじい成績を残している。その裏には、ベテランになってもずっと練習をしていた積み重ねがあったのだという井端氏。

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

代打という役割において、出る機会がいつになるか予測できないため、いつでも呼ばれた時にはパフォーマンスが発揮できるよう気力も技術も高めて準備は万全にせねばならない。大野投手が脇役としてもチームにとっての価値を強く感じたように、チームの中でそれぞれ自分の役割を具体的かつ全体との関連付けを強めることで一挙手一投足に意味が生まれる。今のドラゴンズも、決して走力が高くない堂上直倫の走塁ミスを乗り越えての意識の向上やより鋭い状況判断から全体が意欲的かつ仔細に意識を巡らせて取り組んでいるのがわかる。脇役、代打、走塁、そういった役割の細部の質を上げる野球をどんどん見たい。大野投手の大きな舞台での経験、堂上選手の痛い経験を力に変えて、光と影の中を誇らしく進んでいく強いドラゴンズに期待する!

澤村桃

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