アスファルトの道路が熱すぎる!猛暑の中で見つけた“足元の工夫”とは?
下呂温泉まつりに合わせて、岐阜県下呂市を訪れた。街の高台にある温泉寺への坂道は、日暮れ近くになっても暑く、歩きながら汗を拭い続ける。ふと足元を見ると、アスファルトの路面に、青と白の欠片(かけら)が無数に埋め込まれてある。カエルや温泉マークも描かれていて、つかの間、暑さを忘れて微笑んでしまった。
その熱さは60度にも

アスファルトの道路は熱い。真夏の炎天下では、その路面の表面温度は60度とも言われている。酷暑が続く2026年(令和8年)などは、時に60度以上になっているだろうか。照りつける日差しを受けて、都会のアスファルトの道路が黒光りしている。それがまた暑さを倍増しているように感じる。周囲の空気も温度が上がるため、ヒートアイランド現象も引き起こす。熱中症の要因にもなり、散歩する犬などのペットも火傷するリスクがある。道路を走る車のタイヤも劣化する。アスファルト自体も負担が大きく、熱の影響で、ひび割れやわだち割れを起こし、修繕のサイクルが短くなる。
アスファルト舗装の歴史
「アスファルト」は粘着性の物質で、その歴史を調べると、天然のアスファルトは、縄文時代から、接着剤や防水材として使われていたらしいという記録がある。その歴史は古い。アスファルトが道路の舗装に使われるようになったのは、19世紀の半ば、ヨーロッパのスイスだと言われている。鉱山で採掘された天然アスファルトの欠片(かけら)が運搬中にこぼれてしまい、それが車輪に踏み固められていく内に、とても走りやすい路面になったことがきっかけだそうだ。
日本では明治時代に登場
一般社団法人「日本アスファルト協会」のホームページによると、日本で最初のアスファルトを使った舗装は、1878年(明治11年)、東京の神田にある橋の舗装だった。大正時代に入って、道路の基準が作られたことによって、東京や大阪など都市を中心にアスファルトの道路は広がり、戦後は石油産業の成長と共に、日本の道路舗装の“主役”となっていった。
熱を蓄えるアスファルト

なぜアスファルトは、そんなに温度が上がるのだろうか。その色は黒いため、太陽の光を反射せず、むしろ吸収してしまう。さらに、アスファルトは、浴びた熱を長時間、内部に蓄えてしまう性質がある。日中に吸収した太陽光の30%から40%が、夜間になっても残っているというデータもあるほど、とにかく熱が冷めにくい素材なのだ。
水を活用する「保水性舗装」
環境省がまとめた『まちなかの暑さ対策ガイドライン』によると、道路の舗装について、その耐熱対策が2つ挙げられている。まず「保水性舗装」である。これは、吸水性が高い素材を使って、雨水など水分をアスファルトに吸収しやすくして、水分が蒸発する時に、路面の熱を下げる方法である。言わば、夏に「打ち水」をすることと同じ効果なのだろう。道路の表面温度も10度ほど下がるが、雨が降らなかったり乾燥した状態が続いたりすると、効果は落ちる。定期的な水分補給が求められる。
表面を加工する「遮熱性舗装」

もうひとつは「遮熱性舗装」である。道路の表面に、熱をシャットアウトする材料のセラミックなどを拭きつけたり塗ったりする技術で、こちらは“道路表面のコーティング”と言える。「保水性舗装」に比べて、夏の日中の路面温度を10度から20度近く下げることが分かっていて、夜間も道路からの放熱量を減らす効果がある。安定的に、アスファルトの高熱を抑制できると評価されている。
マラソンランナーの分析
熱い路面を走るマラソンランナーからも「遮熱性舗装」はお墨付きを得た。2021年(令和3年)の東京オリンピックで、マラソン競技は猛暑を避けて、結果的には北海道の札幌市で行われたが、当初は東京都内のレースに向けて、「遮熱性舗装」が検討された。実際にコースを試走した元マラソン選手の瀬古利彦さんも「明らかに涼しい。足の裏から顔にかけての温度感が違う」と評価していたそうだ。都市の発展を支えてきたアスファルトが、世界的な猛暑によって“熱”という新たな顔を見せている。そんなアスファルトと上手につき合うために、人間の工夫が続く。

下呂温泉の舗装について、下呂市役所の道路河川課に尋ねた。もともとは耐久性と景観を意識して、青色と白色のセラミックを砕いてアスファルト道路に入れ込んだが、白い色が黒いアスファルトの温度を軽減する効果があったそうだ。心なしか、路面に描かれたカエルが涼し気に笑ったような気がした。
【東西南北論説風(709) by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】




