己の不甲斐なさに思わず“最悪ですよ!”竜のキャプテン周平、苦悩の前半戦を振り返る
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
強いドラゴンズが見たい!
日米のオールスターゲームで盛り上がった先週。野球ファンにとっては、さぞかし至福の時間となったはず(しかしホームランダービーの優勝賞金、アメリカは1億1000万円、日本は100万円!差があり過ぎ!)。しかし、ことドラゴンズファンに限定してみれば、心の底から楽しめたオールスターウィークではなかったような気がしてならない。
優勝を狙うと公言した開幕前。前半戦を終了した現在、ドラゴンズは目標の優勝どころか、3位ヤクルトに10ゲームも離されているという厳しい結果となっている。借金も膨らむこと10。もうこれ以上負けることはわれらドラゴンズファンが許さない。8月13日、ペナントリーグ再開までの約一カ月間、“負けないドラゴンズ”を作り上げるためにチームの総力を挙げて取り組んでもらいたいと願うばかりである。もちろん強化するポイントは打力強化の一点。 なかでもキャプテン周平の奮起がカギとなろう。
さて今週のサンドラは後半戦の活躍に期待がかかるその高橋周平選手をフィーチャー。サンドラお馴染みとなったレジェンド解説陣5人から鋭い質問がぶつけられた。
いつになったら打つの?
トップバッターに選んだのは大先輩でもある谷繁元信さん。質問が谷繁さんらしくドストレートで面白いっ!
<質問>
谷繁『いつになったら調子が良くなるのですか?』
<アンサー>
周平『(思わず、苦笑い)なかなか良い状態が続かないというか。感覚なのですごく難しい話になるんですけど、こう打ちたいと思っていても打てないので、ああしてみよう、こうしてみようと試しているんですけど、自分の感覚ではないことをしているのでなかなか続かない部分はありますね』
なかなか素人には伝わりづらい周平の返答。
ただ理想を追求するがあまり、深い沼に落ち込んでしまった感は否めない様子に見える。
感覚さえ合えば打てる
良い状態が続かないというバッティングについて、赤星憲広さんからも質問が続く。
<質問>
赤星『ここまでのバッティングを振り返って、今後の修正点、課題は何ですか?』
<アンサー>
周平『一度、交流戦での楽天戦で良い感じになったんですけど。真っすぐを引っ張ってホームランを打てたのは良かった。自分の感覚を信じてやったら結果が出て、次の西武戦も同じような気持ちで行ったのですが、落ちる変化球を使うピッチャーが多くて、その球に手を出していたら、おかしい方向に行ってしまったかなと思います。まあ、自分の感覚が大事なので、その感覚さえ合ってくれば何とかいけると思う』
レギュラーを掴み、昨年初の三割をマークした周平。彼の魅力はあまり大きな打撃不振の波がないことだっただけに、今年のベタ凪のような不振ぶりは誰もが想像しなかった結果。特に本人が一番思っているだろう。感覚さえ合えばという言葉が妙に重く伝わってくる。
打撃職人同士だからこそ分かる“悪いクセ”
三人目は周平の侍JAPAN入りを特に望んでいた井端弘和さん。招集されない結果につながった打撃不振の要因を井端さんがズバリ突いた!
<質問>
井端『全てのボールに対して身体が寄っているように見えるのですが、打席で何を考え、どうしているのですか?』
<アンサー>
周平『自分も打席でそう感じる部分はあるんですけど、たまに。追い込まれるまでは強い打球が打てるポイントで振る。追い込まれたら、ある程度の球はケアして、“ここに来たら向こうに打とう”(狙い球を絞る)という感じですね』
井端さんが感じていた、自ら窮屈になる“体の寄せ”も、周平にとっては感覚を呼び戻す“ひとつの流れ”に過ぎないのか?発する言葉があまりにも抽象的な周平なだけに真意が掴みづらいのがもどかしい。
現在の姿を俯瞰して見る
そして4人目はこの日ゲストコメンテーターとして番組出演していた川上憲伸さん。5項目のチャート図を用い、ここに+3できるとしたら、どこにどれだけプラスしたいですか?と、2020年にも質問をぶつけていた川上さん。前回はパワーを5から8へプラスしたいと答えた周平だったが、今回も得意のチャート評価となるのか?
<質問>
川上『ボクは高橋周平選手を上の図のように評価しています。合計33ポイントを入れ替えるとしたら、どこをどうしますか?』
今回は足すのではなく、入れ替えと来たわけか!
周平『そのままでいきます』
(なぜ?の問いに)
周平『そんなもんだからです』
(強い決意を感じたコメント。これで今年はやっていくと?)
周平『はい』
パワーが前回同様の“5”という評価にも関わらず、手を付けなかった点に寂しい思いを感じたファンは多かったのでは。逆を言えば今季打撃に対し、周平の苦しみ具合がリアルに感じた返答でもあった。
最悪ですよ!
最後の5人目は吉見一起さん。
<質問>
吉見『去年からキャプテンとなり、現状4位というのは想定内?想定外?』
これは周平にとってある意味、厳しい質問だ。
<アンサー>
周平『まあ、想定内とか想定外というのはあんまり考えていない。自分がもう少し打てれば、こんな順位にはならないと思いますし』
(シーズン前半はもどかしい感じが続いていた?)
周平『最悪ですよ!』
思うようにならない、自身のバッティングに加え、チームの主軸、キャプテンとしてのプレッシャーが重くのしかかっている。後半戦巻き返しへ、もがき苦しみながらも、牙を研ぐ!
周平『(責任は強く感じている?との問いに)責任と言うか…誰がどう見てもそう思えるでしょう。自分がやらなければいけない。ひとつでも多く勝つことがボクらのやるべきことなので、一日一日しっかり準備して、勝てるようにやっていきたい』
最後はキャプテンらしく優等生発言で終えた周平だったが、語気を強めて言い放った“最悪ですよ!”がすべてを物語っていたように思える。前半戦、クリーンアップを外され、スタメンからも名前が消えた周平。これ以上の屈辱はないはず。
“ああだ、こうだと言い訳なんかしない。とにかく後半戦は前半戦の分の借りを返すぐらい打って打って、打ちまくる!”
責任感が強い周平を知る川上さんは後半戦の復活を楽しみにしているひとり。
川上『あまり周りの意見を気にする必要はない。もともと実績はあるし、技術も持ち合わせている。責任を取るのは本人!自分を信じてやっていって欲しいと思います』
打てないのであれば補強すべきとの声が多く聞こえてくる中、まずは現状戦力の復調が専決事項となる。周平はもちろん、阿部、福田、そして二軍で調整中の平田ら、レギュラークラスといえる面々の活躍なくして、昇竜復活の四文字は有り得ない。そこに若手を含めた起用が功を奏すれば、まだまだ上位浮上の目は大いにあり得る話だ。これから暑さが増していく名古屋での一カ月がプラスとなるよう、しっかり調整を図ってもらいたいものである。いつまでも信じている!強いドラゴンズが戻ってくることを!
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜