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このトレードを大当たりに!ドラゴンズ加藤翔平が魅せる“ショータイム”

このトレードを大当たりに!ドラゴンズ加藤翔平が魅せる“ショータイム”

“ショータイム”を演じるのは、米メジャーで大活躍の大谷翔平選手だけではない。中日ドラゴンズにも“翔平”がやって来た。交流戦を終えてリーグ戦が再開、早速、史上初という“ショータイム”を魅せてくれた。

史上初の快挙でデビュー

シーズン中のトレードで千葉ロッテマリーンズからドラゴンズにやって来た加藤翔平選手。いきなりのレフトでのスタメン起用に、あっと驚く快挙で応えてくれた。2021年6月18日の神宮球場、セ・リーグでの初打席で初球を左翼スタンドに叩き込んだ。移籍初打席の初球ホームラン。これだけでも十分にドラマなのだが、加藤翔選手の場合は8年前に同じ快挙がある、プロ入り1年目2013年、5月12日のデビュー戦で、今回と同じように初打席の初球をホームランにして、劇的なデビューを果たしている。プロ初打席でも、移籍後の初打席でも、初球をホームランした選手は史上初。今回のトレードに、まずは模範解答を出してくれた。

田尾そして落合・・・竜のトレード史

最近でこそ、目立つ大型トレードがないものの、球団創設85周年を迎えたドラゴンズは、その歴史の中でかなり衝撃的なトレードを行ってきた。1974年(昭和49年)に20年ぶりリーグ優勝を勝ち取ったメンバー、稲葉光雄投手と島谷金二内野手がその3年後にトレードされたのも驚いたが、何と言っても1985年(昭和60年)1月キャンプイン直前に、竜のスター選手だった田尾安志外野手が西武ライオンズ(現・埼玉西武)に移籍したことは、今なお多くのドラゴンズファンの“心の傷”であるはずだ。その後、2度にわたってドラゴンズを指揮した星野仙一監督時代は、トレードによる“血の入れ替え”が活発だった。抑えのエース・牛島和彦投手ら4選手を放出して、三冠王・落合博満選手を獲得した4対1トレードはあまりに有名だが、その他にも、大島康徳、平野謙、中尾孝義、矢野輝弘、大豊泰昭といったチームの中心選手を他球団に出し、代わりの選手を獲得してチームに刺激を与えた。

“ポパイ”井上がチームに喝を!

トレードでドラゴンズにやって来た選手で、心に残る選手がいる。1973年に広島東洋カープから移籍してきた井上弘昭外野手だ。ニックネームは「ポパイ」、その名の通り、いかにも頑丈な体格だったが、そのプレーも力強かった。移籍2年目の1974年には、マーチン選手、谷沢健一選手と共にクリーンアップを打ち、ペナントレースを制し応援歌『燃えよドラゴンズ!』でも「3番井上タイムリー」と歌われている。そう、井上選手はタイムリーなのだ。勝負強い打撃が特に印象に残っている。翌1975年はかつての同僚であるカープの4番・山本浩二選手と激しい首位打者争いを演じた。安打がほしい打席でデッドボールを受けたが「当たっていない」と主張して、あくまでも打率を上げることにこだわった根性は、当時のドラゴンズの中でも際立っていた。比較的おとなしいイメージもあった竜打線に、そんなしぶといパワーを注入し、多くのドラゴンズファンからも愛された。

与田ドラゴンズの刺激剤

入団会見時の加藤翔平選手(C)CBCテレビ

3年目を迎えた与田剛監督のドラゴンズは、2021年もなかなか波に乗れないシーズンを戦っている。セ・パ交流戦は、早々に日本一チームの福岡ソフトバンクホークスを叩いて首位を快走、しかし後半になると失速して、せっかくの勢いを手放してしまった。相変わらず1軍と2軍の選手入れ替えは少なく、長年の課題である野手の“新旧交代”も停滞している。そんな中、トレードでやって来た加藤翔平選手は、華やかなデビューを飾り、3試合連続でスタメン出場している。特にここ2試合は「2番」を任されて、送りバントなど堅実なプレーを見せている。これからが楽しみだが、それに刺激を受けて、1軍の野手たちも、そして2軍の若手たちも負けずに頑張ってほしい。それこそがトレードのもうひとつの成果である。(成績は2021年6月21日現在)

まったく遠慮することはない。竜の背番号「52」は大いに暴れまくって、チームに波風を立ててほしい。竜が天に昇るためには、時に激しい雨雲も必要である。全米を熱狂させている大谷翔平選手にあやかって、竜の加藤翔平選手にもド派手な“ショータイム”を演じてほしい。Bクラスに低迷、梅雨空のようにすっきりしない戦いを見せられているドラゴンズファンとしては大歓迎である。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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