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日本の性教育は遅れている…「歯止め規定」による影響か 梅毒・クラミジアの流行

日本の性教育は遅れている…「歯止め規定」による影響か 梅毒・クラミジアの流行

梅毒やクラミジアなどの性感染症が、若者の間でかつてない勢いで広がっています。その原因や“性のカジュアル化”がみえると言われる背景とはなにか。そして、無料の性感染症匿名検査や感染の予防対策など、知ってほしい性感染症の今を取材しました。

「人にうつしているかも…怖い」自身の発症に驚く20代女性

CBCテレビ:画像 『チャント!』

20代男性に性感染症の検査結果を見せてもらいました。HIVや梅毒、クラミジアなどの病名が並ぶ中、男性の結果は全て陰性。検査を受けた理由を聞いてみました。

(20代男性)
「最近性感染症、特に梅毒がはやっているというニュースを見て、ちょっと自分も心配だったので一応念のため検査を受けました」
「(Q陰性の結果を見て、どんなお気持ちですか?)安心したという感じです」

この数年でクラミジアに2回感染した、愛知県内に住む20代の女性。

(20代女性)
「まさか自分がかかるとは思っていなかったので、正直とても驚きました。(性行為を)不特定多数としたわけではなかった」

すでに治療して完治はしていますが、繰り返し感染したことについて話します。

(20代女性)
「自分が人にうつしていたかどうかもわからないということが、非常に怖かったです。将来不妊症になってしまう可能性があるということも、とても怖かったです。」

「性行為の“カジュアル化”が原因か」東海3県で過去最多の発症数

CBCテレビ:画像 『チャント!』

「クラミジア」は最も患者数の多い性感染症です。自覚症状がないことが多いため気づかずに人にうつしてしまう恐れがある上、放置すると尿道炎や不妊症になる恐れもあります。そして、名古屋市では特にこのクラミジアが爆発的に増えています。指定医療機関から報告されたもので、ことしは先月末までで月平均ですでに100件以上。5年前のおよそ2倍に増えています。また、年齢別に見ると、15年前と比べて、20代を中心に若者の間で急増しています。

そしてより恐ろしいのが「梅毒」。放置すると、脳や心臓に重大な合併症を引き起こすこともありますが、ことしは先月末までに全国で11,000人あまり、東海3県でも合わせて850人以上と今の統計になってから、過去最多となっています。

(名古屋市保健所長・松原史朗 医師)
「性行為がカジュアル化していて、特に梅毒ですとか性器クラミジア感染症が増加。色々な(出会い系)アプリなどできて、そういう影響が大きいと思う」

街の若い人に性感染症について聞いてみました。

(10・20代女性)
「遊んでいるとなるのかなというイメージ、最近アプリとかの出会い系が多いので心配になる人が多いのかな」
「ちょっとふしだらなイメージ、ちゃんとしていないイメージがある」

遊んでいる人の病気、というイメージもある性感染症ですが、つきあう相手が一人でも感染の可能性はあるのです。

「アンケートと採血ですぐに結果がわかる」身近にある無料検査場

CBCテレビ:画像 『チャント!』

検査による早期発見が何より重要な中、名古屋市では各区の保健センターで毎月、匿名での無料検査を受け付けています。

予約はスマホから可能で、性別や年齢、感染が心配に思った出来事などのアンケートに答えたあと、採血を行い、1時間あまりで結果がわかります。

(名古屋市保健所長・松原史朗 医師)
「就職するとか、結婚するからと(検査に)来る人もいる。定期的に検査を受けていただくこと、性感染症に感染したときには、しっかりと治療を完了していただくこと。また、パートナーも一緒に治療することなどが大事」

「自分の体を大事に守ってね」性感染症にかかる若い女性たち

CBCテレビ:画像 『チャント!』

繰り返し性感染症にかかってしまった女子高校生、アカネさん(仮名)。以前、交際相手の男性にお金を貢ぐため、いわゆる“パパ活”をしていました。学校の性教育では、性感染症の知識などについてほとんど教わらなかったといいます。

(高校生・アカネさん(仮名))
「男性は思春期になると精通が、女子は月経が来ますよという程度で、そこまで踏み込んだ話をしてこなくて…性教育というものは習っていないんじゃないかな。」

こうした中、性教育に力を入れている人たちもいます。名古屋市の池田公園でボランティアの女性がコンドームを配っていました。

池田公園で、毎月2回ほど開かれる「街角保健室」。医師や教師などがボランティアで性に関する相談にのっています。「街角保健室」の代表を務め、保健体育の先生である中谷豊実代表は、日本の性教育は学校が一番遅れていると指摘します。

性交渉については取り扱わないと定めている現在の学習指導要領。「歯止め規定」と呼ばれるこの決まりのため、こどもに性に関する正しい知識が教えられず、結果的に性感染症の予防が出来なくなっているというのです。

(街角保健室・中谷豊実代表)
「正確なコンドームの付け方はすごく大事ですよね。でも学校ではなかなか教えてくれないと思います。望まない妊娠や性感染症にかからないために、これ(コンドーム)をしっかり使ってほしい」

若者を中心に拡がり続ける性感染症。コロナ禍で、繋がりを求める気持ちが背景にあるのかもしれませんが、何より必要なのは、感染防止の知識の普及です。

CBCテレビ「チャント!」12月15日放送より

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