加藤愛が行く!三重・伊勢市二見の愛されフード『貝めし』を調査! 消えた名物が復活! 数ある中から根づいた“サザエ”の貝めし
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、根づく愛されフードを加藤愛が全力で調査します。今回は、『三重・伊勢市二見』の『貝めし』です。
“貝めし”で有名な『多市屋』を訪問!
聞き込みによると、『貝めし』はサザエを使った混ぜご飯。サザエはとてもやわらかく、ご飯は貝の出汁がきいた一品だとか。教えてもらった『多市屋(たいちや)』におじゃましました。明治時代から続き、伊勢湾の魚介を使った定食の他、仕出し弁当も対応する地元の食を支える老舗の食堂です。
看板商品の『貝めし』は、サザエがタップリのった丼もの。早速いただくと、「ご飯に味が染みている。ものすごくサザエがやわらかく感じました。コリコリしたイメージだけど、身がふっくらでおいしい!」と愛ちゃんは味わいました。
「切ってから煮る」ことがおいしさのポイント
『貝めし』に使うのは、地元で獲れるサザエ。その“活きサザエ”を下茹でしてからカットし、自家製の醤油ダレで煮てうまみを抽出。酢飯を作る要領で、木桶に入れたご飯にその煮汁を混ぜ、どんぶりに盛って、先ほど刻んで煮た2個分のサザエをのせて完成です。この手順で作るため、ご飯の中には身は入っておらず、煮汁によってサザエのうまみをご飯に馴染ませています。
トッピングするサザエは自家製醤油ダレで煮た時にうまみが切り口から入っていくため、味が染みて身がフワッと仕上がるのだとか。タレで煮てから切るのではなく、切ってから煮ることが大事なことだそうで、愛ちゃんも「順番が逆だとダメなんですね」と納得した様子です。
大正時代の写真がきっかけ! プロジェクトで復活した『貝めし』
『貝めし』は実はこの店で出していたものではなく、二見の名物として少なくとも大正時代にはこの地域に存在していたそうです。夫婦岩を有する二見浦は、伊勢神宮へ参拝する前に立ち寄る“禊(みそぎ)の地”で、古くから賑わってきました。観光地としてのピークは大正時代だそうで、当時、ファストフードとして大流行したのが『貝めし』です。二見では年間を通して貝が豊富に獲れ、大勢が集まるとその貝を炊き込みご飯にして振る舞う風習があったそうで、観光客が利用する店でも出すようになったとか。しかし、賑やかな時代が終わるにしたがって、この食文化もなくなっていきました。現在69歳の店主が小学生の頃のことです。
以後、長い間、地元の人たちに忘れられていましたが、役場主催の町おこし事業の最中、偶然『貝めし』と書かれた看板が写った大正14年の写真を発見! これを機に復活させるプロジェクトが立ち上がり、2009年に二見の旅館や飲食店それぞれが好きな貝を使った『貝めし』を作り上げました。サザエを丁寧に仕込んだこの店の『貝めし』はたちまち評判となり、いつしか「“貝めし”といえば“多市屋”」と言われるまでになりました。
(CBCテレビ「チャント!」10月25日(金)放送より)