今こそ気を付けたい食中毒

2022年6月12日(日)放送 【第510回】
今こそ気を付けたい食中毒

サマリーSummary

ゲスト:榊原郁恵
ドクター:東京女子医科大学病院 総合感染症・感染制御部 感染症科 教授 医学博士 菊池賢
気温が上がり梅雨でジメジメするこの時期に、気をつけたいのが「食中毒」。実際に細菌を原因とする食中毒は例年6月から急増しており、普段よりさらに注意が必要なのだとか。そこで今回は「食中毒」について徹底リサーチ!家庭でできる食中毒の予防法などを専門家に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~冷蔵庫&お弁当作りに落とし穴!~今こそ気をつけたい食中毒

気温が上がり梅雨でジメジメするこの時期に、気をつけたいのが「食中毒」。実際に細菌を原因とする食中毒は例年6月から急増しており、普段よりさらに注意が必要なのだとか。そこで今回は「食中毒」について徹底リサーチ!家庭でできる食中毒の予防法などを専門家に教えてもらいました。

気を付けたい食中毒菌

生肉にはこれからの季節に特に気を付けたい食中毒菌が潜んでいる可能性があるそうです。

(1)カンピロバクター
鶏・豚・牛などの腸内に生息している細菌。感染すると2~7日程度の潜伏期間を経て食中毒の症状が現れます。下痢・腹痛・嘔吐といった急性胃腸炎の症状や、発熱・頭痛・倦怠感といった全身症状を伴う事もあるそうです。

(2)サルモネラ
サルモネラ菌は、鶏・牛・豚などの食肉にくっついている事があります。感染すると吐き気・腹痛・発熱・下痢などの症状を起こすそうです。

(3)O-157(腸管出血性大腸菌)
O-157に感染すると下痢・腹痛・血便などを起こします。腎臓・脳などに重篤な後遺症を残す場合もあり、命を落とす危険もある非常に恐ろしい食中毒です。O-157を含む腸管出血性大腸菌は牛の腸管にいる菌ですが、解体する時に肉の表面にくっつく場合もあるため、ひき肉やサイコロステーキの中に菌が混ざってしまう事があるそうです。

家庭でできる食中毒予防 ~冷蔵庫編~

食中毒予防の3原則は、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」。なかでも「増やさない」ために大切なのが、冷蔵庫での食材の保存の仕方だそうです。

・冷蔵庫内の収納量は7割程度に
食中毒菌の多くは、10℃以下で増殖のスピードが遅くなるといわれています。冷蔵庫内を10℃以下に保つためには、冷蔵庫内の食材を7割程度にしておくのが好ましいのだとか。7割を超える場合は、冷気の吹き出し口を空けるようにして収納すると良いそうです。また、冷蔵庫内の温度は上が高く下が低くなっているので、ペットボトルなどの飲料水を上に置いておくのも良いとの事です。

・肉や魚はチルド室か冷凍庫へ
チルド室は、冷蔵庫よりもさらに温度が低く菌の繁殖をしっかり抑えてくれる場所なので、お肉や魚の保管場所に最適なのだとか。また、冷凍庫に入れる事でも菌の繁殖を抑えられるそうです。

・野菜は袋に詰めて収納
野菜室は冷蔵庫で一番温度が高く、開けるとすぐに10℃を超えて菌が繁殖しやすくなってしまうため、これからの時期は要注意。さらに、野菜室の底は野菜の切れ端や土などが溜まって細菌が繁殖しやすいので、野菜をしまう際は袋に詰めたり、下に新聞紙を敷いたりすると良いそうです。

家庭でできる食中毒予防 ~調理編~

・肉と他の食材で調理器具を分ける
カンピロバクターやサルモネラなどの菌を予防するには、お肉を使った調理器具を他の食材と分けたり、使ったスポンジやまな板に熱湯をかけたりするのが有効だそうです。

・鶏肉は洗わずに調理する
鶏肉を洗うと肉に付いている細菌が飛び散り、キッチンが汚染される恐れがあるそうです。鶏肉は洗わずに調理するようにしましょう。

・お肉は中心温度を75℃以上で1分以上加熱する
お肉を調理する際は、十分加熱する事が大切。カンピロバクターやサルモネラなどを死滅させるには、中心温度75℃以上で1分以上の加熱が必要だそうです。

・ハンバーグは蓋を使って蒸し焼きに
ハンバーグなどを焼く際は、蓋をして蒸し焼きにするのが有効だそうです。ある実験でO―157を付着させたハンバーグを用意し、蓋をしなかった場合は9分加熱しても菌が生き残り、蓋をした場合は6分の加熱で菌が死滅したそうです。(※火加減などの条件によっても異なります)また、十分に焼けているかどうかを見極めるには、竹串を使うのがオススメ。ハンバーグに竹串を刺して、透明な汁が出てきたら焼けている合図。少しでも赤い場合は、さらに加熱をしてください。

・お弁当作りは水分を避ける
お弁当は作ってからお昼に食べるまでに数時間のタイムラグがあります。その際にお弁当の中に水分があると、菌が増殖してしまいやすいのだとか。そのため、水分の多い生野菜をお弁当に入れるのは避けるようにしましょう。彩りで緑が欲しい場合は、ほうれん草やブロッコリーなどを茹でてしっかり水気を切り、粗熱をとってから入れるようにすると良いそうです。

・お弁当の梅干しは細く刻んで入れるのがオススメ
梅干しを細かく刻んで混ぜ込む事で殺菌作用がご飯全体に行き渡るそうです。一方、日の丸弁当では梅干し周辺が殺菌されるだけで、お弁当全体の殺菌効果は期待できないそうです。

食中毒が招く恐ろしい病気「ギラン・バレー症候群」

ギランバレー症候群とは、全身の運動神経に麻痺が起こる急性の病気。特に手足などの運動神経に麻痺が起こり、脱力・しびれなどの症状が出るのだとか。重症化すると、呼吸に関わる筋肉が麻痺し、命に関わるケースもあるそうです。

<ギラン・バレー症候群と食中毒の関係>
ギラン・バレー症候群を発症する主なきっかけは、カンピロバクターなどの細菌やウイルスの感染と考えられているそうです。本来は外敵から身体を守ってくれる免疫が異常を起こし、自分の神経を誤って攻撃してしまう事で発症するといわれているのだとか。原因不明の顔・手・足などのしびれや脱力感を感じた場合は、すぐに病院へ行くようにしましょう。

(2022年6月12日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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