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「竜は一丸となって戦う!」立浪新監督の計算されたチーム運営を読み解く

「竜は一丸となって戦う!」立浪新監督の計算されたチーム運営を読み解く
論説室コラム

「竜は一丸となって戦う!」立浪新監督の計算されたチーム運営を読み解く

 2022年3月16日(水) 16:00
北辻 利寿
北辻 利寿
「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督と石川昂弥選手©CBCテレビ

近づく2022年ペナントレース開幕に向けて、立浪和義新監督が率いる中日ドラゴンズの最終調整が急ピッチだ。そこにはチームの“新しい姿”がある。それは、1軍、2軍そして育成、すべてを俯瞰して束ねる計画的な調整だ。

2軍に次々と主力投手

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手©CBCテレビ

シーズン開幕に向けて、1軍はオープン戦、2軍は春季教育リーグを戦っている。立浪ドラゴンズは、この2種類のゲームを上手く活用しながら、着々と戦力の分析と最終調整を続けている。3月5日には今季から先発に転向する岡田俊哉投手、3月8日には福谷浩司投手が、そして翌9日には小笠原慎之介投手が先発した。さらに12日は高橋宏斗投手、翌13日には勝野昌慶投手が投げた。5投手とも登板したのはいずれも2軍の教育リーグだった。同時進行で1軍のオープン戦が行われていて、こちらでは開幕投手に決まった大野雄大投手や柳裕也投手が先発した。小笠原投手はこの2投手に続く1軍の先発候補、高橋宏斗投手はじめ全員が1軍での先発候補である。チームとして1軍も2軍も、その対外試合をフル活用している印象だ。

ブライト健太いきなりの1番スタメン

「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督©CBCテレビ

野手陣も同様である。3月13日に京セラドーム大阪で行われたオリックス・バファローズとのオープン戦には、前日に2軍で3安打の活躍を見せたドラフト1位ブライト健太選手と、ホームランを放ったドラフト6位福元悠真選手の2人が合流した。それも2人ともいきなりのスタメン起用だった。これだ!この勢いを即活かすことが大切。一方で教育リーグには1軍から根尾昂と伊藤康祐の2選手が合流して出場した。選手の“行き来”が実に柔軟で活発なのだ。前年までのドラゴンズは、1軍と2軍の選手分けがキャンプ時点からはっきりしていた。オープン戦はもちろん、シーズンに入っても選手の入れ替えは他チームに比べて数少なかった。当コラムでも度々指摘したように、強いチームというのは、1軍だけではなく2軍そして育成まで、すべての選手が一丸となって優勝ペナントをめざしている。それを率いるのが1軍監督であり、その責任は1軍だけでなくチーム全体に及ぶ。同時にすべての選手をしっかりと見つめ、そして見極める慧眼がリーダーには求められる。

育成選手が輝いたキャンプ

「サンデードラゴンズ」より松木平優太投手©CBCテレビ

立浪体制になっての大きな変化、それは春季キャンプでの育成選手たちだった。背番号「203」上田洸太朗投手と「206」松木平優太投手は、育成の立場ながら1軍キャンプ地でのスタートだった。途中からは育成3年目「207」番の松田亘哲(ひろあき)投手も1軍に加わった。3人とも、キャンプ打ち上げと共に2軍に戻ったが、1軍キャンプ地である北谷では、期間中に気持ちの良い“新風”が吹いていた。そのアグレスタジアム北谷には、読谷村の2軍キャンプから、その日その日、入れ替わりで主力選手も呼ばれて練習に加わっていた。最終段階では、ライデル・マルティネス投手とジャリエル・ロドリゲス投手らが一日だけ1軍にやって来て、実戦形式のシート打撃に加わった。オープン戦初日のブルペンには、ベテランの谷元圭介投手の姿もあった。緻密に計算されている。

風通し良き柔軟な選手起用

「サンデードラゴンズ」よりブライト健太選手と福元悠真選手©CBCテレビ

シーズンを前にして、1軍のオープン戦と2軍の教育リーグ、そのどちらからも目が離せないことは過去にあまり記憶がない。この戦いの中から、来たる開幕には、1軍にどんなメンバーが選ばれるのだろうか。チーム内にも大いなる刺激になっているはずだ。「頑張れば誰でも1軍に上がることができる」。プロ野球だけでなくどんな社会でも、トップがちゃんと“見ていて”くれることほど、部下にとって働き甲斐のあることはない。1軍に合流し即スタメンだったブライト健太そして福元、このルーキー2選手も励みになったことだろう。実に風通しのいい柔軟な選手起用である。立浪監督と片岡篤史2軍監督については、かつてPL学園高校時代の同志、その深いつながりについては度々伝えられてはきたが、2人を軸に、首脳陣の組織内コミュニケーションは、これまでより格段に良くなっていると拝察する。これも“立浪革命”なのだ。

1軍と2軍、縦横無尽に“場”を用意されても、肝心なことは選手がそれに応えることができるかどうか。オープン戦ここまでの戦いを見ていると、前年まで力強かった投手陣は順調である一方、打撃陣、特に十分なチャンスを与えられている若手打者の活躍がまだまだ足りない印象だ。開幕まであとわずか。若竜の奮起をますます期待したい。ここで頑張らねば、いつ頑張るの?
                            
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか

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