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地中に77年間眠っていた“幻のトンネル”!?大阪「亀の瀬隧道」の歴史を紐解く旅

地中に77年間眠っていた“幻のトンネル”!?大阪「亀の瀬隧道」の歴史を紐解く旅
CBCテレビ『道との遭遇』

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニアの鹿取茂雄さんが、大阪府の“幻のトンネル”と呼ばれる鉄道トンネルの歴史を紐解きます。

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【動画】一体なぜ?“幻のトンネル”と呼ばれる「亀の瀬隧道」…竣工から77年後に発見された理由はこちら【8分28秒~】

数奇な運命を辿った“幻のトンネル”とは

CBCテレビ『道との遭遇』

向かうのは、大阪府と奈良県の府県境に位置する「亀の瀬(かめのせ)」と呼ばれる地域。「昔から交通の要衝だった場所。聖徳太子が造った『龍田(たつた)古道』があったと言われている」と鹿取さんは言います。

CBCテレビ『道との遭遇』

亀の瀬には、飛鳥時代に聖徳太子が整備したとされる「龍田古道」が通っており、平城京(=現・奈良市)と難波宮(なにわのみや=現・大阪市)を結ぶ最重要官道として知られていました。

しかし、亀の瀬は非常に山深く急な坂道であったことから、“恐の坂(かしこのさか)”と呼ばれ、往来する人に恐れられるほどの難所だったと言います。

CBCテレビ『道との遭遇』

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「その場所に大阪鉄道が鉄道を引こうと頑張ったが、掘っても崩れてくるのでなかなかトンネルが掘れず、峠の前後の区間だけをまずは開業させて、未開通の区間は人力車で往来するということをしていた。その後、トンネルは完成して使っていたが…」

現在のJR関西本線のルーツである、旧大阪鉄道が明治時代に鉄道トンネル「亀の瀬隧道」を建設。明治25年に完成し使われていましたが、ある出来事が起きたことにより使われなくなったとのこと。

現在は遺構として残されていますが、他では例のない数奇な運命を辿ったことから“幻のトンネル”と言われているそう。今回は特別に撮影許可をいただき、鹿取さん念願の“幻のトンネル”を見学させてもらいます。

偶然発見!地すべりで77年間埋もれていた「亀の瀬隧道」

CBCテレビ『道との遭遇』

目的の場所に到着すると、「旧大阪鉄道亀瀬隧道」と書かれたコンクリート製のトンネルが現れます。中へ入りしばらく歩くと、「この先は埋まっていて、その先へは行けないようになっている」と鹿取さん。

CBCテレビ『道との遭遇』

入口は平成になってから造られたもので、トンネルの中で分岐した右側の道こそが、明治25年に竣工した幻のトンネルと言われる「亀の瀬隧道」。分岐から亀の瀬隧道に入ると、レンガ造りの壁面へと姿を変えます。

「レンガはイギリス積み」と鹿取さん。長いレンガと短いレンガを交互に積み、強度を高めているそう。また、「天井が所々黒くなっているのは、SLの煤煙(ばいえん)」と続けます。

さらに進むと、大量の土砂が埋め尽くしており行き止まりに。

CBCテレビ『道との遭遇』

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「昭和6年に地すべりが起こってトンネルが崩れてしまった。この土砂は、崩れたままの状態を見てもらおうということで整備されている」

亀の瀬隧道が開通してから約40年後の昭和6年。亀の瀬史上最大規模と言われる地すべりが発生。約1km四方の山が動いたという未曽有の大災害で、横を流れる大和川が、水平に約30mも移動するほどの衝撃でした。そして、亀の瀬隧道も地すべりにより崩落。

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「幸い、列車が埋まるような被害は無かったが、原型をとどめないぐらい崩れてしまい放棄された」

CBCテレビ『道との遭遇』

亀の瀬隧道が閉鎖された当時、緊急対応として東西それぞれに仮駅を設置。乗客はしばらくの間、仮駅間の約2kmにも及ぶ山道を徒歩で往来していたそう。この事態を受け、突貫工事で対岸に新たな線路を建設。わずか1年足らずで開通にこぎつけました。

その後も断続的に地すべりは起こり続け、ついに亀の瀬隧道は完全に地中に埋もれてしまい、年月とともにその存在は忘れられていきました。しかし…

(道マニア・鹿取茂雄さん)
「平成20年に水を抜くためのトンネルを掘る工事をしているときに、たまたまこの亀の瀬隧道が発見された」

平成20年、地すべり対策で実施した排水トンネルの掘削工事中に偶然ぶつかったのがきっかけで、地中に77年間も埋もれていた「亀の瀬隧道」を発見。

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少しでも掘る場所がズレていたら発見されなかったという奇跡。さらに、長年地中に埋もれていたとは思えないほど、綺麗な状態を保っていたことから、“幻のトンネル”と言われています。

随所には周辺の岩盤の状態を調べるために開けられた穴があり、強固な岩盤だと分かったため、亀の瀬隧道を貴重な遺構として保存することが決まったそう。

しかし、全長439mのほとんどが崩れており、残ったのは40mの区間だけ。発見した際にはすでにレールが無かったと言います。

長さ100mの杭!?驚きの地すべり対策とは

CBCテレビ『道との遭遇』

昔から、地すべりが起きやすい地域として知られてきた亀の瀬。地すべりの最大の原因となるのが、“すべり面”と呼ばれる粘土質の層。そこに水が溜まることですべりやすくなり、上の地面を動かしてしまいます。

亀の瀬は世界中から研究者が訪れて調査するほどの地すべり多発地帯で、昭和6年の地すべりが起きた際は、2万人もの見物者が訪れたほど。珍しいものを見たさに多くの人が集まったと言います。

現在は山に7本もの排水トンネルを設置し、地中に水をためない対策をしているため、大規模な地すべりは60年近く起きていません。

もし現代に、亀の瀬で大規模な地すべりが起こった場合、土砂で川が塞き止められ、上流の奈良側に大水害が発生。そして、溜まった土砂の塊が一気に決壊すれば、大阪の都市部を土石流が襲い、その被害総額は6兆円になると算出されています。

CBCテレビ『道との遭遇』

今回は特別に許可をいただき、7本の中で初めに造られた「第一号排水トンネル」の中に入らせてもらうことに。

昭和44年に造られた「第一号排水トンネル」は、平成17年に今の形に造り替えられ、硬い岩盤と粘土層の間の“すべり面”が実際に見られる場所も設けられています。

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奥へ進むと、水を抜く立坑(たてこう)の「集水井(しゅうすいせい)」が現れます。この集水井は地上まで約25m。全部で54基あり、集水井に刺された無数のパイプによって、地中の水を効率よく抜き続けているとのこと。集まった水は、排水トンネルを通って外に排出されます。

7本の排水トンネルに、30~60mのパイプを3000本以上刺し、日々水を抜き続けているそうですが、重要な設備は他にも。

CBCテレビ『道との遭遇』

地すべりの動き自体を物理的に抑える対策として、直径6.5m、長さ100mもある鉄筋コンクリートの杭が、なんと55本も地中に刺さっていると言います。もう一回り小さな杭も合わせると、全部で170本とも。

そんな実際の杭が地表に出ている場所もあり、実物を体感することができます。

CBCテレビ「道との遭遇」2026年3月10日(火)午後11時56分放送より

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