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なぜ判断を間違えた?性加害漫画家の示談交渉に出版社編集者が関与

なぜ判断を間違えた?性加害漫画家の示談交渉に出版社編集者が関与

小学館が運営するWebコミックサイト『マンガワン』編集部が男性漫画家の性加害を把握しながら、別のペンネームで新連載の原作者として起用した問題。3月8日、被害女性が代理人弁護士を通じてメッセージを公表し、小学館取締役から5日に電話で謝罪を受け、再発防止を約束されたことを明らかにしたと共同通信が報じました。SNSでは大きく取り上げられた事件ですが、14日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、角田龍平弁護士が解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。

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被害女性がコメント

この事件の概要を簡単にまとめます。
被害女性は通信制高校在学時にマンガ・イラストコースを受講していたところ、講師だった漫画家から長期間に渡り、あまりにもひどい性被害を受け続けていました。

その漫画家が直接的に有罪の罰金刑を受けたのは、2020年にその女性を被写体とした児童買春ポルノ法違反によるものです。

この被害女性は「心から望むことは、被害の実相を広く知っていただき、社会全体でこどもを性被害から護る仕組みをつくることです」と表明しています。

1番の問題点

現在大きな問題とされているのは、その漫画家が再び筆を取ったということよりも、示談交渉をする際に、出版社の編集者が関与していたこと。

この漫画家は事件の発生を隠して休載していましたが、被害女性は「すぐに連載再開はしないでほしい。再開するのなら読者に休載の理由を説明してほしい」と求めていました。
しかし、問題の編集者は連載再開の中止要求の撤回と、性加害について第三者への口外禁止を示談の条件として提示。

被害女性は承諾しなかったために示談は不成立となり、民事訴訟を提起し、先月女性に対し1,100万円を支払うようにという判決が出ました。

この判決で事件の内容が明らかになったことで、SNSではこの漫画家も特定され、別のペンネームで原作を担当していたこともわかりました。
その過程で編集者が示談に関わっていたことも明らかになったのです。

日本の漫画界の独特さ

なぜ漫画家の犯罪に関する示談交渉にまで、編集者が関わっていたのでしょうか。

角田「日本の漫画の世界は、漫画家と編集者が密に関わって共同作業で作品を作っているということで、過度な肩入れというか思い入れがあったのかもしれないですけれども。

漫画家の社会的立場を救済することだけを考えて、被害者の意思を無視した対応に終始してしまったのかなというところですよね。それが全部つまびらかになって批判されていると」

問題になったのはこの編集者が独断で示談交渉で進めていたのか、つまり会社ぐるみではなかったかという点。
この点について編集者は被害女性に対し「会社とも共有しています」と話しているそうです。

職業選択の自由との兼ね合い

今回の問題で「犯罪をしておいて、再び漫画家として活動していいのか」という意見があります。
しかし一方で、その考えは犯罪者の社会復帰や職業選択の自由を阻害するという見方もあります。

ちなみに学校の教師の場合、こどもに対して性犯罪を行なった場合、学校や塾などのこどもと関わる職業には就けないようにする「日本版DBS」が2026年末に施行予定です。

ただ今回の事件に関し、被害女性は「前科がある人であっても絵を描いたり、ストーリーを考えたりすることはしても良いと思いますし、そういう人に発表の場を与えることは一概に悪いことだとは考えていません」とのコメントを発表しています。

一律に考えられない加害者の復帰

被害女性は先に続き、このようなコメントも残しています。

「ただ私は当該加害教員の漫画を読んでいる読者に対して、誠実に休載の本当の理由を伝えるべきと思っていただけなんです。
加害教員には犯罪行為を認めて十分な対処をした上で、二度としないと約束してから次に進んでもらいたい」

さらに、この漫画家がまだ通信制高校に勤め、まだ被害が増えてしまうならそれを防ぎたかったということ、そして小学館が非難されているのは望んでいない、という趣旨の表明をしています。

犯罪者の社会復帰について、角田弁護士は「個別具体的に考えるしかない。事案の程度と被害者の感情も考慮しながら、その中で総合的に判断して出版社も復帰の道を与えるかどうか」とまとめました。

今回のケースでは、あまりにも被害者に寄り添っていない編集者の対応が問題だったと考えざるを得ません。
(岡本)
 

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