【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)出でよ!孝行息子「サンデードラゴンズ」より根尾昂投手(C)CBCテレビ先週末の阪神タイガース戦を終え、カード一巡したドラゴンズ。内容は広島東洋カープとの開幕三連敗から始まり、カード最後の対戦となった地元バンテリンドームでのタイガース戦も三連敗で終わるという無惨な結果。勝ち星はわずか3つ。そして膨らんだ借金の数は早くも8。故障者続出で開幕から戦力が揃わないとはいえ、逆転負けや打線お手上げの連続で意気消沈するファンも多かろう。4月12日終了時点でまだまだ消化した試合数は14試合。まだ130試合近く残っているとはいえ、現状の戦いぶりを見るとなんとも明るい未来は描けない。創設90周年の記念イヤーにまさかの90敗も有り得る負けっぷりなだけに、何かしらの手当が必要。北海道日本ハムファイターズから杉浦稔大投手を緊急トレードで獲得したのは朗報といえるが、こんな時こそファームから孝行息子の出現が待たれるところ。プロ入り初アーチを放ち、ひとり気を吐くルーキー花田旭選手に続く、窮するチームを助けるニューフェイスがひとりでもふたりでも多く出てくることを願ってやまない。さて今回のサンドラは、根尾昂投手の特集。プロ8年目で、2022年シーズン途中に投手転向してから5年目で念願の初勝利を挙げた根尾投手。異例の未知の先に待っていたウイニングボール。番組において密着取材の2年目。挑戦の軌跡を追った。僕は僕「サンデードラゴンズ」より根尾昂投手(C)CBCテレビ根尾昂がこのまま終わるはずがない。そう思って始めた密着取材。それは2025年1月から始まった。真面目な性格に加えて、可愛らしい一面が印象的だった。根尾投手が注目され始めたのは中学時代から。最速146キロを投げるスーパー中学生として名を馳せ、大阪桐蔭高へ進学してからは甲子園のスターとして大活躍。投打の二刀流は春夏連覇の立役者となり、4球団競合の末、2018年に中日ドラゴンズへ入団。ここまではまさに順風満帆な野球人生を送っていた。しかし入団後、結果を出せないまま過ぎゆく歳月。そして迎えた入団4年目、2022年6月。シーズン途中での異例となる打者から投手への転向を決意したあの日は今でも忘れることはない。根尾投手「野手から投手になった例が無いのは聞いてはいますけど、僕は僕なので」自分で決めたことは決して妥協しない。しっかりやり切るだけ。“僕は僕”それはまさに頑固者の根尾投手らしい他を寄せ付けないユニークな言葉と言える。思うように結果が出ない日々「サンデードラゴンズ」より根尾昂投手と立浪和義前監督(C)CBCテレビ転向1年目、球場の空気を変えるリリーバーとして5試合に登板。29回を投げ、勝敗に関係することなく、与四球12、奪三振22、防御率3.41の成績を残した。150キロを超えるストレートを武器に翌年からは先発入りが期待された。しかし…それは突然のことだった。投球メカニズムにズレが生じたのか、翌年の春季キャンプから出始めた制球難。一度狂った歯車はなかなか修正することができず、思うような結果が残せない苦しい日々が続いた。密着を始めた2025年シーズンも1軍登板はわずか4試合。わずか5回2/3イニングを投げ、防御率7.94と不甲斐ない結果に。夢だったプロの世界で待ち受けていた現実。それは荒波の連続だった。それでも乗り越えようとする覚悟を口にし続けた。根尾投手「こういう風にしていきたいというのはもちろんあるので。それは言えないですけど。それを突き詰めていく時間かなと思います」一軍に呼ばれる時にはしっかり抑える準備をするまで。それまで積まれた課題をひとつひとつクリアするだけ。迷うことなく前へ進むのみ。根尾投手は強い信念でいばらの道を歩み続けた。悔しさはあります「サンデードラゴンズ」より根尾昂投手(C)CBCテレビそして背水の8年目。そんな肩書がつくようになった今年。沖縄読谷二軍キャンプで汗を流す彼のもとに一報が届く。それは侍ジャパンサポートメンバー選出。あくまでも正メンバーではなくサポートメンバー。置かれた立場に根尾投手は本音を口にした。根尾投手「悔しさが一番ありましたけど、アピールの場ですし、少しでも吸収して(チームのもとへ)帰っていきたいです」悔しさ、それは本メンバーに同級生が選ばれていること。かつて世代のトップランナーとして牽引していた根尾投手が突き付けられた現在の立ち位置。悔しいという言葉以外にも多くの感情が彼の頭の中には入り混じっていたことだろう。侍ジャパンの強化試合において、根尾投手を取材したのはサンドラスタッフのみ。取材する側から見ても、胸が締め付けられるような厳しい現実。それはあまりに切なく感じたものだった。それでも根尾投手を追い続けた。目の前にあるチャンスをひとつひとつ掴み取っていくだけ。根尾投手はあらためて“覚悟”を胸に秘め、新しいシーズンに向け、身体を苛め抜いた。初勝利はあくまで通過点「サンデードラゴンズ」より立浪和義氏(C)CBCテレビそして声が掛かったのは開幕2戦目。出番に恵まれない日々を過ごしながらも4月4日、神宮球場での対東京ヤクルトスワローズ戦で待望の今シーズン初登板を迎えた。結果、2イニングを無失点に抑えると、迎えた8日、横浜スタジアムでの横浜DeNAベイスターズ戦で迎えた延長10回。6番手としてマウンドへ。2三振を奪い、流れを呼び込めば、直後の11回にチームは勝ち越し。根尾投手に勝ち投手の権利が転がり込んだ。そしてクローザー松山晋也投手がしっかり抑えきり、念願のプロ初勝利を手中に収めた。待ちに待った吉報にドラファンは喜び、そして涙した。それだけ根尾昂という男は多くのファンから愛され続けた稀有なプロ野球選手なのだ。多数お祝いの言葉が寄せられる中、投手転向を決断した当時の監督だった立浪和義さんからも激励のコメントが届けられた。立浪氏「根尾は真面目で頑固な部分を持っていると思うけど、誰よりも努力できるという才能を持っている選手。細かいことは考え過ぎずに今のまま今年は突き進んで欲しい」初勝利で満足するはずもなく、あくまでも通過点。これまでも、そしてこれからも期待を一身に受ける根尾投手はもう先を見据えていた。根尾投手「もう次の試合に気持ちは入っています」チームの調子は優れない現状。しかしまだまだ始まったばかり。中継ぎという今の立場で与えられた仕事をただひたすら全うするのみ。今年の目標は40から60試合登板。根尾投手が登場すればチームの雰囲気は一変するだけに、これからも彼の登板に注目していきたい。そして乗り切れない竜の下支えを是非とも願いたい。ひとつの山を乗り越えた彼ならやってくれるはず。リスタート。投手・根尾昂の野球人生は今再び光を浴び始めた。がんばれ根尾!がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!竹内茂喜