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旅館を熱意ある買い手に託したい!売り手と買い手の思いが交わって実現したM&A

旅館を熱意ある買い手に託したい!売り手と買い手の思いが交わって実現したM&A

昨今、少子高齢化で中小企業・小規模事業者の後継者難が大きな経営課題の一つとなっています。「人生100年時代」の今だからこそ、元気なうちに資産管理やスムーズな承継について考えていく必要性が高まっているのです。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。12月10日の放送では、「旅館の事業継承」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社 経営承継支援 植田駿一郎さんに伺いました。

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旅館業の明暗がくっきり

今回は、「東海エリアで経営されていた旅館の事例」についてです。

北野「旅館業って今、どうなんですか?」

植田「コロナ以降、インバウンド需要の高まりもあって業績が回復してきている旅館が目立っていまして、特に補助金を活用して、コロナ禍でも手を緩めずに設備投資やリニューアルを進めてきた旅館が好調です」

客室を露天風呂付きにしたり、キャッシュレス決済や予約システムを導入したりと、 進化を遂げたところが人気を集めています。

しかし、資金繰りの問題などで設備投資ができなかった旅館は集客力も弱まり、厳しい経営状況が続いています。
さらに、この業界の最大のネックは「人手不足」。働き手の確保が非常に難しく、経営者の高齢化と相まって「人手不足倒産」という言葉も聞かれるほど、決して楽観視できる状況ではありません。

「プロに任せたい」と決断

今回はどんな旅館だったのでしょうか?

植田「東海エリアのとある温泉街で旅館を経営されていまして、売上は2億円ほど。客室は40室ほどでした」

温泉街の中ではメインストリートから少し奥に入ったところにありましたが、社長が補助金を活用して客室や大浴場のリニューアルを積極的に行っていたため、「立地をカバーするほどの集客力」を維持できていました。

北野「好調なようですが、M&Aをされた理由は?」

社長が70歳を迎えたことを機に、本格的な事業承継の検討に入りました。

息子は会社で一緒に働いていたのですが、家族会議を経て「経営を引き継ぐ意思はない」という結論になったそうです。
無理やり継がせて苦労させるよりも、プロの手に託して、この場所と従業員の未来を守りたい、とM&Aを決断しました。

売り手と買い手の思いが一致して成功

北野「ちなみに買い手さんは、どんなところだったんですか?」

買い手は同業で、全国各地で旅館を経営しています。
交渉で特徴的だったのは、買い手企業による「徹底した現地調査」でした。

買い手企業は、買収後に大規模な設備投資とリブランドを計画していたため、 社長や役員陣、不動産の専門家、設備工事業者、買収資金を融資する金融機関まで、 何度もこの旅館に足を運び、建物の劣化状況や、増築の可否、給湯システム、予約システム、そして何よりも「現場で働く従業員さん一人ひとりのスキルと気持ち」まで非常に細かく時間をかけて確認していました。

北野「想いがすごいですが、契約はスムーズにいったのでしょうか?」

植田「はい。売り手社長さんの『旅館への想い』と、買い手企業さんの『この旅館を再生させるという熱意』が交わり、あらゆる懸念事項をクリアにした上で無事に契約締結となりました。」

M&Aの後は、買い手企業が計画通りに大規模な設備投資をおこない、最新のトレンドを取り入れた客室やダイニングが整備。食事はセントラルキッチンによるバイキング形式に変更し、大好評のようです。
立地条件が完璧でなかったこの旅館は、今まで以上に客足が伸び、売上を大幅に更新しました。

北野「旅館を経営している方で、将来について不安に思っている方がいたら、気軽に問い合わせて欲しいですね」

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