歩行者が信号無視で飛び出し接触!車の過失がゼロにならないのはなぜ?
身近な疑問・質問・お悩みを解決するCBCラジオ『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」のコーナー。11月26日の放送に寄せられたのは、「歩行者が信号無視をして飛び出してきた場合でも、車の過失はゼロにならないのか」という質問です。来年60歳を迎える無事故無違反のドライバーからの切実な疑問に、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く明らかに歩行者が悪いのに?
来年で60歳になるというAさん。免許を取ってからこれまで1度も事故や違反をしたことがないといいます。
「ただ最近は車を運転していると、とても危ない瞬間に遭うことが増えた気がしています。車を運転している人だけでなく、歩行者も同じくです。突然飛び出してきて危うく接触なんてことは勘弁してほしいのですが、もし歩行者が信号無視をして飛び出してきて私の車と接触した時でも、こちらが悪くなるんでしょうか」(Aさん)
明らかに歩行者が悪い状況でも車側が悪くなってしまうのはおかしいと感じているというAさん。できればこのまま無事故無違反で過ごしていきたいので、何か注意しておくべきことがあれば教えてほしいということです。
車側の過失が問われる理由
原弁護士によると、歩行者が信号無視をしていても、交差点での事故では「7対3」か「8対2」が平均で、車側にも2~3割の過失が生じるそうです。
北野「車側の過失がゼロになることはまずないと思っておいた方がいいですよね」
原弁護士「避けられないんじゃないかっていうのはよく言われるんですけど、車が動いている以上は過失ゼロはないと言われています」
では、なぜ明らかに歩行者側に非があっても、車の過失がゼロにならないのでしょうか。
原弁護士「車に比べて歩行者っていうのは弱い立場ですから、怪我を負わせる危険性が高いのと、ドライバーであれば、どこから人が出てきてもおかしくないという注意義務を負って運転しているんだから、ゼロっていうのはないよってことです」
つまり、ドライバーには常に歩行者の飛び出しを想定して運転する義務があるということです。
たとえば信号を無視して歩行者が出てくる可能性、車の影から飛び出してくる可能性、公園の近くではこどもが飛び出してくる可能性など、あらゆる状況を想定しなければならないとされています。
ドライブレコーダーの重要性
過失割合は損害賠償額にも大きく影響します。そのため、事故対応においてどう立証するかが非常に重要になってくるのです。
昔は証言しかありませんでしたが、今はドライブレコーダーでしっかり映るため、過失割合の立証に非常に役立ちます。
自分の車の動きや相手の動きも正確に記録されることから、ドライブレコーダーの設置は必須といえます。
過失ゼロは本当に難しい
原弁護士が担当した案件では、交差点を抜けきった後、後ろのバンパー付近に横からぶつかられたケースがありました。一旦は過失ゼロという判断でしたが、高裁ではゼロにはならないと判断されたそうです。
前方からの飛び出しならまだしも、抜けきった後の後部にぶつかられるケースでも、1割程度の過失を認めざるを得なかったといいます。
原弁護士「だからゼロっていうのは本当に難しい」
一方、完全に車が止まっている状態で勝手にぶつけられた場合は、過失ゼロになるとのこと。ただし、コンビニの駐車場などでは「動いていた」「動いていない」が争点になることが多く、ここでもドライブレコーダーの映像が重要な証拠になります。
結局のところ、ドライバーとしてできる最善の対策は、常に周囲に注意を払いながら運転すること、そしてドライブレコーダーを必ず設置しておくことのようです。
(minto)
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