流氷って一体なに?オホーツクの海を覆う白い氷の秘密
オホーツク海沿岸の冬の風物詩、流氷。一体、どんなもので、どこからやってくるのでしょうか。12月24日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、北海道立オホーツク流氷科学センター学芸員の桑原尚司さんに、流氷の仕組みや自然界での役割について詳しく伺いました。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く流氷とは何か
流氷観光の目玉といえば、砕氷船「ガリンコ号」です。
先端にドリルがついており、流氷に乗り上げたり砕いたりしながら進んでいきます。氷を砕く際には「ゴンゴン」という音とともに振動が体に伝わってくる、とても迫力ある乗り物だそうです。
そもそも流氷とは何でしょうか。定義の上では海に漂っている氷塊はすべて流氷と呼ばれますが、一般的にイメージされる白い氷は海水が凍ったものです。
海水温がマイナス1.8度ほどになると海が凍り始めます。
流氷はどこから来るのか
流氷はオホーツク海の最北部やサハリンの東側で海水が凍り、南下しながら成長していきます。紋別付近の海も寒くなれば凍るため、北から流れてきた氷と合わさります。大きいものでは数キロにもなり、押し寄せると水平線のところまで真っ白な氷で覆われることもあるそうです。
流氷のシーズンになると一般の漁船は海から上げてしまうため、ガリンコ号のような特殊な船でなければ氷の海を進むことはできません。通常の船はいかに揺れずにスムーズに進むかが求められますが、ガリンコ号はむしろ振動や揺れを楽しむという、他にはない体験ができる乗り物です。
厚さや大きさがあれば、人が乗ることもできます。桑原さんによると、出来たての頃はシャーベットのようなので乗れませんが、数十センチの厚さになると人が乗っても大丈夫だそうです。
流氷ができるメカニズム
流氷ができる過程について、桑原さんは次のように解説します。寒気がやってきて海が冷やされ、マイナス1.8度になると海水が凍り始めます。このとき、海水の真水の部分が凍ろうとして塩を吐き出します。中には濃い塩が取り残される形で、成長していきます。
北極の方で海が凍ると塩が吐き出され、その塩がどんどん下に沈んでいきます。それが起点となって深層流、つまり海の深いところまでの流れを作り出しています。
流氷が南へ届くのは、風と海流の働きによるものです。北寄りの季節風と、冬に流れる「東樺太海流」という北からの海流に乗って運ばれてきます。
自然界での役割と変化
流氷の底には「アイスアルジー」と呼ばれる植物プランクトンが生息しています。
ガリンコ号で流氷をひっくり返すと、底の部分が茶色く見えます。これがアイスアルジーです。春先に氷が溶けるとアイスアルジーが大繁殖し、食物連鎖の基盤となります。
流氷の面積は年によって大きく変動しますが、長期的なデータを見ると緩やかな減少傾向にあることがわかっています。このまま減少が続くと、数十年後には流氷が届かない年が出てくるという研究発表もあるそうです。
流氷科学センターの見どこ
紋別にある流氷科学センターでは、流氷のメカニズムや流氷の妖精と呼ばれるクリオネを見ることができます。直径15メートルほどの円形ホール「ドームシアター」では、流氷などの自然映像を楽しめます。
さらにマイナス20度の「厳寒体験室」では、本物の流氷が展示されています。「万が一流氷を見られなくても、この施設で見ることができます」と桑原さん。流氷の魅力を存分に体感できる施設です。
(minto)
番組紹介
読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。


