規制強化の動きへ進むか?民泊の諸問題。

東京23区で民泊をめぐる問題が起きています。2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから、各区は独自の条例で営業日数や区域の制限を設けてきました。今年に入ってからゴミや騒音などの苦情増加を背景に豊島区と墨田区が先陣をきって、規制強化の動きを進めています。『CBCラジオ #プラス!』の「ニュースにプラス!」のコーナーでは、住宅宿泊事業法について、光山雄一朗アナウンサーがアディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に伺います。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く民泊新法に基づく民泊
まずどこから民泊なのか、宿泊との違いを教えてください。
正木「旅館とかホテルは専用の宿泊施設を用いたものです。これに対して民泊は一般的な住宅を利用して提供する宿泊するサービスのことをいいます。
民泊は大きくふたつあります。民泊新法に基づく一般的な民泊。特別の地域だけに認められる特区民泊というものもあります」
ホテルと民泊の違い
一般的な民泊について定めている住宅宿泊事業法には、どんな取り決めがあるのでしょう?
正木「民泊は専用の施設ではないので、いろいろな配慮が必要です。例えば感染症の蔓延防止、地域の住民とのトラブル防止のルールが必要です。
ホテルなどをするには旅館業法の許可が必要です。とはいえ、無許可で行われてきてしまったものがあったので、一定のルールを設けて、ホテルまではいかないが、健全な民宿サービスを普及していこうという形で2018年に成立したのが民泊新法になります」
2018年以前、法律に定められていない状態で民泊が広がっていたんですね。
正木「ホテルと民泊の違いは何か?いろいろありますが、例えば専用の建物ではないが住宅は使います。台所、洗面所、浴室、トイレ、洗面設備が備えられていて、実際に人が住んでいたり、賃貸に出されるような、生活する場所として使えるようなマンションや一戸建てを使います。
営業日数には制限があって、年間180日以内じゃないとだめです。さらに、自治体の条例で民泊していい場所、期間も制限が可能ということで、通常のホテルや旅館より制限が多いのが民泊です」
トラブル解消へ
最近、民泊をめぐってどんな問題が起きていますか?
正木「大騒ぎをするとか、家の中に大量のごみを置いたままいなくなるとか、犯罪に利用されたりということもありました。地域住民の方にはすごく迷惑な行為で全国で問題になっています」
気軽に利用できるという反面、使い方によってトラブルが起きたりすることもあるんですね。
正木「地域住民としては今まで通り暮らしたい、向こうは自分たちの文化が前提で楽しみたい。もちろん日本の文化や状態を守って欲しいというのはありますが、そこだけでカバーできないから民泊に関してはいろんな自治体で議論が行なわれています。
東京都豊島区では、騒音、ゴミのポイ捨て、住宅前の喫煙、児童などの写真撮影、声掛けなどのたくさんの苦情が寄せられている中で、これまでではいかんということで、どうにか変えようと議論がなされています。
今までは豊島区は民泊推進という形で制限を設けなかったですが、こういう問題を受けて、新たに制限を設けようとなっています。民泊でいる期間を限定するとか、地域を限定するとか、民泊開設時に住民への説明会をしっかりしましょうとか、なんとか民泊事業と地域の摩擦を減らそうと模索しています」
(みず)
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