最悪取引停止も!事業承継で取引先への通知忘れ

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。6月25日の放送では、東北地方で建築資材の卸売業をしていた会社のM&Aについて北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社 経営承継支援 植田駿一郎さんに伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く支援のために挙手した異業種参入の買い手
今回植田さんは、東北地方で建築資材の卸売業をしていた会社の事例を紹介しました。
どのような会社だったのでしょう?
植田「年間の売上は10億円ほどで、従業員さんは10名弱。メインのお客さんを抱えており、業績は堅調に推移していました」
安定している会社なのに、なぜM&Aをしたのでしょう?
植田「創業社長が経営されていたんですが、高齢であることと後継者がいないことを理由にM&Aをすることを決められました」
買い手はどのような会社だったのでしょう?
植田「これまでに建築や不動産事業を行っていた会社さんで、いわゆる『異業種参入』となります」
後継者難に苦しむ中小企業の支援のため、買収に名乗り出てくれたと言います。
北野「これはすごい助かるパターンだね」
ビジネスを継続していく上で重要な「通知」
M&Aはスムーズに進んだのでしょうか?
植田「はい。買手さん探しから最終契約まで、とてもスムーズに進んでいきました。ただ一点を除いては」
北野「何があったんですか?その一点とは(笑)」
植田「それは、メインの取引先への通知です」
メインの取引先との契約書に「M&Aなどの経営体制が変わった場合は教えてください」という文言が入っていたので、M&Aが実行されたら速やかにメインの取引先へ挨拶に行くようにと、植田さんは売り手・買い手と共に伝えていました。
植田「取引先への通知や許可を取りつけるというのは、ビジネスを継続する上で非常に大事なステップなんです」
嫌な予感が的中
北野「まさか、その通知をしていなかったんですか?」
植田「そのとおりです」
M&Aが実行されてから、担当者から「メインの取引先への挨拶は済みましたか?」と何度も確認していたんですが、いろいろと忙しく都合も合わず、1週間、2週間と時間が経っていったのだと続けます。
そして嫌な予感が的中して、メインの取引先から、売り手宛てに「M&Aしたと噂で聞きましたが、どうなんですか?」と電話が来たとか。
この連絡に青ざめた売り手と買い手はあわてて植田さんに相談。事前に渡していた案内文に沿って対応するよう伝えたところ、速やかに応じてくれて事なきを得たそうです。
最悪の場合は取引停止も
今回のM&Aのポイントは何でしょう?
植田さんは、取引先への通知や許可は、皆が気になるポイントだと前置きをしました。
植田「取引先との契約書がある場合は『通知』『事前許可』という記載がありますので、法的には契約書に沿って対応すれば問題ありません」
しかし、今までの長年のお付き合いもあるので、「実際に訪問するケース」「書面を出すケース」「電話で済ますケース」といろいろとあるのだと植田さん。お客に、取引先との関係性をヒアリングした上で最適な対応方法をアドバイスしているそうです。
植田「今回のように放置してしまうと、問題になってしまいますし、最悪のケースは取引停止と言われかねないので、細心の注意が必要」
「最悪な事態にならないように、適切なプロセスを経て進めていくことが大事」と北野も納得。M&Aを検討されている方に注意を呼びかけました。
(野村)
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