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専門家に聞いた。八代亜紀さんのヌード写真付きCD販売の違法性

専門家に聞いた。八代亜紀さんのヌード写真付きCD販売の違法性

鹿児島市のレコード会社が、一昨年亡くなった歌手八代亜紀さんの私的なヌード写真を入れたCDを販売することに関して、批判の声が上がっています。有識者はリベンジポルノ防止法に違反する可能性があると指摘しています。4月22日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、この「リベンジポルノ防止法」と今回の問題について、アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生が解説します。

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リベンジポルノ防止法とは?

21日になり、発売元のレコード会社はホームページでCDを発売中と記載したことが話題となっています。
まずリベンジポルノ防止法はどんな法律でしょうか。

正木「正式名称は『私事性的画像の記録の提供等による被害の防止に関する法律』。すなわち誰か特定できるようなプライベートな性的画像を、撮られた方の同意なく公表することを禁止するという法律です。

公表されてしまう被害者の方の性的な名誉、性的プライバシーを保護して、個人の名誉、私生活の平穏の侵害を防ごうという目的の法律になります。

元恋人、元配偶者とのトラブルによって復讐とかいやがらせ目的で拡散されてしまったというものが多いですが、法律上の要件では復讐などの目的は問われていません。
承諾なく、誰かわかる形の性的な画像が拡散されてしまえば、面識がない他人が行なった犯行でもこの法律に該当します」

違反するとどうなる?

リベンジポルノ防止法に違反した際はどんな処罰を受けるのでしょうか。

正木「刑罰になります。内容次第ですが、誰かわかる形でネット上で不特定多数の方に拡散した、あるいはデータではなく、印刷した写真とかデータを記録した媒体(USBなど)を不特定多数のものに提供したなど、公然に陳列した場合は、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金となります。

拡散させる目的で特定の少数者に送付するという場合には、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金となっています」

相談件数の増加

この件に関する相談について「表に出ているものと出ていないものがある」という正木弁護士。

正木「検挙数だけで見ると、リベンジポルノ防止法違反という検挙数は、法律の成立が2014年ですが、年間40~50件前後で増減してきました。令和5年は過去最高の62件で年々増えています。

これは検挙数ですが、警察の発表によるリベンジポルノ関係の相談は令和5年で1,812件、7年連続増加していて過去最高となっています。

相談内容としては、画像が公表されてしまった、公表すると脅されたり、画像を送りつけられた、相手が画像をもっているがどうしようという相談まで含みます。

個人的には男女トラブルの中で性的な画像のやりとりは結構出てきます。
離婚の話のとき、交際相手とトラブった相談の中で、実は相手がそういった画像を持っていて公表するぞと脅されるなど。

相談段階で止まっているので、警察の相談、摘発件数に入っていないものも含めると、かなりの数に達します」

さまざまな専門家の意見

今回の八代さんの件が違反にあたるのか、尋ねました。

正木「専門家の間でも見解は分かれていますが、成立の可能性はあると思います。問題になっている写真ですが、八代さんが20代の頃に同棲相手の方が撮影されたヌード写真と言われています。

撮影に関して、公表に関してご本人の同意があったか正直わかりませんが、交際相手が撮影したことを考えると、おそらく公表を前提に撮影されたものではないだろうし、公表を承諾したという事実は今のところ見受けられません。

そうだとすると、公表されること前提でない、性的写真が配布されるということになれば、リベンジポルノ防止法に違反する可能性は出てくると思います。

ご本人が当時公表について認識していたかどうかを立証するのは難しい、という問題があるのと、今回の法律が亡くなった方が対象になりえるかどうかは法律上明記されていません。ということで、対象になるかどうかは見解が分かれています。

ご遺族の方によるそのような画像が拡散されてしまった場合の削除要請が認められている
ということで今回、亡くなった方も対象になり得ると解釈できるという方もいます。

逆に性的なプライバシーは生きている方の権利なので、そもそも対象ではないという専門家もいます。

ですが、みなさんの発言をみていると、亡くなった後にこういった写真が拡散されるということは、法律以前にモラル的にどうなのという疑問が多く出ています。こういう事案が発生しうることを考えて、改正するのか、解釈を広めるのか、もろもろしっかりカバーができるような法律に、今後しなければいけないと思います」

相談ダイヤル

リベンジポルノ防止法に抵触しそうな被害にあったときはどうすればいいのでしょうか?

正木「被害を受けてしまったときは、早急に最寄りの警察署に連絡をしてください。警察の相談専用ダイヤル#9110、性犯罪被害相談電話#8103があります。

ただ1回外に出てしまったものを止めることは難しいです。
なので、どれだけその時好きな相手でも、意図的あるいは事故で出てしまうことはありうるので、性的な画像、動画は、まず撮影しない。そして撮影させない。また要求されてもどんな相手でも絶対に送らないことが一番です。

もし撮影された可能性があることに気付いた場合は、その場で確認して消させる。放置するのは一番危険なので、その場で対応するようにしてください」
(みず)
 

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