ロシア・ウクライナ「復活祭停戦」守られず混迷深まる。米ロの駆け引きはどこへ?

ロシアのプーチン大統領は、キリスト教の復活祭(イースター)に合わせた30時間限定の停戦を一方的に宣言しました。停戦期間は日本時間の21日午前6時までとされていましたが、実際にはロシアとウクライナの両国が「相手国が停戦を守っていない」と非難し合う展開となりました。4月21日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、停戦が不発に終わった経緯と、トランプ米大統領の和平仲介をめぐる動向について、光山雄一朗アナウンサーとCBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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キリスト教徒が多数を占めるウクライナにとっても、復活祭はクリスマスと並ぶ特別な日です。
ウクライナのゼレンスキー大統領は当初、「ロシアが停戦を守るなら我々も守る」との姿勢を示していましたが、その背景には過去の経験がありました。
2022年にもロシアが「36時間の一方的停戦」を宣言したものの、その間もウクライナへの攻撃は続いていたのです。
今回のロシアによる停戦宣言の背景には、アメリカ・トランプ大統領による「仲介断念」の姿勢が圧力として働いた可能性も指摘されています。
トランプ大統領の苦境と和平交渉の変化
トランプ大統領は就任から3ヶ月が経過していますが、期待されていた成果が見られません。関税政策も思ったような効果を上げておらず、焦りが見え始めています。
選挙期間中、トランプ大統領は「私が大統領になれば、ウクライナ戦争はすぐに終結する」と強気の発言を繰り返し、「24時間で解決する」とまで断言していました。
当初は、ウクライナ側に譲歩を促すことで、ロシアが喜んで戦争をやめるだろうという考えもあったようです。
しかし、現実には状況は改善せず、最近ではプーチン大統領に対しても、以前より批判的な姿勢を強めているとされています。
仲介断念の脅しと緊張高まる外交戦
また、トランプ大統領は最近、ロシアとウクライナの和平交渉の仲介役を辞めるという可能性を示唆し始めました。これはロシア側にとっても好ましくない事態です。
石塚は、プーチン大統領側が「我々は和平を望んでいる」という姿勢を示すために今回の停戦宣言に踏み切ったのではないかと分析しています。
ウクライナの人々にとって、ロシアは「信用できない相手」といえます。「もともと戦争を始めたのはプーチンじゃないか」という思いが根強くあるためです。
ガザ地区でもイスラエルとハマスの紛争が続いており、同様に「就任したら終結させる」と豪語していたトランプ大統領の思惑も、実現には至っていません。
進まぬ交渉と残る不信感
「何もやらないことをちらつかせるのは最終カード」という三浦優奈に、「それはそれで世界からツッコまれる」と石塚。
「トランプ大統領は、『でも俺が止めただろう』と言いたい。けれど、『投げ出した』と言われるのは本当は嫌なんでしょうけど。あの手この手で、なんとか前進させようとしている」と分析します。
強く言うことでロシアとウクライナの反応を見ながら、また新たなカードを切ってくる可能性もあります。トランプ大統領は「人命が失われている以上、何よりも平和を実現したい」との姿勢を見せつつも、現時点では大きな進展は見られていません。
別の動きとして、ウクライナとアメリカが資源開発に関する合意文書に、まもなく署名する見通しが報じられています。これは本来、ゼレンスキー大統領がワシントンを訪問した際に締結される予定でしたが、当時の対立により先送りとなっていたものです。
このことも、今後の米ウクライナ関係に大きな影響を与える動きとして注目されています。
(minto)
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