大人は重症化しにくい百日咳、でも安心してはいけない

こどもを中心に感染し激しい咳が続く百日咳の流行が続いていて、今月6日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者数は722人と、先週に続いて過去最多を更新しました。特に生後6か月以下の乳児が感染すると重症化して死亡する恐れがあり、日本小児科学会は、これまでの治療薬が効かない耐性菌が各地で報告されていると発表しています。4月19日放送『北野誠のズバリサタデー』では、日本感染症学会幹事で愛知医科大学病院感染症科教授の三鴨廣繁先生が、百日咳の患者が増えている理由や危険な点などについて解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く百日咳はどんな病気?
昔からこどもがかかる病気というイメージが強い百日咳ですが、三鴨先生は「大人でも問題になっている」と警鐘を鳴らします。
百日咳は百日咳菌の感染により、特有の痙攣性のある激しい咳の発作を起こす急性の気道感染症で、日本だけではなく世界的に見られる疾患で、年齢に関係なくかかってしまいます。
ただ、やはり小児が中心であって、母親から免疫が十分でないと乳幼児の早期からかかる可能性があり、特に乳児が罹患すると重症化してしまい、肺炎や脳症を合併し、まれに死に至ることもある怖い病気です。
感染力は非常に強く、基本的に飛沫感染や接触感染でうつってしまうため、飛沫が机や手すりについて、それを触ったことで口に入ったり鼻を触ったりするとうつる可能性があります。
大人は百日咳にかかってもそこまで激しい咳の発作は見られないのですが、こどもにうつると重症化するため、大人がかかっても問題ないということではありません。
百日咳が増えてきた原因
百日咳は昔からある病気ですが、なぜ今、特に患者数が増えて話題となっているのでしょうか?
三鴨先生は主な理由を2つ挙げました。
ひとつは特に中国で百日咳が流行っている中で、インバウンド効果により日本に旅行に来られる方が増えたことで、感染者が増えているということ。
また、中国では今までの薬が効かない百日咳菌が増えているのも問題となっています。
さらに大きなもうひとつの理由としては、百日咳のワクチンがあまり打たれていないこと。
三鴨先生によると、実はこどもの頃に百日咳のワクチンを打っていても、効果は3~5年で効果が薄れ、10~12年で完全に効果がなくなるそうです。
また、大人になって百日咳のワクチンを打つ人が少ないため、現在は大人も感染しやすく、普通の咳と区別がつかないから広まりやすい状況が続いているのです。
大人で特に摂取すべきケースは?
現在もこどもは定期接種で百日咳のワクチンを打っていますが、大人が打った方が良いケースもあるそうです。
それは外国へ長期に滞在する場合で、国によっては百日咳のワクチン接種を求めてくることがあります。
現在、大人の摂取は任意のため自費での負担となりますが、特に妊婦さんが接種することが大事だそうで、胎児に抗体が行くのでこどもを守ることになると、日本産科婦人科学会や日本小児科学会が勧めているとのことです。
(岡本)
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