日本人の2人に1人は顎関節症!? あなたのあごは大丈夫?

日本人の2人に1人はあごに何かしらの不具合があると言われているそうです。4月11日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』には、「大きなあくびであごが外れるが治せるのか?」との質問が寄せられました。この質問に、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が回答します。
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相談内容は次の通りです。
「二十歳の頃から大きなあくびをすると、あごが脱臼、外れてしまうことに悩まされています。
普段は手で押さえるなど口を大きく開けないように気をつけていますが、2、3年に一度くらい、油断した際にずれてはまってしまい、こうなると自力ではどうにもならず、歯科医院や接骨医院で治してもらっています。こういうものは治るものでしょうか?」(50歳・男性)
「あごが外れる」とは医学的にはどういう状態なのでしょうか?
吉田「口を開けるというのは、耳の付け根にあるあごの関節、顎関節の働きです。これはすごく変わった関節で、単純に関節を軸に口を開けているだけでなく、同時に下あごを前にスライドさせています。そうしないと口は大きく開けることはできません。
実際、大きな食べ物をほお張ったり、あくびをするときは必ず下あごを前に突き出して口を大きく開けています。
ところが、下あごが前に突き出す幅が限界を超えてしまうとあごの関節が脱臼してしまう。これを医学では顎関節脱臼といって、意外に多くて、アメリカの大学の研究では人口の5~8%の人が経験することです」
どういう風にあごは外れるか
あごが外れる人、外れない人の違いはあるのでしょうか?
吉田「当然あごの関節の構造に遺伝的な個人差があって、外れやすい人はいます。それに加えて、関節は靭帯が守ってくれていますが、靭帯が緩んでしまうと下あごが前にスライドしすぎてしまうために、あごが外れます。1回外れるとそれで靭帯がさらに緩むので、より外れやすくなって繰り返してしまいます。
現代人に多いですけど、口を開け閉めする筋肉のバランスが悪いと、下あごが不自然な形で前に出てきますので、それであごが外れてしまいます。
特に高齢になると、靭帯も緩みやすくなるし、筋肉のバランスも悪くなりがちなので、今まで大丈夫だった人も、年齢とともに今後あごが外れる可能性があるので、対処の仕方を頭にいれておいて欲しいです」
もし、外れたら
外れたときの応急措置はどうしたらいいでしょうか?
吉田「下あごがほんの少し脱臼した場合はあごの関節に損傷が少ないし、痛みも軽度です。この場合は自分で戻して結構です。
あごを戻すには、あごが外れた側の奥歯に反対側の手の親指を口の中に入れて支えます。残りの指で口の外側から下あごをがっちりつかみます。その状態で下あごをいったん下に少し下げておいて、さらに後ろに引くと元の状態に戻ります。
これはネットに解説記事がイラスト入りでいっぱい出ていますので一度ご覧ください。また、これはあくまでも応急措置で、必ずその後、医師の診察を受けていただきたいです。口を専門に扱う口腔外科がいいです。
ただ、あごが外れた場合、痛みが激しい場合は、自分で戻そうとしたら靭帯をより緩めてしまうので、かといって口腔外科はそんなに身近にはないので、その場合は近所の歯医者に飛び込むといいです。歯医者さんは外れたあごを戻すというのはほとんどの人が訓練を積んでいます」
あごのトレーニング方法
外れにくいようにするにはどうしたらいいですか?
吉田「もちろん大きく口を開けないこと。特に注意してもらいたいことは、虫歯などを治療するときは、あごが外れやすいことを歯医者さんに伝えていただきたいです。チェアの角度を工夫したり、下あごを支える器具で対策をとってくれたりします。
あごが外れにくくなるトレーニングもあります。
まず鏡を見ながらあごをゆっくり開け閉めして、動き方をチェックして欲しいです。あごがわずかにS字とか、くの字とかに動く人が現代人には多いです。この場合は左右の筋肉のバランスが悪くてあごがはずれやすいとわかっています。
その対策として、まっすぐ開けて、まっすぐ閉める。これをゆっくり行なうと、左右の筋肉のバランスが整えられて、あごが外れにくくなります」
2人に1人が顎関節症
あごの健康を守るためにやっておいた方がいいことを尋ねました。
吉田「日本人の2人に1人は顎関節症だと言われています。顎関節症とは口の開け閉めに痛みとか不具合が生じる病気をいいます。あごが外れるのもそのひとつの症状として出る場合があります。
なぜ日本人に多いかというと、寝ているときの歯ぎしりです。実際マウスピースを装着して歯ぎしりを防いだりするだけで治ることは多いです。
夜は楽しく過ごし、翌日の仕事のことはいっさい考えないようにして欲しいです。
あと、日中無意識に上の歯と下の歯を接触させている人は現代人にはすごく多いです。わずかに接触するだけであごには慢性的な負担になります。
それで歯ぎしりを誘発したり、負担が直接作用して顎関節症になりやすいこともわかっていて、その対策として、できれば、1時間ごとくらいに上下の歯を離すことを意識することがあごの健康を守るために提唱されています」
(みず)
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