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定年後の再会が生んだ大発見!日本最大の恐竜「丹波竜」の化石発掘物語

定年後の再会が生んだ大発見!日本最大の恐竜「丹波竜」の化石発掘物語

日本最大の恐竜「丹波竜」の化石が発見されたのは、60歳になったふたりの幼なじみが偶然再会したことがきっかけでした。化石発掘2日目という驚異的な早さで見つかったこの大発見の裏には、定年退職した男性たちの「第二の青春」と友情があったのです。3月25日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、松原タニシがこの心温まるエピソードを紹介しました。

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日本の恐竜

兵庫県丹波市にある「丹波竜」の発掘現場を訪れた松原は、発見者の村上茂さんから直接話を聞くことができました。

日本で恐竜といえば福井県が最も有名です。学名がついた国内の恐竜は約13種類あり、「フクイラプトル」「フクイサウルス」など、福井県で発見されたものが多くを占めています。

そんな中、兵庫県丹波市で発見された「丹波竜」(学名:タンバティタニス・アミキティアエ)は、日本最大の恐竜の化石です。

恐竜の名前は発見された場所の名前が付くことが多くあります。

例えば兵庫県の淡路島で発見された恐竜には「ヤマトサウルス・イザナギイ」という名前が付けられました。これは日本神話でイザナギ・イザナミという神が国生みをした地とされる淡路島にちなんだ命名です。

始まりは偶然の再会

村上さんは友人の足立冽(きよし)さんと共に「丹波竜」の化石を発見しました。現在80歳ほどの村上さんがこの発見をしたのは2006年8月、約20年前のことでした。

元々大阪でサラリーマンをしていた村上さんは、60歳になって地元の丹波に戻りました。定年退職後も働き続けることはできたものの、故郷でゆっくり過ごしたいという思いがあったのです。

地元に戻った村上さんは、自分より年上の人ばかりの高齢化が進む町を何とか活性化させたいと考えていた時、学生時代の親友である足立さんと偶然再会しました。

久しぶりの再会にふたりは旧交を温め、お互いの近況を語り合いました。足立さんは学校の先生を定年退職した後も非常勤講師として働いていること、村上さんは農業も視野に入れて考えていることなどを話し合います。

そんな中、足立さんから面白い提案がありました。

発掘2日目での発見

足立さんの提案は、丹波市山南町に「篠山層群」という1億1000年前の地層があり、そこで化石を探せるというものでした。

「昔の花や動物の骨が出てくる」「化石が見つかったら町おこしにもなるかもしれない」「恐竜の骨でも見つかったらすごいことになる」とふたりは意気投合しました。

ふたりは川辺でパンツ一丁になり、少年時代のように魚釣りや川遊びを楽しんだ後、「気持ち良かったな。じゃあ、そろそろ化石でも探そう」という軽い気持ちで発掘を始めました。すると驚いたことに、わずか2日目にあるものを発見したのです。

ハンマーで慎重にたたきながら壊さないように引き抜くと、骨らしきものが2個出てきました。「恐竜の骨じゃないか?」と驚いたといいます。

学芸員も驚いた貴重な化石

「まさかそんな簡単には見つからんやろ」と思いながらも、三田市の「人と自然の博物館」の学芸員・三枝さんに見てもらうことに。

最初は「恐竜の骨がそんな簡単に見つかるはずがない」と言われましたが、実際に見せると「これは本物の骨ですね!」と驚かれたそうです。

「今すぐ発掘場所を保全して、盗掘されないようにしないと。国にも正式に報告して、慎重に進めなければなりません」となり、そこから6年かけて多くの骨が発掘されました。

発見されたのは体長15メートルほどの恐竜で、日本で見つかった中では最大級の竜脚類でした。この恐竜はブラキオサウルスやティタノサウルスの仲間と考えられる新種だったのです。

友情を冠した恐竜の名前

新種の恐竜に名前をつける際、「丹波」の地名と「ティタニス」(ラテン語で「大きい」の意)を組み合わせました。

通常は発見者の名前も付けられますが、「足立と村上の両名を入れると長くなりすぎる」という文字数の制限がありました。

そこで村上さんは「ふたりの友情があったからこそ発見できた恐竜」という思いから、「友情」を意味するラテン語「アミキティアエ」を学名に加えることを提案したのです。こうして「タンバティタニス・アミキティアエ」という名前が誕生しました。

これは世界的にも非常に重要な発見であり、竜脚類の進化過程を解明する上で貴重な手がかりになるそうです。

丹波竜が生んだ地域の活力

現在は「丹波竜の里公園」が整備され、発掘体験や「丹波竜の恐竜焼き」というお菓子が販売されるなど、地域活性化に大きく貢献しています。

「マジでちょっと行ってみてほしいんです」と熱心に勧める松原。大阪駅から丹波路快速で福知山駅へ行き、そこから約1時間半で下滝駅に到着。駅から徒歩20分ほどで「丹波竜の里公園」に行けるとのことです。

さらに魅力的なのは、運が良ければ発見者の村上さん本人が現地で案内してくれる可能性があるという点です。貴重な第一発見者の生の解説を聞ける機会かもしれません。
(minto)

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