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「財源がない」は本当?地方創生26事業で予算の半分が使われず

「財源がない」は本当?地方創生26事業で予算の半分が使われず

安倍政権が2014年に始めた地方創生事業。この初代担当大臣は現在の総理大臣である石破茂氏でした。2025年度予算案では、2024年当初比から倍増となる2千億円の交付金を計上するなど、看板政策として再び力を入れようとしています。国が公表した2015年度から2024年度の行政事業レビューシート約5万4千部から、日本経済新聞が地方創生を目的とした事業を洗い出したところ、執行状況が確認できたのは292事業で、そのうち26事業は予算の過半を使い切れず国庫に返納していたことがわかりました。2月22日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、北野が気になるニュースとして地方創生事業を取りあげ、内閣府地域活性化伝道師、まちづくり専門家の木下斉さんが解説しました。

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予算が使い切れない原因

国は地方創生事業に予算をつけて地方にお金を使えと勧めているものの、自治体では人手不足のため予算が使い切れない状況だそうです。

地方創生の計画は秋ぐらいに国から指示され、年度末までに立てなければなりません。
時間も人も足りないため、結局コンサルタントにお金を出して計画を出してもらうことになります。

しかし遂行にあたり役所が対応し切れず、予算が消化できないということがあるようです。
また、せっかく遂行しても効果が疑問視される事業もあるようです。

例えば、野菜や果物の輸出促進事業についても、

木下さん「海外で例えばシンガポールとかいろんなところで日本の野菜を持って行って、百貨店とかでイベントをやるんですよ。
イベント屋は儲かるんですけど、1回持って行ったからって売れるわけがないので、結局一発のイベントで終わりなんですよ。

国が金を出しました、単年度予算でイベントをやりました。じゃあ(日本の野菜を店頭に)置きますかって言ったら、そんな簡単じゃないですよね」

後に続かない事業

ここで「なぜイベントの後に営業活動をして、その後の商売に繋げないのか?」と疑問を投げかける大川興業の大川豊総裁。

木下さん「事業に書かれているイベントをやることが目的なんです。イベントまでは税金、そこから先は自主努力だと誰もやらないんですよ。来年は違う予算を取って違うことをやろうってなっちゃうんですよ」

木下さんによれば、後から行政評価は行われるものの、評価がマイナスだから予算を返すということはありません。
会計検査院がチェックするのは、あくまでも計画通りに実施されたかどうかであるため、成果が低いから無駄という結論にはなりません。

そのため、計画段階では「外国の人を100人集める」などといった簡単に達成可能な目標を立てておき、実施して問題がないと判断されるわけです。

単年度予算のデメリット

単年度予算のためイベントが継続されにくいというのも、事業に効果が出にくい原因となっています。

木下さん「民間の事業って毎年積み重ねていって、販路も作ってしっかりやっているので。当然ですけど、スーパーにしてもデパートにしても、そういう人たちを信用するわけですよね。

本当に問題があるのは、予算がついてる時があっても翌年度から予算がつかなくなりましたってなったら、補助金がつかないのでやめますという人たちがいるんですよ。

そうすると、スーパーや百貨店は困るので、イベントはやるけれども自分たちの棚には並べないっていう話になるので、まともにやっている人たちの方が信用されると」

なぜ事業は続けられる?

効果のない事業を実施するため、地方公共団体のリソースが消費されることに対し、木下さんは苦言を呈します。

「毎年毎年、アリバイ作りのような予算をずっと計画を立てさせられ、それを執行することを何十年もやっているから、地方が衰退していると思いますね」

また、当初は地方創生事業に対して国が100%負担していたのですが、地方の自由にさせすぎると使い道が適当になってしまうモラルハザードのリスクから、途中から国が半分、地方が半分の負担となりました。

すると、地方は自分たちもお金を出さなければならないため、事業があまり行われず、国の審査も細かく行われることもあって、予算が余ることになったようです。

一方で政治家からすると「地方のためにこれだけ予算を使ってあげている」と選挙民にアピールできるため、事業は実施され続けているという状況のようです。

地方創生の予算が倍増しているといっても、実は別の省庁で行おうとした事業の看板を架け替えて行っているものもあり「実際には予算がそこまで増えていない」とも指摘する木下さんでした。
(岡本)
 

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