一般の人も参加可能。「歌会始の儀」ってどんな皇室行事?
1月22日、皇居宮殿では歌会始の儀が行なわれました。今年の題は「夢」で、国内外から1万6千250首が寄せられ、その中から選ばれた10人が招待されます。最年少は宮崎県の16歳の女子高校生で、最年長は長野県の77歳の男性です。1月22日放送『CBCラジオ #プラス!』では、意外と知らない歌会始についてジャーナリストの北辻利寿さんが解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く奈良時代から続く行事
宮中に人々が集まり共通のテーマで歌を詠んで披露し合うと歌会。
万葉集には奈良時代からすでに行なわれていたことが記述されています。
宮内庁によれば、年始に詠われる歌会としては、記録により鎌倉時代中期に始まったのではないかとのこと。
それが「歌会始」と呼ばれるようになったのは昭和に入ってからのことで、一般の人が歌会に参加するようになったのは1874年(明治7年)から。
宮中の歌会で一般国民の歌が披露されるというのは、世界でも珍しいそうです。
昔の題は難しかった
今年の題は「夢」でした。
これは歌人たちから複数の候補が挙げられた後、わかりやすさや一般の人も選びやすいなどといった観点から、天皇陛下が毎年決められます。
ちなみに昨年の題は「和」で、他には「窓」や「友」など最近は漢字1文字のものが選ばれています。
ルールはテーマの字を必ず入れることで、今年は「夢」を入れないといけませんが、例えば「夢中」などでも構いません。
ただ、昔は必ずしも漢字1文字ではなく、難しかったようです。
例えば明治に入って最初の題は「春風来海上」。この時は文字をそのまま使うのではなく、この文言の意味をテーマに詠むというものでした。
他にも「新年望山」や「雪中早梅」といった四字熟語もテーマに使われていました。
それが戦後になると初めて漢字1文字のテーマとなり、1953年(昭和28年)の題は「林」で、他にも「雲」や「星」、「朝」や「海」などもありました。
誰でも応募可能
ルールについては、応募は1人1首、大前提として自作の歌であり未発表のものであること、もし選ばれたとしても歌会始の儀までに公言してしまうと無効になってしまいます。
また、宮内庁にメールで送るというわけにはいかず、様式がきちんとあります。
習字用の半紙を横長に使い、右半分にお題と自分の短歌を書き、左半分に郵便番号、住所、電話番号、氏名、生年月日、職業を書きます。
毛筆と墨で書きますが、代筆は不可です。
筆で書き慣れていない方は、まずは習字の練習から必要かもしれませんね。
すでに来年の題は「明」と発表されていて、締め切りは9月末消印有効です。
ピーク時には3万首ほど応募がありましたが、現在はその半分ほどですので広き門になっています。
それでも招待されるのはかなりの競争率ですが、興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(岡本)