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敬礼やアイドルの衣装が問題に?「ナチス」想起への批判

敬礼やアイドルの衣装が問題に?「ナチス」想起への批判

1月20日に行なわれたアメリカのドナルド・トランプ大統領の就任祝賀会にて、実業家であるイーロン・マスク氏が登壇した際に行なったジェスチャーが物議を醸しています。ナチス式の敬礼ではないかとの指摘が上がっているのです。この件に関して、1月22日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』でも意見が交わされました。リスナーからの投稿とともに、つボイノリオと小高直子アナウンサーがコメントします。

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連想させるもの

まず紹介されたのはこの投稿です。

「マスク氏が大統領就任祝賀会で見せたジェスチャーが、ナチス式敬礼に似ているとして各方面から指摘されましたが、マスク氏は否定していました。

マスク氏の真意はわかりませんが、トランプ政権における性の多様性の否定や不法移民の排除などの多国間主義からアメリカ第一主義になる動きや、これまでアメリカが進めてきた進歩的な政策を完全に過去に戻す流れが、それまで先進的とされていたワイマール憲法を握り潰したナチスの動きに似ている、という指摘もありました。

なんだか、だんだん悪い方向へ行ってしまいそうな予感がします」(Aさん)

欧米ではこれまでにも、公の場でナチス式敬礼を行なうことに対しての批判がたびたび起こっていました。当人たちの中では到底許される行為ではないということです。

疑惑を強めたのは

つボイ「ワイマール憲法って本当にいい憲法だった。だけどそれをヒトラーが少しずつ変更したり、解釈を変えたりしていったことで、ワイマール憲法の下であんなことが起きてしまうのか、ということでよく例に出されますよね」

ワイマール憲法には近代の民主主義の基となる内容が規定されており、歴史的にも優れた進歩的な取り決めでした。ですがそれも指導者次第ということです。

小高「過去に少しナチスを擁護的に論評したこともある、ということで話題になっていますよね」

マスク氏は過去に自身がオーナーを務めるX(旧Twitter)にて、ナチス・ドイツ擁護者が出演した番組を「見る価値がある」と投稿し、多くの批判を集めました。その後は投稿を削除し、謝罪しているようです。

小高「今回の件に関してトランプ氏の支援者は、『ローマ式の敬礼である』と弁明してるみたいですね」

日本でも似たことが

「真相はわかりませんが、問題はそこではない」と小高。

小高「イーロン・マスクさんがそれを意図してやったかどうかに関しては、ご本人は否定されてますけど。日本でも、アイドルグループがナチスの制服によく似た衣装を着て活動した時に、欧米からものすごい批判を浴びて秋元さんが謝ったっていうことがあって」

この件に異を唱えたアメリカのユダヤ系人権団体が「ナチスの犠牲者を軽視している」として、グループの総合プロデューサーである秋元康氏に謝罪を求めるという出来事がありました。

小高「ちょうどその頃って東京オリンピックがあったタイミングで、秋元さんって東京オリンピックにも関わっていたので。そんな国際的なイベントにも関わっているようなプロデューサーがこういうものを作っているのかってところまで波及したんです」

歴史的な悲劇に対する無神経さを表している、と捉えられてしまったようです。

国民性まで疑われる事態

小高「もちろん、アイドルグループの子達はそんなこと何も考えていないし、秋元さんも意図していなかったでしょうが、そういう風に見えてしまうことが、もうすでに欧米の人たちにとっては問題であると。

そしてそのことに気づかないで、アイドルにこういう服を着させている日本社会ってなんて鈍感なんだっていう、日本社会に対する批判にもなってしまったんです」

ナチスを想起させることに対して疑問を抱かないという、日本人全体の意識の薄さにも非難が集まっていたといいます。

小高「日本のアイドルがこういう衣装を着ただけでここまで問題になるんですから。マスクさんって今回アメリカの政治の中枢にかなり入っていくことになるので、本人に意図があろうがなかろうが、そのあたりはすごく気を付けないといけないですよね」

真意はどうであれ、世界中のメディアが注目を集める中で国際的な問題になりかねないパフォーマンスをしてしまったことは、関係者への配慮を欠いた軽率な行為であったと言わざるを得ないかもしれません。

今回の件に限らずですが、当事者たちにとっていかにセンシティブなことであるかを想像する力は、国や性別、立場や年齢に関係なく必要であると感じる話題でした。
(吉村)
 

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