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ネット通販で年間1兆円もの被害!「ダークパターン」って何?

ネット通販で年間1兆円もの被害!「ダークパターン」って何?

15日に読売新聞が報じたところによると、通販サイトなどでユーザーの意図に反して何かを購入させたり何かに申し込ませるなど、悪質に誘導するトリック「ダークパターン」に対し、独占禁止法を適用して規制できるかどうか、公正取引委員会が調査研究に乗り出しているとのこと。消費者の選択を歪め、公正な市場競争を妨げる恐れがあるという観点から検討を本格化させるとのことです。1月18日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、一般社団法人ダークパターン対策協会の石村卓也さんが、ダークパターンについて解説しました。聞き手は北野誠と加藤由香アナウンサーです。

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ダークパターンとは?

まず、一般的にダークパターンとはどのようなことを指す言葉なのでしょうか?

石村さんによりますと、「Webサイトやスマホアプリなどで、消費者が気づかない間に不利な判断や意思決定をしてしまうように誘導する仕組みやデザインなどのこと」とのことです。

消費者に不利ということは、裏を返すと事業者に有利なように誘導されているということになります。

ダークパターン対策協会のアンケート調査によりますと、国内での被害は推計で年間、なんと1兆円を超えるのだそうです。

ダークパターンはさまざまなパターンがあり、考え方によって分類は異なりますが、代表的なものでは、OECD(経済協力開発機構)が7つの類型を提示しています。

解約しづらいしくみ

類型の1つ目は「執拗な要求」。

例えばアプリで位置情報データの収集をオンにするよう、執拗に何度も繰り返し要求する通知を出すことがあります。

ユーザーは毎回この通知が出るのが煩わしいと感じ、オンにすることで、位置情報を業者に伝えてしまい、場合によっては意図せぬプライバシーの漏洩につながります。

2つ目は「妨害」。

例えばあるサブスクサービスを解約しようとしても、解約の仕方がわかりにくい、複雑で解約できないといった仕組みが考えられます。

申し込みの時はWebサイトで1クリックで簡単にできたのに、解約しようとしたらコールセンターに電話しないといけない、しかもコールセンターがつながりにくいというケースもあります。

知らない間に個人情報が

3つ目は「こっそり」。

例えばオンラインショッピングで買い物をしていて、最後の購入確認でこっそり手数料が追加されていたり、無料のトライアル期間が終了した後、気づかないうちに自動的に定期購読になっているというケースがあるとのことです。

4つ目は「強制」。

例えばオンラインサービスを利用する際、ユーザー登録を強制的に求められ、本来はそのサービスを利用するためには必要がない個人情報の提供を要求されるというものが該当します。

5つ目は「干渉」。

事業者に都合の良い選択肢を視覚的に目立たせて、都合の悪い選択肢を目立たなくしていたり、事業者の都合の良い選択肢にあらかじめチェックをつけているので、そのまま画面を進めると、意図せずに選択したことになります。

最近Webサイトでよく目にするのがクッキーバナーで、「サイトのクッキーの利用に同意してください」というポップアップが表示されるのですが、同意するとサイトの閲覧履歴などが事業者側に収集され、デジタル広告の表示に利用されます。

例えば、「最近、やたらこのジャンルの広告が出てくるけどなぜ?」と思われることがあるかもしれませんが、それはあなたがこのジャンルのサイトをよく見ているという情報が流されているためです。

嘘の口コミで人気を偽装

6つ目は「社会的証明」。

例えば嘘の口コミを表示したり、「今、この商品を多くの人が見ています」と表示したりすることで、あたかも人気があるように見せかけ、商品の購入やホテルの部屋の予約を促すものです。

最後は「緊急性」。

「在庫があと残り○個です」と嘘の在庫数を表示したり、「セールはあと1時間で終了します」と偽のカウントダウンタイマーを表示したりすることで焦らせ、商品の購入などを誘導するというものです。

今の法律で規制は可能か?

申し込みはしやすいのに解約はしづらい事例について、現行の日本の法制度ではなかなか規制が難しいそうです。
一方、欧米では厳しく取り締まられていて、特にアメリカでは制裁も行なわれているとのこと。

14日、アメリカ連邦取引委員会で「クリックトゥキャンセルルール」が施行され、これはサブスクサービスなどを簡単に解約できるようにすることや、知らないうちに定期購入とならないようにきちんと消費者の同意を取得することなどが定められました。

石村さんは「今の独占禁止法では対応できるものとできないものがある」と解説しました。

先程紹介した「社会的証明」では、自社のサービスは他社のものよりも著しく優良であると顧客に誤認させている点で、他社の顧客を自社に引き込む行為、「ぎまん的顧客誘引」にあたるため、独占禁止法で規制できる可能性があるそうです。

一方で「妨害」や「緊急性」は、他社の商品やサービスよりも優良と誤認させているわけではないため、現行の規制の枠組みでは適用が難しいのではないかということです。

ネット通販の発達により、さまざまな問題も増えてきているため、さらに新たな規制が必要となりそうです。
(岡本)
 

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