尹錫悦大統領の捜査拒否で波紋拡大。SNSが揺さぶる韓国政治
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が事情聴取への出頭を拒否した件について、検察は非常戒厳の宣布が内乱罪および職権乱用に該当する可能性を指摘し、捜査を進めています。12月16日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、韓国政界への影響や国際的な視点について解説しました。
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韓国の現職大統領が身柄を拘束されることになれば、これは史上初の出来事となります。
現在、尹大統領は弾劾訴追案の可決を受けて職務停止状態にあるものの、大統領としての特権は維持され、ソウル市内の大統領官邸で生活を続けているとされています。
一方で、検察は職権乱用により憲法秩序を乱し、暴動を引き起こそうとした疑いがあると判断し、尹大統領を「内乱の首謀者」とみて捜査を本格化させています。
また、韓国の法務省は尹大統領に対し「出国禁止措置」を取るなど、厳しい対応を続けています。
こうした状況から、韓国の政治情勢は非常に慌ただしく変化しており、国内外で大きな注目を集めています。
韓国初の内乱罪適用へ捜査本格化
韓国の大統領は本来、その権限が非常に強く、簡単には摘発や捜査、逮捕ができない仕組みになっています。しかし、「内乱」の罪に問われた場合は例外とされ、今回の捜査もこの理由によるものです。
また、韓国の捜査当局内部では派閥間で「捜査の主導権」をめぐる争いも起きていると報じられています。
現在、尹大統領の職務停止中は首相が外交などの業務を担っていますが、弾劾訴追案が国会を通過しただけでは弾劾が成立するわけではありません。
今後、憲法裁判所が弾劾の是非を判断することになりますが、結論が出るまでには最大180日かかる可能性があり、尹大統領が時間稼ぎを狙っているとの見方もあります。
尹大統領、弾劾に徹底抗戦の姿勢
実際、弾劾訴追案の採決直前には「自分は国民のために全力を尽くしてきた」と訴える談話を発表し、野党側を「何でも反対する無茶な行為」と批判しました。
また、「選挙に不利になることも覚悟して政策を実行してきた」と述べ、世論に支持を訴える姿勢を見せています。
談話の中で尹大統領は「弾劾されようと捜査されようと、これに堂々と立ち向かう」と徹底抗戦の姿勢を示しました。
一部報道では、尹大統領が「保守系YouTuber」の影響を受けている可能性も指摘されています。
これらのYouTuberの主張に共感した一部の国民がデモを行なう動きも広がっているといわれ、SNSやYouTubeが政治に及ぼす影響が改めて注目されています。
SNSが左右する政治情勢
この週末、日本国内でも複数のメディアが世論調査を実施しました。その中で「選挙期間中にSNSで本当かどうかわからない情報が拡散された場合、どう感じるか?」という質問に対し、6~8割の人が「不安だ」と回答しています。
保守系、つまり与党側の支持者たちも尹大統領や政権の運営に必ずしも好意的ではなく、「何をやっているんだ」と不満を抱える層がいるのも事実です。
SNSが政治に与える影響は韓国に限らず、世界中で注目されている問題です。たとえば、ジョージア(旧グルジア)の大統領選挙ではロシア寄りの候補が勝利しました。
この背景にはSNSを通じたロシア寄りの情報拡散が影響した可能性が指摘されています。
また、ルーマニアの選挙においても、SNSを通じたロシアの干渉があったのではないかという疑念が浮上し、選挙結果を再度検討する議論が起きています。
尹大統領が事情聴取への出頭を拒否したことは、こうしたSNSや情報戦の中でさらに注目を集めています。今後の展開からまだまだ目が離せません。
(minto)