有機フッ素化合物「PFAS」が各地で検出。水道水は大丈夫?
発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が全国各地で検出されています。PFASにはどのような人体への影響があるのでしょうか?12月7日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがPFASについて解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くさまざまな用途で利用されている「PFAS」
発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」。
岡山県吉備中央町では浄水場から極めて高い濃度で検出されたことを受け、血液検査が行われました。
岐阜県の各務原市や、愛知県岩倉市の水道水源などでも検出されています。
大石「あなたの町の水道水は大丈夫?よく聞くけど理解するのを諦めていた、という方もいらっしゃると思います。これを機会に覚えておきましょう」
人工的に作られた有機フッ素化合物で、種類は約1万にのぼる化学物質「PFAS」。
自然界では分解されにくく、体内に蓄積しやすいため、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。
大石「え、大丈夫なの?って思いますよね」
PFASは身近に使用されており、例えばフライパンのコーティング材。
焦げ付きにくく、水や油を弾く性質があります。
防水加工の衣類や、ファーストフードの包装紙内面のコーティングにも使用されています。
大石「あれもPFASだったりしたわけです」
指摘される人体への影響とは?
厄介なのは人体への影響です。
腎臓がんや肝臓がんの発がん性リスク、肝機能の低下、コレステロール値の上昇、赤ちゃんが低体重になる、といった影響が指摘されています。
厳密にはPFASの中で問題になっているのは「PFOA(ピーフォア)」「PFOS(ピーフォス)」と呼ばれる物質。実はこれらの物質は現在使われていません。
大石「今は使われていないから大丈夫です。現時点では使われていませんが『過去使われていた』ということなんです」
PFASがよく検出されているのが、アメリカ軍の基地周辺や自衛隊航空基地の周辺、沖縄の米軍基地周辺など。泡消火剤が使用されているためだそうです。
また、PFASを使っていた化学工場や製造工場の周辺でも検出されています。
ちなみに、歯磨き粉は「有機」フッ素化合物ではなく、「無機」フッ素化合物のため問題ないそう。
地下水に紛れ込んだ原因は不明
大石「水道水にどれだけ含まれているのか心配ですよね」
2020年度から2023年度まで毎年調査が行われており、過去4年間でPFASの基準値を超えたところは全国で14の水道事業体。
岐阜県各務原市、愛知県北名古屋市、三重県桑名市、岡山、京都、兵庫、神奈川などでした。
大石「水道水からどれだけPFASが検出されるか、っていう調査をしたんですね」
今年度の調査では国の基準をギリギリ下回ったものの、全国トップは愛知の岩倉市。また、一宮市の水道事業でも検出されています。
岩倉市に赴いた大石。基本的に地下水を使って水を供給していました。場所によっては地下100メートルくらいの深さだったそうです。
大石「地下でつながっているわけですよ。どこから紛れ込んだか?原因がわからないところが不気味だなと」
安全基準を下回っているとはいえ、今後どのような対応が考えられるのでしょうか?
大石「水源を変える、っていうのもひとつありますよね」
PFASを吸着する活性炭を使った浄水装置で濃度を下げたり、個人でできる範囲ではペットボトルの水を買うことも対策になります。
アメリカやヨーロッパと比べると、国の安全基準はまだ高い日本。
大石「安全基準を下げていって、国としてどうするのか?考えてほしい」
毎日飲む水だけに、確かな安全性を望む大石でした。
(nachtm)