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社長もつらいよ!気づかれたくない事業継承

社長もつらいよ!気づかれたくない事業継承

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。9月25日の放送では、インテリアオプションの企画販売をしている会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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自分の生き方を考えて判断

今回藤原さんが紹介したのは、インテリアオプションの企画販売をしている会社の承継事例。
「インテリアオプション」とはどのような事でしょう?

藤原「住宅や建物を購入された方に、カーテンやソファ、照明などのインテリアの販売に加え、部屋の大きさに合わせた床材や壁紙のデザインをトータルで提案するサービスです」

なぜM&Aをすることになったのでしょう?

藤原「売り手会社の社長さんはまだ50代だったんですが、あとどのくらい生きられるか、どのくらい健康でいられるか、と『自分の生き方』を考えてM&Aを決断されました」

もう一つ、社長のこどもが社会人になったことも大きなきっかけになったそうです。

北野は「生き方ですか…」と感慨深げに繰り返します。
ちなみに、社長はこどもに継がせなかったのでしょうか?

藤原「売り手の社長さんには、お子さんは3人いらっしゃいましたが、お子さんたちの間に不公平が生じるので、親族内承継は選択されませんでした」

業績がいいうちに早めの決断

売り手会社の業績は悪かったのでしょうか?

藤原「建築資材の高騰など将来の不安はありつつも、業績は順調に伸びていました」

社長が譲渡を決めたのは、コロナ禍での影響を経験し、経営基盤や雇用の安定を図る上で、単独よりも大きな会社とともに経営していくのがいいと考えたからだとか。

買い手の会社はどのような会社だったのでしょう?

藤原「同業に近いインテリア企画開発や自社ブランドの家具製造をされている会社さん」

買い手会社は、売り手会社を譲り受けることにより、自社ブランドの家具を提案できるルートを手に入れることができ、購入者の声を直接聞く機会を得ることができると考えたそうです。

承継の準備は秘密裏に

M&Aはスムーズに進んだのでしょうか?

藤原「今回の事例では、成約まで1年ほどかかりました」

M&Aをする際、売り手の社長は、確定するまで従業員に気づかれないように資料を用意したり、買い手会社からの質問に回答したりするなどいろいろなことに奔走します。

藤原「この社長も夜中にこっそり財務帳簿を調べたりしていた」

この売り手社長も普段やらないことに振りまわされ、かなり神経を使われたそうです。

北野「売り手側の社長は従業員には言わないもの?」

藤原「基本的にはクロージングというか成約するまでは言わない方がいいと。結婚とかでも、結婚したわけでもないのにブレイクしちゃうとみんな空気変わっちゃうでしょ」

北野「なんかわかる。秘密裏にやることって気力や体力もいりますよね」

藤原「無駄に従業員も心配しちゃうんで(笑)」

あくまで円滑に事業を承継しようとすると、いろいろ気苦労もあるものだと藤原さん。
タイミングがずれると1~2年くらいかかってしまうこともあるので「M&Aを検討している方は早めに動き出した方がいい」と北野も促しました。
(野村)
 

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