「逆指名」のM&A。売り手となった社長の心境は?
昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。9月5日の放送では、建築関連のサービス事業の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。
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今回藤原さんが紹介したのは、建築関連のサービス事業の承継事例です。
藤原「年商はおよそ2億円で、従業員さんは15名ほど」
建築事業である上、社長が60代後半になり体力の限界を感じたため、廃業の準備をスタート。従業員の再就職先を打診していたそうです。
しかし廃業の予定が、なぜM&Aになったのでしょうか?
藤原「以前、この建築関連会社さんと取引をされていた社長さんが、この廃業準備を進めている情報を聞きつけ、『会社を譲り受けたい』と提案されました」
北野「買い手側から提案があったんですね」
買い手はどんな会社だったのでしょう?
藤原「同業となる大手の建築関連サービス会社。神奈川県にあり年商は120億円ほど」
北野「結構大きな会社ですね」
買い手会社の覚悟が左右
買い手がM&Aを提案した理由は何でしょうか?
藤原「売り手さんの会社のあるエリアが未開拓だったので、イチから進出するより、会社を譲り受けた方が何かとスムーズだと」
北野「ということは、これはトントン拍子に進んだんですか?」
藤原「のはずだったのですが、売り手の社長さんはM&Aという手法を全く知らない状態だったので、『会社を第三者に売る』という事実にショックを受けた」
会社を売る状況を把握できず、心の整理がつかなくなった売り手の社長は「ちょっと考える時間が欲しい」と返答したそうです。
北野「廃業するつもりやったからな、買い取られるっていうのはビックリするわ」
その後、売り手社長は知人や税理士などからM&Aの情報を集め、従業員の雇用が守られるなどのメリットも知り、3~4週間後には正式にM&Aの手続きを進めることになりました。
その後は同業会社ということもあり4ヶ月ほどのスピード成約となりました。
藤原「買い手さんの気持ちが固まっていると、なかなか(取引が)ブレることもない」
北野「一般的には後継者不足から売り手の経営者がM&Aを考えて相手を探すというのはあると思うけど、買い手側から提案するというケースもあるんですね」
今回の承継事案は「特殊なのかも」と関心を示す北野でした。
(野村)