経営が危なくなった会社の味方「中小企業活性化協議会」
昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。8月28日の放送では、中部エリアにあるスーパーマーケットの承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。
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今回藤原さんが紹介したのは、中部エリアにあるスーパーマーケットの事例。
藤原「5店舗経営されていたんですが、経営悪化のためM&Aをすることになりました」
今回は売り手から直接相談を受けたケースではなく、「再生支援協議会」からのオファーだったそうです。
全国各地の商工会議所等が運営していて、収益性のある事業ながら財務上の問題を抱えている中小企業の再生を支援するため、2003年に創設され中小企業を支援している団体で、現在は「中小企業活性化協議会」という名前に変更されています。
北野「再生支援っていうと傾きかけているって丸わかりやもんね」
藤原「そちらから、今回の5店舗を経営するスーパーマーケットの引き継ぎ先を探せるか、という依頼がありました」
財務状況悪化の時にどうするか
北野「自力で再生するのも難しいくらい業績は厳しかったんですか?」
藤原「売り手の最盛期は8店舗くらいあったんですが、数年前に撤退した複数の不採算店舗によって多額の借金を背負い、債務超過に陥り資金繰りが厳しい状況に」
北野「自転車操業だったんですね」
今回の売り手は金融機関5~6社から融資を受けていたそうで、協議を重ねた結果「借金の返済は難しい」との結論になりました。ただ、店舗によっては事業として成り立っていたそう。
北野「5店舗あって4店舗がそれなりに稼いでいても1店舗でも赤字だったらかなりダメやもんね。4店舗の売り上げをそこに費やすことになるから。そこでパシッと切れるか」
とはいえ8店舗から5店舗にしているので「かなり削ったはず」と北野。そのような場合、どのような方法を取るのでしょうか?
藤原「『第二会社方式』という手法をとりました」
会社の中の良い事業だけを取り出して第三者に買ってもらい、その第三者が受け皿会社となる手法で、「第二会社」とも呼ばれているそうです。その第二会社が建て直していくという方法だと解説する藤原さん。
残せるものは残す
今回の買い手はどのような会社だったのでしょう?
藤原「同じエリアの大手のスーパーが買い手となった」
売り手は5店舗中、ギリギリ採算がとれている4店舗だけを譲渡したそうです。
藤原「不採算の1店舗はそのまま残し、売却した代金をその残った会社に入れて、金融機関に借りたお金を出来るだけ弁済していくと」
結果的に、その不採算の店舗だけ残された会社は破産という形をとったとのこと。
北野「これが『第二会社方式』のメリットなんですか?」
藤原「買い手さんのメリットとしては、不採算の部分は引き継がなくてもいい点。売り手さんのメリットは、プラスというより、マイナスをなくすことができる」
北野「こうなる前に手を打ちたかったね」
藤原さんによれば、中小企業のM&Aの評価では債務超過になると価値がほぼつかなくなってしまうそう。
藤原「2~3期連続で赤字が続いて黒字化できない状況になっていたら、早々にM&Aを検討してもいいかもしれない。とにかく、最悪の事態になる前に相談してみてほしい」
(野村)