コメ不足は9月に解消する?その理由について解説
最近、一部の地域でコメ不足が起こっている状況について、坂本哲志農林水産大臣は27日、閣議後の会見で「新米が9月中にも出回るので、品薄は順次解消していく。落ち着いた購買行動をお願いしたい」と語りました。CBCの永岡歩アナウンサーも最近、コメが売り切れているという経験をし、探し回った結果見つけたものの、5kgのお米がいつもより1,000円ほど高かったとのこと。昔はよくコメが余っていると言われてきましたが、なぜ今、コメ不足が起きているのでしょうか?8月28日放送『CBCラジオ #プラス!』ではコメ不足が発生した原因と、この問題が今後も続くのかどうかについて、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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コメ不足が起きた原因はなんでしょうか?
国では、8月に南海トラフ地震臨時情報があった上で、最近は台風が重なり、災害に備えて買い込み需要が発生したことが原因ではないかと分析しています。
ただ農林水産省によれば、今年のコメの生育は順調で、平年より1週間ほど収穫が早まる産地があり、出荷の前倒しにもつながるとのことですので、9月にはかなり商品は回ってくる見込みです。
一方、吉村洋文大阪府知事は政府の備蓄米放出を要望しましたが、コメの需給や価格に影響を与える恐れがあるとして、慎重な構えを見せています。
備蓄米は冷夏が原因で大凶作となったことをきっかけに、1993年から100万トン保管しています。
1993年は全国的にコメ不足が発生し、この時、タイ米を初めて食べたという方も多かったのではないでしょうか。
報道は騒ぎすぎだった?
石塚委員はコメ不足について、「買いだめに加えてインバウンド需要で日本食を食べる人が増えたこと、猛暑で米が育たないところもあった」などの原因を挙げました。
また、最近コメ不足が大きく報じられているものの、地方ではそれほど不足していない状況で、産地ではない東京では先に品不足になったり価格が上がったりしていました。
「放送局の中心が東京だから、『足りないですね!』を大騒ぎしたっていうのが若干あると思うんですよ」とも指摘する石塚委員。
これは全国で放送されている番組でも、首都圏で地震や大雪などが発生した時、特に大きく報じられることと似ているかもしれません。
新しい品種の開発が必要
ただし、楽観視はできないようです。
気候変動や異常気象などは今後も続く可能性があるため、石塚委員は「日本のコメ政策はもっと中期的な視点が必要」と提言。
考えられるのは、将来日本でも暑い環境でも生育できるような品種の改良です。しかし品種開発には10年程度かかってしまいます。
そのような状況下で品種開発を5年程度に短縮できるよう、福岡県農林業総合試験場では今年度、高温耐性をAIで評価できるカメラを導入する予定とのことです。
価格が下がるかどうかは不透明ですが、永岡アナは「うまいコメにはある程度対価として払って、今でも安いですから。ちょっとここは辛抱が続くかもしれません」とまとめました。
(岡本)