休み明けで登校を拒むこども・親を支える「フリースクール」
長い夏休みが終わりまもなく新学期を迎えますが、こうした長期の休暇後、学校に行きたがらなくなるこどもたちがいます。そんな子を持つ親にとって、助け船になるのがフリースクールです。8月27日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、「フリースクールとは?」をテーマに、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が解説します。
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学校を休み始めたきっかけについて、文部科学省が実態を調査しました。それによれば「生活リズムの乱れ」が多かったそうです。そのため、長い夏休み明けのタイミングで学校に行きたくなくなるこどもたちが増えます。
学校へ行けなくなった児童・生徒の数は、令和に入って18万人を超えているといわれ、この数字は増え続けています。
そんな中で助け船となる「フリースクール」について解説する北辻委員。
北辻「学校に通えなくなったこどもたちをサポートする、不登校の子どもたちが学校の代わりの場として過ごす場所がフリースクールです。そういったこどもたちの受け皿になっています。
もともと欧米で生まれたシステムですが、公的な機関ではなく、個人、NPO法人、ボランティア団体など民間による教育機関です。
不登校は1990年代、30年前くらいからずいぶん増え始めていて、フリースクールも2000年代から増えてきて、ここ20年くらいのことです。現在全国に500カ所くらいあると言われています」
フリースクールとは?
フリースクールと学校とはどんな違いがあるのでしょうか?
北辻「学校は文部科学省が定めた学習指導要領に合わせて授業を行います。
フリースクールはまさに『フリー』です。学習の内容もひとりひとりに合わせて違ってきています。例えば、学習に遅れがある場合は前の学年に戻すなど、柔軟性をもっていたり、集団授業ではなく少人数や個別で学習するとか。
重要なことは、不登校のこどもたちにとってフリースクールは社会とのつながりを保つ、唯一の場になっていることです。自宅以外でそういう機会を提供する貴重な場です」
フリースクールのタイプ
フリースクールには様々なタイプがあるそうです。
北辻「まず居場所となるフリースクールがあります。勉強を目的とすることでプレッシャーを与えないように、こどもたちが安心して過ごせる居場所となる存在。学校へ復帰する第一歩となる居場所としてのフリースクールというのがあります。
次に、学校に復帰することをさらに進めて、学校の授業に合わせて学習の指導を行っていくというもの。遅れたこどもには追加で学習サポートもある、そういう学校復帰をめざすフリースクールもあります。
また、専門家がサポートするフリースクールもあります。例えば、学習障害があるこどもたちには、さらに専門的に医療機関と連携して指導援助をするところもあります」
さらにフリースクールに通うことも難しいケースでは、スタッフが自宅を訪問してケアをする場合もあるそうです。
最近ではオンライン参加も可能というフリースクールもあります。
北辻「また、独自の教育内容をするフリースクールもあります。芸術やスポーツなどひとつのことに秀でているこどもたちがいます。本人もそれを望む時は、そういう項目を中心としてプログラムを組み立てるフリースクールもある。いろんなタイプのフリースクールがあります」
登校のみが目標ではなく
フリースクールは民間による機関ですが、国の支援はどうなっているのでしょう?
北辻「2017年に施行された教育機会確保法という法律があります。十分な義務教育を受けられないこどもたちに教育を受ける機会を確保するため、フリースクールなどの民間団体との連携が挙げられています。
重要なポイントとしては登校という結果のみを目標にするのではなくて、こどもたちが自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目的とすると書かれています。
フリースクールを通して、学校以外の居場所を与えて、復帰させるということが国の法律でも定義されています」
フリースクールの課題
一方、フリースクールには課題もあるようです。
北辻「フリースクールは民間の経営なので、塾と同じように費用がかかります。その補助を国がどこまで進められるか。
小中学校によっては、フリースクールに通うことで学校の出席扱いにするところが多いです。が、高校の場合はそれが可能でないところが多いです。これも今後の課題です。
解決しなければならない課題は多いですが、こどもたちを守るという方向性は一致していますから、これからもフリースクールは大切な存在です」
(みず)