評議検討会委員が語る。「南海トラフ地震臨時情報」とは?
8月8日16時43分頃、宮崎県南部の日向灘を震源とする大きな地震がありました。最大震度6弱、震源の深さは約31km、地震の規模を示すマグニチュードは7.1と推定されています。この地震を受けて、気象庁は有識者で構成する評価検討会を臨時で開催し、初の「南海トラフ地震臨時情報」が出されました。判定は3段階ありますが、19時15分に「警戒」に次いで2番目の「注意」が発表されました。この「南海トラフ地震臨時情報」とは、どのようなものなのでしょうか?9日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、南海トラフ地震の評価検討会委員を務める名古屋大学名誉教授の山岡耕春先生に尋ねました。聞き手は山内彩加アナウンサーと竹地祐治アナウンサーです。
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まず山岡先生に尋ねたのは、宮崎県で起きた地震について。
日向灘は比較的地震活動が活発なところで、マグニチュード7クラスの地震がおよそ30年周期で起きていました。ただし、前回起きたのは1980年(昭和55年)、44年前とのこと。
そして、今回初めて出されたのが「南海トラフ地震臨時情報」です。
もともと南海トラフ域では東海地震の予知情報が発表されることになっていましたが、予知が難しいために現在は棚上げ状態。
その代わりに、地震発生の可能性が高まった場合に臨時情報を発表することになったとのこと。
南海トラフの地震域は静岡県の伊豆半島の付け根ぐらいから九州の日向灘までと範囲が広く、ある程度大きな地震が発生した場合、さらに大きな地震に発展する可能性も鑑み、臨時情報の発表を制度化したのです。
臨時情報の意図
では、今回の臨時情報が出たことによって、すぐに大きな地震が起きてしまう可能性は高いのでしょうか?
山岡「今回『巨大地震注意』という情報ではあるので、そんなにすごく心配するということはないですし、この情報が出ても、非常に大きな地震が発生する可能性は100回に1回以下であるというぐらい。
『念のために注意をしておいてください』という程度の緊迫度と理解してもらえばいいかなと思っています」
臨時情報から1週間注意しなければならないとのことですが、どのような注意をすれば良いのでしょうか?
山岡「国が推奨しているのは、地震というのは基本的にいつ起きてもおかしくないと。不意に起きることがあるので、基本、地震の対策というのは普段から備えておくのが大事ということなんですね。
皆さん備えているとは思いますけれども、もう一度地震に対する備え、特に南海トラフの巨大地震に対する備えの確認をしてくださいということですね」
今後1週間はどうなる
南海トラフ域で最も大きな被害は津波と考えられます。
浸水域に住んでいる人は避難経路を確認することにより、万が一地震が起きても避難までの時間が短くできて助かる可能性が高まるとのこと。
特にお盆休みでは普段馴染みのない場所に出掛ける方が増えそうですが、事前に避難経路を確認することが大切です。
山岡先生は評価検討会のメンバーですが、検討会では今回の地震の扱いについて、どのような話になっているのでしょうか。
山岡先生「私たちや気象庁が見ておくべきことは、この地震の後にさらなる異常が発生するかどうかを確認するのが大事で、特にスロースリップみたいなプレート境界の変な現象が起きるということもあり得るので、そういうことがあるかないかを確認しておくと。
8日から9日早朝にかけては、たぶんそういうことは特に起こってないので、地震については1週間何事もなく終わるっていう可能性が最も高いですね」
ただ、可能性はゼロではなく、今後も何か気づいたことがあれば発表するという方針があらためて確認されたとのことです。
(岡本)