百貨店のない都道府県が4つに。地方で閉店相次ぐ
47年前に開業し、長い間親しまれてきた岐阜高島屋が31日で営業を終了。これで岐阜県内から百貨店はなくなることになりました。この1月には島根県の県庁所在地である松江市の一畑百貨店も閉店するなど、相次ぐ地方デパートの閉店ですが、これから百貨店はどうなっていくのでしょうか?7月31日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員とパーソナリティの永岡歩アナウンサー、三浦優奈の3人がデパートの現状などについて語りました。
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岐阜高島屋は岐阜一の繁華街・柳ヶ瀬のシンボル的な存在でした。
1977年(昭和52年)に開業し、1991年には売上高がピークとなる249億円を記録しましたが、最近は約130億円にまで低迷し、建物の老朽化もあいまって閉店となりました。
しかも岐阜唯一の百貨店だったものの、名古屋までは電車で20分ほどで行けてしまう距離でもあり、地理的に不利な面もありました。
柳ヶ瀬の商店街も昔は賑わっていたものの、今は人手が少なくなってきていて、街そのものが商業的に厳しい状況となっています。
百貨店が1つもない県は島根県、山形県、徳島県、そして今回の岐阜県の4つとなり、すべて2020年以降に閉店しています。
またデパートが1つしかないのは15県あり、デパートがゼロとなる県はまだまだ増えていくと考えられます。
デパートにしかない魅力
デパートにはスーパーやディスカウントショップ、コンビニにはない魅力があります。
永岡「包み紙とか紙袋が良くてそれがもらえるっていう喜びがあったりするからね」
石塚「ハレの日によそ行きで行くっていうイメージが僕ら世代にはあります」
永岡は「ネットでなんでも手に入るんだけど、やっぱりそれとは違うっていう感覚はありましたけど、1店舗でもあるといいなと思いますが…」
昭和生まれの方であればこどもの頃にたまに家族で出かけ、上の階にある大食堂でご飯を食べて、屋上の遊園地で遊んだ場所、というのがデパートだったのではないでしょうか。
それが今はショッピングモールのフードコートやゲームセンターなどに代わり、さらにお手頃な価格になったので、デパートの時代よりも出かける頻度は多くなったかもしれません。
またデパートにはエレベーターガールという、エレベーターの中でフロアの案内をする女性がいましたが、今は経費節減などを理由に、ほとんどなくなってしまいました。
大昔にまだ女性の社会進出が少なかった頃、エレベーターガールは女性の憧れの職業でもありました。
ショッピングモールとの違い
一方デパートとショッピングモールの具体的な違いは何か、と言われるると説明しづらいところです。
両方ともさまざまなテナントが入店しており、最近ではデパートにもチェーン店が入っているので、差がなくなってきているように思います。
ただ、経済産業省では百貨店の定義を決めていて、「衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満」としています。
つまり、スーパーだと食だけで70%を超えられますが、百貨店はバランスよく販売しているといえます。
また従業員が常時50人以上で、売り場面積の50%以上で対面販売を行う業務ということになり、その点ではショッピングモールと若干異なります。
デパート不振の理由
デパートは1991年(平成3年)に売上高のピークを迎え、9兆7千億円ほどありましたが、現在は4兆円台から5兆円前後ほどと半分ほど。
店舗で見るとそごうはなくなり、大丸と松坂屋、三越と伊勢丹など、有名デパート同士の合併が続くなど、ここ30年ほどでデパートの勢力図は大きく変わりました。
またデパートが不振に陥った原因の1つは、ライフスタイルやビジネスなどの変化。
「外商」といって大口の顧客の元へ出向いて商売をすることが減ったり、お中元お歳暮が減ったりと、デパートを利用する機会が減ってきています。
一方都市部のデパートでは、インバウンド効果や富裕層の利用により売り上げは伸びているものの、地方ではその恩恵も受けられず、今後も地方デパートの厳しい状況は変わらなさそうです。
(岡本)