海外では法制化!勤務時間外の「繋がらない権利」使ってる?
夏休み、家族で旅行を楽しんでいる時に会社から連絡が来ることはありませんか?そしてその連絡に「せっかくの休みなのに…」と思いつつも応じていませんか?従業員には勤務時間外の連絡への対応を拒否する権利「繋がらない権利」というものがあります。一部の海外では法制化されていますが、日本ではいまだ法制化は進んでいません。このことについて7月26日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBCアナウンサー竹地祐治、山内彩加、つボイノリオが深掘りしました。
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休みの日に会社からの電話やメールに返事をしなくてもいい権利である「繋がらない権利」は、一部の海外では法制化されています。
2016年、フランスでは労働法改革の一環として「繋がらない権利」を法制化しました。
勤務時間外の連絡への対応を拒否する権利として、企業は従業員に対して勤務時間外にメールや電話での連絡に応じる義務を負わせることができません。
企業は従業員のワークライフバランスを保つための措置を講じる義務があるとしており、ガイドラインの設定が必要になりました。
企業は労組を協議し、「繋がらない権利」の実施方法に合意が必要です。
続いてフランスの隣国のイタリアは2017年にスマートワーキング法として、フランスとほぼ同じ形で権利明記し、2018年にはスペインで法制化されました。
ドイツでは法制化には至っていないものの、企業が自主的に「繋がらない権利」の導入を積極的に行っています。
例えばフォホルクスワーゲンやダイムラーで取り入れているのは、勤務時間外にメールサーバーを停止する措置。
国だけでなく企業も「繋がらない権利」の浸透化に力を入れています。
日本でも導入が進んでいる?
日本でも「繋がらない権利」の導入を進めている地域や企業の存在もあります。
2019年には神戸市が「繋がらない権利」に関する有識者会議を立ち会げ、会合を3回行いましたが、残念ならがコロナの影響で止まっている状態です。
企業の動きでいうと、三菱ふそうトラック・バス株式会社は、ドイツのダイムラーを参考に長期休暇中の社内メールを受信拒否、自動削除するシステムを取り込んでいます。
またジョンソン・エンド・ジョンソンでは、夜間休日の社内メールを原則禁止に。
このように法制化まではいかずとも、「繋がらない権利」を確実に行使できるよう取り組む企業が徐々に出てきています。
昭和世代にある「会社に繋がれている感」
勤務時間以外は会社からの連絡に応じないことに対して、竹地は「昭和世代はわからなくもないけど、連絡に出ちゃうよね」と当時の社会の習慣が染み付いてしまっていることに言及しました。
つボイによると、この「会社にずっと繋がれている感覚」を最初に覚えたのはポケベルだそうです。
会社員はいつでもポケベルが鳴ったら近くの公衆電話を探して走り回り、会社に連絡しないといけなかったんだとか。
つボイ「これがあると、ずっと会社に繋がれてるんだという嘆きはポケベルの時から周りで感じてました」
一方、30歳の山内は、勤務時間外に会社から連絡が来ても「繋がらない権利だ!」と強い気持ちを持って全く出ないそうです。
竹地は明確に決めないとその通りにならない欧米と比べて、日本は空気を読んで対応できるところがあると感じています。
「日本は緩やかに取り込んでるところはあるかも」と日本のペースに納得しているようでした。
今後の向き合い方を考える
「繋がらない権利」の法制化が日本で進まない理由として竹地が挙げたのが、どうしても繋がらないといけない職種もあるから。
取材のための機関である県警記者クラブに所属している人は、事件が起きた場合は早急に連絡をとって駆けつける必要があり、旅行にも行けないそうです。
そういう仕事がいくつか存在するため、「繋がらない権利」をうまく分ける必要があるのではと自論を述べました。
竹地「選択的夫婦別姓、取り入れる企業も出てきた選択的週休3日制のように、選択的繋がらない権利と捉えていけば日本でもうまく行くのではないか」
つボイは「従業員のことを会社員ではなく、会社の下請けの事務所だと捉えたら」と提案。
つボイ「9時~18時までの個人事務所ですよと。18時だから閉めました、という感覚であれば理解できるんでないかな」
権利を使うことに対して遠慮することはありませんが、自分と会社のポジションを双方がわきまえて着地できれば、効果的な働き方改革の一つとなりそうです。
(ランチョンマット先輩)