警備ミスが発覚?トランプ氏銃撃犯は目撃されていた!
7月13日、アメリカのトランプ前大統領が演説中に銃撃され、右耳を負傷した事件で、トランプ氏はおよそ150mの距離から銃撃されたと見られることがわかりました。撃ったとされるのは、トーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)。クルックス容疑者は、警備が及ばない会場外の建物の屋根にいるのが目撃されていました。7月15日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、この事件についてCBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く「暗殺未遂事件」として捜査
まずは、このニュースに対するリスナーの感想を光山雄一朗アナウンサーが紹介します。
「トランプ氏暗殺未遂のニュースにはびっくりしました。トランプ氏は右耳の負傷だけで済みましたが、演説会場に行った聴衆1人が死亡、2人が重傷でした。安倍元総理が撃たれて亡くなった事件を思い出しました」(Aさん)
「アメリカでトランプさんが銃撃されました。安倍元総理の事件を思い起こします。大統領候補になる人には、何かしら反対意見を唱える人がいるのは当然かもしれませんが、なぜSNSや文書などで訴えることができないんでしょうか?」(Bさん)
銃撃を受けたトランプ氏は右耳などを負傷しましたが、命に別状はありませんでした。
大統領を警護する「シークレットサービス」といわれる部隊は、クルックス容疑者を射殺しています。
連邦捜査局のFBIはトランプ氏に対する「暗殺未遂事件」として捜査を始めました。
厳重な警備をかいくぐった犯人
リスナーからの感想にもあるように、今回の事件は安倍元総理の銃撃事件を連想する部分もありますが、違うところはアメリカは「銃社会」であるということ。
石塚「銃社会に対応する警備をしているはずのアメリカで、こういうことが起きたというのがまずびっくりしました」
現地の記者によると、トランプ氏の選挙集会はかなり厳重な警備が敷かれているとのこと。
会場に入るには金属探知機のゲートをくぐる必要があり、荷物検査もあります。会場には警察犬が巡回し、上空にはヘリコプターが飛んでいます。
トランプ氏の演説が始まると、演説台の下にはシークレットサービスがずらりと陣取り、不審な動きなどがないかと目を凝らしている状況です。
不審者の目撃情報を無視?
これだけの厳重な体制が組まれていたにもかかわらず、そのセキュリティ対策が取られている範囲の外にあった建物の屋根の上から銃撃が行われました。
一部報道では、銃を持った容疑者が演説会場の近くの建物の上にいるのを目撃した男性が、事件の直前に警察に伝えていたといわれています。
不審者の目撃情報を、警察が事実上無視したというのが本当であれば大問題です。
射程圏内の建物の屋上が無防備な状態となっていたことから、一部の専門家からは「警備計画に欠陥があったのではないか」という声も上がっているそうです。
事件の後の記者会見でFBIは「銃撃後に初めて屋上にいる犯人を発見した」という認識を示しており、このことからも警備態勢の検証はやはり必要であることがわかります。
銃所持擁護派のトランプ氏
今回、犯人は射殺されています。
石塚「銃社会で、さらに爆発物を車に置いていたという話もあるので、アメリカ的にいうとこれはやむを得ないことなのかもしれないけれども。犯人が死んでしまったということで一体何があったのか、背景は何か、動機は何かというのがわからなくなってしまいました」
安倍元総理が銃撃された事件では、犯人はその場で取り押さえられ、のちにその動機を供述しています。
皮肉なことにトランプ氏は、バイデン政権による銃規制に反対する姿勢を示していました。
石塚「でもたぶん彼の場合は、言い方を変えないでしょうね。15日月曜日から、党の大会があります。トランプさんはそこで正式な次の大統領候補ということになるんだと思います」
選挙集会で暴力に訴えるのは民主主義の根幹を揺るがす行為。決してあってはならないことです。
(minto)