東京都知事選から見えた小池・石丸・蓮舫各氏の戦略と誤算
7月7日に投開票が行われた東京都知事選では、現職の小池百合子都知事が3回目の当選を果たしました。一方、注目を集めた蓮舫さんは3位、石丸伸二さんは2位という結果に。各候補者にはどのような戦略と誤算があったのでしょうか?13日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが今回の都知事選挙の結果について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く多くの課題が浮き彫りに
今回の都知事選では、当初蓮舫候補と現職の小池百合子候補の一騎打ちと見られていました。
しかし蓋を開けてみると、小池候補が291万票超を獲得し、3回目の当選となりました。
そして蓮舫候補は3位、ネットメディアの風に乗った石丸伸二候補が2位という予想外の結果に。
また、選挙ポスターをめぐる課題が浮き彫りになった他、多くの候補者が有効投票数の10分の1に達せず、供託金が没収されることになりました。
課題が多く残された今回の都知事選、戦いの構図を探ります。
選挙前、今回の選挙を「候補者乱立のバトルロワイヤル」と評していた大石。
大石「まさか56人も立候補するとは!」
告示後まもなく、立候補者のポスターが規定の枠に貼られない問題が報じられました。
候補者と無関係なポスターが貼られていたところも。
選挙の根幹から危ぶまれる時代。政見放送は5分30秒と定められていますが「候補者がこれだけの人数になると、テレビ・ラジオともに計11時間くらいの放送になってしまう」と大石。
多くの有権者は全てを観ることができなくなります。
大石「本当に東京都を変えたいと思う人に出てほしい」
蓮舫候補の敗因は?
注目を集めた蓮舫候補は「自民・公明」対「立民・共産」の構図に持ち込もうとしましたが、小池候補は土俵に上がりませんでした。
「いわゆるステルス選挙だ」と大石。
大石「自公はステルスにしたわけですよ」
開かれた討論会はたったの2回。告示後の放送は平等に行われるため、誰であろうと発言は同じ秒数になります。
よって小池候補は討論会には消極的で、公務を優先させる戦略に出たと見られますが、マスメディアの報道によって自身のPRはしっかり出来ていました。
相手のリングに上がらないようにしたことは、選挙戦略として当たっていたと大石は分析します。
大石「上手い戦略だったなぁと」
ネットメディアの活用で躍進
そして、従来型の与野党対立に「いつまでやってるんですか」と疑問を投げかけたのは、元・安芸高田市長の石丸候補でした。
与野党対決を訴える蓮舫候補の手法を、結果的に古臭く見せるものでした。
大石「蓮舫さんが構図に持っていけなかった。やはり敗因だったのかなと」
YouTubeで高い人気を誇り、165万票を得て一躍2位に躍り出た石丸候補。
チャンネル登録者数は約30万人ですが、あくまでこれは全国の数字。
大石「まさかYouTubeでここまで票伸びるとは思いませんでしたね」
演説がライブ配信されると、演説会場を訪れる人が日増しに増えていきました。
歯に衣着せぬ発言は、とりわけ10代・20代の若者の心に刺さったようです。
一方、同日に行われた安芸高田市長選では石丸候補を批判し、対立より対話を重視した候補が初当選しています。
対立軸を作る石丸候補の選挙スタイルに「ノー」を突きつけた安芸高田市。
大石「対立より対話。ここが今後の課題かなぁと思いましたね。もちろん、壊し屋・改革派としてはいいのかもしれませんけども」
大切なのは、住民である都民の暮らしをどうするのかという核心に踏み込むこと。
新鮮で期待感があるとしながらも課題を挙げる大石でした。
(nachtm)