年金と電気代。庶民の心配に付け込む詐欺師の手口
次々と新たな手口が現れる詐欺。これらに関する情報や体験談がリスナーから寄せられるのが、『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)の「オレオレ詐欺のコーナー」です。7月11日では、詐欺電話の詳細な手口を、つボイノリオと小高直子アナウンサーが紹介していきました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く「自分は引っかからない」と思ったのに
「私は絶対に引っかからない自信があったのに…経験を書かせて下さい」(Aさん)
Aさんが庭の草取りをしていると、「豊橋の年金事務所から『Aさんいますか?』って電話だよ。」と母親が呼びに来たそうです。
最近Aさんには、年金受給申請のための書類の封筒が続けて3通届いていました。
しかし内容を確認しないまま放置していたそうで「何かやらかしちゃったかな?」と思いながら電話へ。
電話に出ると、Aさんが働いている時に、消費税率が何回か変わったため、年金を余分に徴収してしまっていたので返金があるとのこと。
事前に、緑色の封筒に入れて返金手続きの書類を送ったが、返送締め切りの6月22日までに届いてないとのことだったそうです。
小高「年齢的に年金云々という世代でもあるわけですね」
自分にショック
「自分はまだ年金受給が始まっていないけど、緑の封筒?もしかして、半分ボケ始めた父が間違って片付けちゃったかも。
それよりも、締め切りまでに返送していない自分にショックでした」(Aさん)
「緑の封筒は届いてないですけど、どうしたらいいですか?」と尋ねると、豊橋の年金事務所で至急手続きをすればいいとのこと。
しかしAさんの住まいから豊橋までは少し距離があり、年金事務所の場所もわからず。
「今日は外せない予定もあるし、困ったなあと少し沈黙しておりましたら、この電話で手続きもできますよ、と言うんです」(Aさん)
つボイ「こりゃ便利やわ」
怪しくなってきた
電話で6桁の番号をメモさせられて、返金する金融機関を尋ねられ、AさんがJAバンクと答えると、「また後から担当から電話があります」と電話は切れたそうです。
「冷静に聞いていれば、もうここで詐欺と気づくはずなんだけど、この時は締め切りを守れなかった自分のダメさと、この問題を早く解決したい気持ちでいっぱいでした」(Aさん)
1時間後、JAバンクの職員と名乗る人から電話があり、「窓口のある本店と中部支店はこの手続きの枠がいっぱいなので、アピタに来てください」と言われたそうです。
つボイ「手続きの枠がいっぱいなんですよ」
小高「その辺りからちょっと怪しい感じになってきました」
つボイ「でも専門用語使ってますから、JAバンクも引き受け枠があるのかな?と思うじゃないですか」
なぜアピタなの?
Aさんのおたよりはまだまだ続きます。
「『アピタに着いたら電話してください』と言うんです。050発信の電話を教えられ、私も携帯の番号を教えました」(Aさん)
アピタにはJAバンクの窓口はなくATMしかありません。そんなとこで手続きできるの?と疑問に思いながらも「面倒なことは早く片付けたい」と焦るAさん。
「すると電話の内容は、全くわかってないけど、私が焦る姿を見た母が、のんびりした声で『それ詐欺じゃない?』。その声でハッと気づきました」(Aさん)
すぐにJAバンクに電話して、050からの電話番組を確認。「その番号は使っておりません。おかしいですよ」との返答だったそうです。
やられた
「ああ騙された、悔しい!本当に腹が立って、市内の警察署に電話すると、刑事さんが覆面パトで家に来てくれました」(Aさん)
刑事から事情聴取を受けたAさんですが、実は同じ週に、Aさんの弟の自宅にも年金事務所を名乗る電話が。
妻しかいなかったので「担当者さんとの連絡先を教えてください」と言ったら電話を切られたとか。
「年金受給年齢60歳から65歳に先送りになってしまった私たち世代の皆様、くれぐれも気をつけて下さい。
ただひとつ良かったことがあります。本物の警察手帳を玄関先で見られたことです」(Aさん)
小高「入り口は私たちが聞いてても、ありそうな話だったじゃないですか。そこからグラデーションで怪しくなってくるから、気づきにくいのかもしれないですね」
電気代が安くなる?
続いて電力関係に関する詐欺の報告です。
「うちの作業場にも営業まがいの詐欺電話がよくかかってきます。多いのが『これをつけると電気代が安くなるんですよ』とか電力関係についての電話です」(Bさん)
年に一度、電気保安協会が来て建物のアースのチェックをするそうですが、今回の電話は、その点検もするという内容。
「あれって保安協会が回ってきてやっていくので、一般の会社が電話してやってくるのはおかしいなと思ったんですが、まあいいや、来るなら来なさいと、翌日に訪問予定の約束をしました」(Bさん)
かかってこなくなった
その電話から1時間もしないうちに、また同じような電話がかかってきたそうです。
「『さっきも同じ電話があって、明日来てもらうことになっとるけど』と言うと、電話口のお姉ちゃんは、ええっ?とびっくりして、慌てて電話を切りやがりました。
翌日、約束した点検には来ませんでしたし、この手の営業電話は二度とかかってこなくなりました」(Bさん)
つボイ「詐欺同士ぶつかり合ったということか?」
もしくは、ひとつの詐欺グループの中で、電話をかける役の「かけ子」がぶつかり合ったのでしょうか?
いったん断ろう
Bさんにかかって来た「電気代が安くなる」とは一体どんな詐欺か?ここからつボイの小芝居が始まりました。
つボイ「付けると電話代が一割安くなる機械なんですよ。電気代上がってますよね?一割は大きいんじゃないですか?」
小高「どうやって電気代が安くなるの?」
つボイ「この中には2つの仕掛けがあるんです。てこの原理と歯車が7つ入ってるんですよ。ギギギーと回って、てこがカッタン、カッタン」
小高「歯車って、すごい旧式の機械っぽいけど。このぐらいわかりやすく怪しかったら騙されないんだけどね(笑)」
詐欺電話には様々な形があります。注意してください。
小高「『1回考えます』って、いったん断って仕切り直せばいいもんね」
電気代高騰のまさに今に合わせた詐欺師の手口。いったん切って冷静になるのがいいかもしれません。
(尾関)