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戦後最悪の人権侵害「旧優生保護法」…国に求められる謝罪と救済

戦後最悪の人権侵害「旧優生保護法」…国に求められる謝罪と救済

「戦後最悪の人権侵害」ともいわれる「旧優生保護法」。不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷はこの法律を「立法時点で違憲だった」として、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。7月4日放送の『CBCラジオ #プラス!』ではこの「旧優生保護法」について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士が解説しました。

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一時金の支給認定はほんの一部

「旧優生保護法」が1948年(昭和23年)に施行された出来た背景には、戦後の急激な人口増加がありました。 「戦後最悪の人権侵害」とされるのは、精神障害、知的障害などを理由に、本人の同意なく強制的な不妊手術が認められていた点です。

今回の判決は、裁判官15人全員一致の結論。
旧法律の違憲性について「不良な子孫の淘汰を目的に不妊手術を認める規定は、当時の社会状況をいかに勘案しても、正当化できない」としています。

岸田首相は「賠償を速やかに行う」と述べ、国会とも相談し、新たな保証について早急に結論を得るよう指示したと言及しました。

2019年に議員立法で「一時金支給法」が成立したものの、手術を受けたとされるおよそ25,000人のうち、一時金の支給認定を受けたのはわずか1,110人。
救済制度になりえていないのが現状です。

司法の強い意志が反映された判決

判決で確定した賠償額は被害者1人当たり1,100万円~1,650万円で、一時金の320万円を大幅に上回ることになりました。

この一時金は「見舞金」の位置付けですが、補償額を「裁判の賠償額と同様に1,000万円超えに引き上げるべき」との声も上がっているため、一時金も1,000万円ほどになるのではないかといわれています。

正木弁護士いわく、今回の判決は「司法の強い意志が反映された判決」。

「除斥期間」は、「損害が発生してから20年経つと損害賠償請求権がなくなる」という旧民法にあった規定です。

これによって排斥された請求は、戦後の保障や公害、性的な虐待などさまざまで、請求までに時間がかかってしまったものに関して、除斥期間を理由に請求を認めなかったのがこれまでの流れでした。

国に「ノー」を突きつけた判決

過去に認められたのは、赤ちゃんの時に天然痘の予防接種をしたものの、心神喪失で寝たきりになって、22年経ってから請求した事案。
そして、殺人事件で遺族がその事件の発生すら知らなかった、という事案の2つのみです。

これらはかなり例外的に認められたもので、当然救済されるべきだった社会問題はこれまでにも数多くありましたが、そのハードルは大変に高いものでした。

実際、旧優生保護法に関しても排斥する判決は過去にありました。

2022年、大阪高裁が今回のような理論で「除斥期間を適用せず、救済を認めるべき」という判決を出したことを皮切りに、下級審レベルでも認める判決がぐっと増えたそうです。

賠償額も、一時金の320万円よりも増やすべきだという司法の強い憤りがウェーブとしてあり、この流れを最高裁が認めました。

司法が大きく救済するべきだという意思を示して、国にそれを「ノー」と突きつけた、それが今回の判決です。

国は問題を放置していた

今まであった一時金が「憲法違反」であることは全く示されていませんでした。

手術を受けた方の配偶者は一時金の支給対象外ですが、名古屋地裁では慰謝料も認めています。

一時金の金額のほか、人工妊娠中絶をした方は支給対象外といったさまざまな問題があります。

この判決を踏まえて、被害を受けた全ての方が救済されるような新たな法制度を作成するべきということです。

不妊手術を強いていた国は、訴訟が提起されるまで問題を放置していましたが、ようやく動く形になりました。

日弁連が無料電話相談を実施

『朝日新聞』の「天声人語」に、聴覚障がい者と結婚した、病気で耳が聞こえなくなった女性の話が掲載されていました。

女性は、こどもができたとわかった翌日に母親に連れられ病院に行き、何も知らされないまま不妊手術と中絶をされてしまったといいます。
このようなことが、実際に行われていたのです。

日本弁護士連合会は7月16日の午前10時から午後4時の時間で、強制不妊手術の被害者や家族らを対象に「無料電話相談」を行うそうです。

電話 0570-07-0016
(minto)
 

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