日本の食品ロス削減、目標達成でも残る課題
国は「食品ロス」について、2000年度の食品廃棄量およそ980万トンを、2030年度までに半減させることを目標にしてきました。6月21日の発表によれば、2030年の達成目標をすでに達成していたことがわかり、話題となっています。ただし、食品ロスの問題そのものが解決したわけではないの見方もあります。26日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、つボイノリオと小高直子アナウンサーが、食品ロスの目標達成について取り上げました。
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日本では、2000年度から2030年度までに食品ロスを半減(約490万トン)させる目標を掲げていました。
小高「先日発表された2022年度の推計値で、約472万トンということになりました。初めて半減が達成できていたことがわかったそうですよ」
つボイ「やりましたね。いいことです」
今回、食品ロスを大きく削減できたのは主に外食での食べ残しなどの事業系から出るゴミ。
減らせた大きな理由は、予約販売や賞味期限の近づいた商品から買う「てまえどり」の浸透、パッケージの開発による賞味期限の延長に成功したことが挙げられるそうです。
達成できた理由はコロナ禍?
ただし、達成を単純に喜べない事情もあります。
その理由は、ちょうどこの時期がコロナ禍と重なっているから。コロナ禍の間は外食が敬遠された時期でもあり、外食需要が減っていたことも考えられます。
今は、インバウンドも含めて訪日客や観光客など旅行が増えており、せっかく減った食品ロスが逆戻りしないようにする必要があるでしょう。
小高「出てくるデータというのは、リアルタイムじゃなくてちょっと前のものです。だからこそ今は?これからは?って考えないといけません」
現在の状況から考えると、食品ロスがむしろ増える要素の方が多く、決して安心できるとは言い切れないのが現実。
つボイ「食品関係も物価が高騰していますからね。損を減らすためにも食品ロス削減は大事なことだと思いますよ」
家庭系のロスは目標達成にならず
発表されたのはあくまでも事業系の話です。
一方で家庭における食品ロスは、残念ながら目標達成には至っていません。買って帰った後は残さず食べる、冷凍保存を活用して使い切るなど、家庭系の方は私たちの普段の努力によって変わってきます。
つボイ「この時期は特に食べ物が傷みやすいし、食中毒に注意することが大事です。同時に食品ロスを減らすことと両方考えないといけない」
小高「あまりに『もったいない』にこだわって、食中毒を起こしたら元も子もないし、本末転倒ですから」
世界に目を向けると、今年3月の国連の報告書では世界の食料ロス・食料廃棄が1日に10億食以上というデータが出ています。さらにこれらの処理によって排出される温室効果ガスに換算すると、航空業界が輩出する温室効果ガスの5倍もあるそうです。
小高「航空業界の出す温室効果ガスはよくやり玉にあがりますけど、それよりも多いんですって」
多くの食料が捨てられている一方で、飢餓に直面している人は約8億人。8億人は世界の人口の約3分の1にあたります。
このアンバランスな状況についても、世界で対策を考え実行していく必要があるでしょう。
(葉月智世)