ライドシェア拡大、自動運転の普及…激変するクルマの環境
政府は11日、経済財政諮問会議で今年の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の原案を示しました。その中にはライドシェアを広く全国で利用可能にする方針も盛り込まれています。ライドシェアは岸田総理が議長のデジタル行財政改革会議の中でも正式決定する予定とのことです。6月12日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、なぜ今、ライドシェアを普及させようとしているのか、また問題点などについて解説しました。
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すでに4月から始まっている日本版ライドシェアですが、現在はタクシー会社の運用管理の元で、地域や時間帯を決めて限定的に運用しています。
今後は4月以降の活用状況の検証に加えて、タクシー以外のバスや鉄道などの事業者の参入促進に向けて検討を開始するとのことです。
コロナ禍などでタクシードライバーの成り手が減った一方で、インバウンドにより需要が高まっている状況で、観光地でのタクシー不足が問題となっています。
その状況で違法にお客さんを乗せて商売を行なっている、いわゆる白タクが問題となっているために、しっかりと法整備をしていこうというのがライドシェア導入の狙いのようです。
業界の意向も
ただ、自民党内でも意見は対立していて、慎重派は「二種免許のない人が運転をして、安全面で問題がないのか」という懸念を持っています。
そのためか、今の時点では「ライドシェアの全面解禁を巡っては、法制度を含め事業のあり方の議論を進める」という話になり、ライドシェアは広がりそうな感じがするものの、結局は何も決まっていないという状況になっています。
石塚委員はここで、議員が議論になるポイントでよくあるのは、ターゲットとなっている業界の意向だと語ります。
石塚「タクシー業界としては、そういう人が入ってくると我々の業界が侵されるんじゃないの?ということもあるわけですね。
政治家が何でそこでいろいろ考えちゃうのかというと、選挙の時に業界団体っていうのはまとまって票になるかもしれない人たちなので、どうしても業界団体の人たちの顔色を見ちゃうんですよね」
もちろん業界の意向だけではなく、最も重要な安全面の見地から考えたり、タクシー業界で働く方々の雇用についてどうバックアップできるのかという考えで動くということもあります。
簡単に言えば、ライドシェアの便利さを訴える推進派と、安全面の問題を訴える慎重派、それぞれの考えがぶつかっている状態といえます。
名古屋の都心で自動運転開始
車をめぐるもうひとつの話題は、自動運転の導入が加速していること。
2025年度までに全都道府県で自動運転バスなどの通年運行事業を実施する計画の策定を目指しているとのことです。
自動運転にはレベルがあり、特定の条件下で人が運転に関わらなくても良いという「レベル4」を念頭に置いています。
愛知県の発表によれば、新興企業の支援拠点として、10月にオープンするステーションAiの開始に合わせて、名古屋駅から鶴舞公園まで自動運転車両の定期運行を実施するとのこと。
約5kmの距離を最高時速60kmで1日6往復、自動運転はレベル2ですので、運転席にドライバーはいますが、緊急時以外はハンドルを握らずにいます。
今後10年で車を取り巻く環境は大きく変わりそうです。
(岡本)