SNSによる若者たちの「パパ活・援助交際」の現状とは
3年前からホストクラブが急増し、若い女性が多く集まるようになった名古屋市中区の繁華街、通称・女子大小路。街の中央にある池田公園では、悩みを抱える女性たちの居場所を作ろうと、約1年前から「街角保健室☆ケアリングカフェ」が月に2回、夜7時頃から夜10時頃まで行われています。5月30日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、「街角保健室」の取材を通して、若者たちのSNSの犯罪やDVについて深掘りする特集を行いました。こちらでは「SNSによる若者たちのパパ活・援助交際の現状」について取り上げます。
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ピンクのテントが目印の「街角保健室」では、ジュースやお菓子、生理用品などを無料で配布。産婦人科医の相談や占いも無料で行い、街の女性たちの居場所になっています。
ふらっと立ち寄ってその場とその空間を好きになって、気軽に相談できるような環境を作っているという場所。
立ち上げたのは、若者たちの性教育の活動をしている「愛知・思春期研究会」の共同代表で、愛知県内の高校で保健体育の教諭をしている中谷豊実先生と、同じく共同代表で咲江レディスクリニック院長、産婦人科医の丹波咲江先生です。
「売春」をオブラートに包む
丹羽先生「実際おこづかいを欲しいと思った時に、小学生や中学生だと昼のアルバイトすらできないので、SNSで知り合って、声を掛けられて、そのまま援助交際に入っちゃうという子もやっぱりいますよね」
大阪の「グリ下(グリコの看板の下周辺)」や東京の「トー横(新宿東宝ビル周辺の路地裏)」にいる人とSNSでつながり、「援助交際をしたらお金が入るから」と言われてハマってしまうケースもあるそうです。
SNSの広がりが「売春」を「援助交際」や「パパ活」としてオブラートに包み、そのハードルを下げることに繋がっています。
違法行為の認識が薄まる
アディーレ法律事務所 の正木裕美弁護士によると、SNSの普及により未成年者側も買う大人側も性犯罪に対するアクセスが簡単になっている上に、「みんなで渡れば怖くない状態」で、グループができてしまっている状況があるそうです。
「パパ活」という言葉はすでに浸透してしまっていて、ネットで堂々と募集をかけるなど「違法行為」という認識が薄まってしまっている危険性もあるといいます。
警察庁によると、「SNSの関連犯罪」の件数や「未成年の売春関連」の件数はここ数年で減少傾向にあります。
とはいえ年間2,000件以上の把握がされていて、わからない部分ももちろんあるため、減っているとは言えかなりの件数が起きているといえます。
罪に問われるのは「買う側」
売春で罪に問われるのは、売る側ではなく「買う」側。
相手が18歳未満だと知っていた、または18歳未満かもしれないと認識していた場合には、「児童買春罪」や都道府県の「青少年保護育成条例違反」で検挙されるのが一般的です。
先の刑法改正によって 性交同意年齢が16歳に引き上げられたため、相手が16歳未満だった場合には、同意の有無にかかわらず「不同意性交等罪」(昔の強制性交等罪)や、「不同意わいせつ罪」に問われます。
心と体のバランスが崩れると
中谷先生によると、売春をしている若者たちは次第に心と身体のバランスが崩れ、市販薬の過剰摂取「オーバードーズ」をするようになるといいます。
中谷先生「メンタルがやられると覚醒剤とかマリファナではなく、その辺に売っている鎮痛剤をビックリするぐらい飲んじゃう」
これにより一種のトランス状態、若者言葉でいうところの「パキる」状態になります。
不法薬物よりも手に入りやすいこと、またメンタルが弱っている子たちの多くがやっていることから「みんなやっている」という感覚になってしまうことも一因。
「法律に違反しているものではない」という意識で安心し、結果オーバードーズにより事故が起きてしまうのです。
オーバードーズの負の連鎖
ドラッグストアで簡単に買える市販薬や処方薬を過剰摂取する「オーバードーズ」は、誰にでもできます。
正木弁護士「中には覚醒剤や麻薬と同様に感じる成分が含まれているため、大量に飲むと命の危険に関わります」
しかし苦しみや精神的な問題を抱えている若者が、多幸感を求めてこういう行為に走ってしまっているのが現状。
またSNSで「オーバードーズをした」と拡散することで若者間で共感を呼び、負の連鎖が止まらない状況です。
小中学生のSNS規制の強化を
「オーバードーズ」は自傷行為で犯罪にならないため罰則はありませんが、薬局側や無許可で薬を渡す側に対して、規制や法的対応を取ることになっています。
ネットで薬を買える時代。若者が簡単にアクセスできる現状について、2025年の法改正に向けて厚労省が検討している最中ということです。
「オーバードーズ」そのものは犯罪ではありませんが、深夜徘徊などのほかの犯罪に繋がる可能性があります。
補導や医療機関や相談機関などの啓発活動がメインになっているのが実情です。
「共感を呼ぶ」など負の側面があるSNS。青少年の利用について法律による規制は一部見られますが、まだまだ使えるのが現状です。
丹羽先生は「小・中学生のSNS規制をもっともっと強化してもらいたい」と語りました。
(minto)