高さ24m巨大鳥居の黄金化プロジェクト 鳥居の所有者問題で大混乱に
名古屋市営地下鉄の中村公園駅から地上に出たところに、地元の人から親しみを込めて「赤鳥居」と呼ばれてきた高さ24mの巨大な大鳥居が建っています。
街のシンボルとして親しまれてきたこの鳥居を、黄金色に塗り替えようというプロジェクトが持ち上がり、住民を二分する事態に。赤鳥居の黄金化プロジェクトについて取材しました。
街のシンボル大鳥居を黄金色にするプロジェクト
名古屋市中村区には、交差点にそびえ立つ巨大な朱色の鳥居があります。鉄筋コンクリート製で、高さ24メートル、幅34メートル。地元の人たちからも、目印として馴染まれてきました。
現在、この鳥居を中心に街を大きく変えようというプロジェクトが立ち上がっています。
鳥居の奥には、この地に生まれた豊臣秀吉を祀る豊國神社があり、宮司の近藤一夫さんと地域住民らが中村の地が名古屋市編入100周年を迎えるのを記念し、地域住民と「中村区黄金プロジェクト」を発案しました。
近藤さん「大きな鳥居も誕生して約100年を迎えます。補修も必要になってきますし、『黄金プロジェクト』というのを立ち上げて、地域活性化のために鳥居を黄金で塗らないかと」
金が好きだった秀吉にちなみ、プロジェクトのメインは大鳥居を黄金化するだけでなく、金の人力車を走らせたり、公衆トイレやマンホールも金色にしたりしようという構想です。
2026年には第20回アジア競技大会を愛知県および名古屋市で開催を予定していることもあり、より多くの観光客に注目してほしいという思いもあります。
赤か金か?住民の意見が二分する事態に
金色の鳥居というと、岐阜県岐阜市の金(こがね)神社が紺色だった鳥居を2015年に金色に塗り替え参拝者が5倍に増えた成功例もあります。
地元住民の中には、はるかに大きな中村区の大鳥居を黄金色に塗り替えれば、金神社よりも注目される可能性も。20代を中心に「インスタ映えになっていいと思います」「派手でいいと思う」「リッチな感じがする」「目立ってもっと活性化したらいいと思う」と期待する声があがりました。
一方、50~60代からは「キラキラしすぎちゃって品がない」「赤の方が “らしさ”がある。昔からなのでそこは大事にしてほしい」と懸念する意見もあり、地元ではネット上でアンケートも行われ、賛否が住民を二分する状態です。
しかし、問題は住民の意見だけではありません。さらに複雑化させている事情がありました。
問題を複雑化させている大鳥居の所有者とは
大鳥居は1929年(昭和4年)に元々「中(なか)」という村だったこの辺り一帯が名古屋市に編入されたのを記念して住民がお金を出し合い建立しました。豊國神社参道の入り口にありますが、神社のものではありません。
大鳥居が立っているのは名古屋市の道路上ですが、市の持ち物でもなく「所有者不明の建造物」という扱いになっています。このため、塗り替えをどうするのかを決める権限が誰にもないのです。
神社や神道文化に詳しい皇學館大學の高野裕基助教は、
「神社や地域に人が集まってきて栄えて賑やかになっていくことが非常に重要。そのため、金色にすることは否定されることではない。街の多くの人の意見を聞きつつ、どうやって繋いでいくかを中心にした議論が必要」と地元で充分な議論を重ねる必要があるとの考えです。
住民みんなの総意で建立され、地元の共有財産として親しまれてきた中村の大鳥居。
今後、黄金化プロジェクトがどうなるっていくのか目が離せません。
CBCテレビ「チャント!」4月5日の放送より。
※高野教授の漢字ははしごだかのたかです