3秒しか開かない「開かずの踏切」 コロナ禍で解決が延びる可能性も
警報機が鳴っているのに、踏切を渡る中学生。遮断機のすき間から踏切内へ突入する女性。
急いでいるのに遮断機が開かない。そんな、どうにかしてほしい「開かずの踏切」の対策に関して、莫大な工事費やコロナの影響などの難題がありました。
なかなか解決しない「開かずの踏切」
愛知県一宮市、名鉄・石刀(いわと)駅のすぐそばの踏切。警報機が鳴っているのに渡り始めるなど、危険な横断が相次いでいます。理由は、警報機が鳴りやみ遮断機が上がっても、すぐにまた警報機が鳴り始める。その間、わずか3秒。1時間のうち40分間も遮断機が下りたままになる、いわゆる「開かずの踏切」だからです。
名鉄とJR、2つの路線が走っているため、どちらかが通るたびに遮断機が下りてきてしまいます。危険なだけでなく、朝の渋滞も日常茶飯事です。
住民A「朝、長いこと閉まっていることが多いので、車通勤の時ここは絶対に通らなかったですね。」
住民B「みんなダッシュしています。ご高齢の方は渡るのが怖いと言っている」
このような「開かずの踏切」は県内にいくつあるのでしょうか。
改修工事が始まっているのは7か所中の3か所
愛知県内には「開かずの踏切」7か所あります。改修工事は国が危険と判断し、鉄道会社が合意した場合に行われますが、すでに始まっているのは7か所中3か所。
一宮市のこの踏切は、死亡事故がまだ起きていないことなどから「開かず」のままです。
中部地方整備局 二村調整官に話を聞いてみると
「基本的な方針としましては数字の大きいところ。例えば事故の件数が多い所とか、遮断する時間が多い所を優先してやっていく」
名鉄「知立駅」の場合は、名古屋本線と三河線の2路線が走っていて、一つ遮断機を超えても線路と線路の間にもう一つ遮断機がある珍しい作りになっています。
車で踏切を渡ろうとすると、約7秒後に警報機が鳴って遮断機が下りてしまいます。車は1台か2台しか通れません。遮断機が下りているのは、1時間のうち実に約44分。
この踏切では2000年から24年間かけて高架を作る計画でしたが…。
改修工事が遅れる理由と その対策とは?
知立市は去年、高架化の完了が5年遅れると発表しました。電車が通るすぐ横で行う難工事で、慎重に工事を進めた結果、高架の完成が遅れることに。
事業費もおよそ610億円から792億円に膨らみ、莫大な費用と時間がかかってしまいます。
名古屋大学の加藤博和教授は、新型コロナの影響で売り上げが落ち込む鉄道各社にとって、踏切の改修工事は大きな負担になり、工期がさらに遅れる可能性もあると話します。
「踏切をなくすとか安全性を高めるための費用は、それをやったとしても利用者が増えるわけではないので、ただお金を出すだけになる。補助制度はあるにしろ、交通事業者としてやりたいという思いはないから後周しになる」
こうした中、国の担当者は費用と期間がかかる工事よりも、ソフト面の整備を優先すべきだと考えています。
二村調整官は、
「例えば迂回の看板を出すとか、何がなんでも立体化とかではなくて、ちょっとした対策を考えております。」
人の命にかかわる危険な踏切。鉄道事業者と自治体が連携しスピード感を持って解決策を見出すことが求められています。
CBCテレビ「チャント!」2月23日の放送より。