廃線跡から転用された宝塚市の遊歩道 街の発展に一役買った阪鶴鉄道の歴史とは
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、兵庫県にある“宝塚市のルーツを知ることができる道”を巡りました。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)
阪鶴鉄道の廃線跡から転用された遊歩道
高級住宅街があるベッドタウンとして有名な宝塚市。100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団など華やかなイメージがありますが、一方で、西には六甲山、北には長尾連山が位置しているため、自然に囲まれたギャップのある場所も多くあると道マニアは言います。
宝塚駅の北西に位置する武庫川(むこがわ)渓谷の「草山トンネル」は、明治30年に開業した阪鶴(はんかく)鉄道の廃線跡。大阪から宝塚を経由し、京都の舞鶴を結ぶ路線の一部で、廃線後に車道へ転用する際、まっすぐ行く道を封鎖して横にトンネルを足したため、T字路のトンネルになったそう。
阪鶴鉄道は明治40年、私鉄から国鉄になり、JR福知山線の一部として長年運行しましたが、昭和61年に廃止に。しかし平成28年、宝塚市武田尾から西宮市生瀬(なまぜ)までの4.7kmの区間が開放され、現在は遊歩道として使われています。
この遊歩道には当時とほとんど変わらない姿をしたトンネルが6つあり、石とレンガが混在する「長尾山第三トンネル」や、武庫川を渡る「第二武庫川橋梁」などが見られます。
明治20年、宝塚温泉が開場し、温泉街としての歴史がスタートした宝塚市。当時は交通の不便さから入浴客はとても少なかったそうですが、10年後の明治30年、阪鶴鉄道の開業で宝塚駅が誕生し、観光客は大幅に増加。人気の温泉地とともに、街はどんどん発展していきました。
そんな宝塚市の発展に一役買った阪鶴鉄道の廃線跡は現在、誰でも歩ける遊歩道として地元の人たちから愛されています。
武庫川に架かる幅60cmの水道橋
宝塚駅の近くにある武庫川沿いには、道マニアオススメの一風変わった歩道があります。それが、道幅たった60cmしかない、歩行者専用の「生瀬水道橋」。
もともとは武庫川の上を通る水道管の点検用に造られ、関係者のみが立ち入ることができる橋でしたが、1975年に一般の人にも開放。
このエリアには武庫川を渡るための橋が200mほど先にある「生瀬橋(なまぜばし)」しかなく、狭い橋にも関わらす車の通行量が多く、歩行者の安全が危惧されていたため、「生瀬水道橋」の一般開放は近隣住民にとって悲願だったと言います。
現在は、地域の人々にとって欠かせない生活道路となり、狭い歩道にも関わらず多くの人が行き交います。
7月30日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より